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フラム王国での出会いと騒動 -7-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 北の門はレオナルド将軍とその配下が固め、ハルキスとその部族の戦士達までいるし、空からの襲来には魔術師達が集まっているので、これ以上は魔物がラスタルに入る事は不可能な状態になっている。


「先生達はどうするんだ?」


 あのハルキスが霞沙羅(かさら)の事を「先生」と呼んでいるのがレオナルドには気になるので後で聞いてみようと思った。


 それはいいとして、霞沙羅とアリシアが外に出たがっている。この原因が外にあると解っているからなのだが、レオナルド将軍の配下にも魔導士がいるわけだけれど、彼らにはそれが解っていない。


「将軍、あの時アーちゃんはここにはいなかったが、モートレル襲撃と同時間帯に起きた魔物襲撃と同じ魔工具が使われているようなのダ」


 あの時も魔物が群がった原因が誰にもわからなかった。騎士団と魔術師で魔物達は全滅させたけれど、後には何も残っていなかったのもある。


「どういうものか解るのか。ならばそこにいるであろう人間に近寄っても大丈夫か?」

「見ての通りの、こんな感じで魔物に使い手の命令を与えるだけですねー」

「ついでに町にはこういうのが紛れ込んでいますわよ」


 カナタは4人の冒険者風の一団をロープで縛って、アリシア達の所に投げ込んできた。


「お前、いつの間に」


 一緒に移動していたはずなのだが、いつの間にか別行動をしていたようだ。


「ここに来る途中に、何かのお店の中に怪しげなのがいましたもので」


 カナタ的には見た事がある4人だったから、ついでにゴミ掃除をした方がいいだろうと捕まえてきた。


「あー、まだいたのかー」

「帝国の残党じゃないカ」


 剣士や神官などの冒険者のような姿をしているけれど、その鎧には中途半端に削られた、帝国の紋章が残されている。


 そして神官は律儀にも反逆神レラの象徴をつけたネックレスを付けている。


 これから活動を開始しようとしていたからかもしれない。


「く、くそっ!」

「もう誰も皇帝一族は残ってないのに、まだやろうって言うの?」

「連中は少し前に処分されたんじゃなかったのか?」


 立ち会ったわけではないけれど、アリシアもハルキスもそのしつこさに呆れるしかない。


「か、敵討ちだ。我らがユリアン皇女の為だ」

「お前ら、旧帝国時代の辺境にいた農民達が、帝国の圧政から開放されて喜んでるのをしらんのか?」


 レオナルド将軍は、魔女戦争後に取り戻した、元々フラム王国の土地だったところに何度も行っているので、今は穏やかになった農地の姿を知っている。この件に関しては、「フラム王国に戻って良かった」と口々に言われる。


「実際の所、お前らも帝国時代に良い生活をしていたわけではあるまい」

「帝国が現役の頃に行った事はあるけど、宿屋でもロクな食べ物がなかったし、行商人もあの国にいても商売にならないから、よっぽど急いでない限り通らないしで、国も疲弊してたよねー」


 圧政を敷いて良い生活をしていた帝都の中心にいた一部の人間達は真っ先にエリアスによって消され、地方にいたそれなりの立場の人間も、その後に放たれた魔物に潰されていった。


 結局モートレル占領未遂事件に参加した残党一団にいた人員の多くは、当時大して美味しい生活をしていたわけではない地方の人々。


 そもそも新皇帝になろうとしたユリアンだって皇帝一族の末席で田舎住まいだったから生き残ったようなモノだ。


「復興に付き合えば、その羨ましいと思った良い生活が出来るという夢を見ただけでしょう。よく解っていない魔工具頼りのダメ国家から、命からがら生き残った有象無象が集まって国作りが上手く行くとでも思ったんですの?」


 最初からモートレル占拠自体が上手く行くはずは無かったのだ。


 喝采の錫杖…、王者の錫杖が完全に動く状態だったなら100年前のようにいったかもしれないけれど、良い生活に憧ればかりを抱いたようなロクな人間しか集まらず、結局カナタの口車に乗せられて、予想通りに失敗した。


 実験のために片棒を担がされたという事に気が付いて欲しいモノだが、それを期待するのも無理か。


「とにかくこいつらは牢にぶち込んでおけ。後で色々と口を割って貰う」

「はっ!」


 哀れ、4人は何人かの騎士に引きずられていった。


「こんなくだらない連中との付き合いはこれで終わりにしたい。アリシアとルビィ、それとカサラ殿、我々を魔工具を持つ者のところに案内して貰いたい」


 魔物達の襲撃数も大夫減ってきた。


 魔物を操る道具があったとしても、生み出されているわけではない。ストックしている魔物の数にも限度というモノがある。


「む、王都でもそれを使ってるんだな」


 将軍の側にいた騎士がアリシアの作った魔物感知器を使って状態を確認しているのを霞沙羅は見つけた。


「カサラ殿はこれを知っているのか?」

「元々ウチの世界用に、お宅の英雄殿が作ったんですよ。英雄殿はウチの国でも役に立って貰っていましてね」

「そういう霞沙羅先生も、学院じゃ重要人物じゃないカ」

「それは後にして、早く行った方がいいと思いますわよ」

「あ、ああそうだな、では第一班は俺についてこい。この場はオルソン、お前が仕切れ。絶対に化け物共を中に入れるな」

「はい!」


 門の前は将軍配下の人間に任せることにして、アリシア達は魔工具の反応がある場所に向かった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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