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白昼の札幌にて -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 今、部屋ではシャーロットが実家に帰る準備をしている。


 卒業試験の為の帰省とはいっても館の扉を出ていくだけなので、実家の屋敷まで一分程度の旅路だけれど、今回は二週間ほど帰ってくる事は無いので、書籍類とは別にぬいぐるみを多めに持って帰ることにしたようだ。


 長くこっちにいたこともあって、買ったり伽里奈(アリシア)から貰ったりしたものだから、お気に入りのぬいぐるみが変わってしまって、実家での環境というか空気感が気になるから持って帰るとのこと。


 これとは別に、また食品系のお土産を色々と準備している。実家の犬用に、イギリスには無いペット玩具も買った。


「ユウトさんもいなくなるし、寂しくなるな」

「私は帰ってくるけど」 


 シャーロットにとってユウトは最近会ったばかりなので、残念ながら思い入れは無い。


 アンナマリーもそんなに長い付き合いがあるわけではないけれど、多少は鍛錬に付き合って貰ったりと会話もあるのでちょっと寂しいと感じている。


 それもあって仲の良いシャーロットもいなくなる感覚になってしまったけれど、別に今すぐ館を出ていくわけでは無い。


 今回はちょっと長いだけ。


「試験が終わったらクマちゃん牧場ね」

「そうだねー、その頃には日本も落ち着いてると思うけど」

「それとは別にまた弟達も連れてきたいわ」

「どうぞー」


 まだまだ北海道は冬が楽しめる。スキーをしなくてもスキー場ではすべり台とかで遊べるから、観光の選択肢に入れてもいいと思う。


「杖は帰ってきてからの調整でいいんだな?」

「試験には持っていかないから、まだ預かってて」


 そもそも来日の目的だったシャーロット用の杖は一応完成したけれど、まだ調整は終わっていない。


 なのでロンドンには持っていかずに、まだ霞沙羅が持っておくことにして貰った。


 それに大事な試験だから、性能云々よりもこれまで使い慣れた道具の方がいい。


「何時くらいに向こうに行くの?」

「ロンドンに朝につきたいから、夕方頃ね」

「まあ一日かけて時差を何とかするんだな」

「何食べてく? 向こうでシャーロットだけ食事の時間がずれるわけだから、食べたい物があれば作るよ」


 帰ったらロンドンは朝。朝ご飯を家族と食べるのもいいけれど、内容的には軽いだろうから、夕飯のお腹になっているだろうシャーロットには足りないかもしれない。


「ハンバーガーが食べたいわ」

「はーい」


 じゃあハンバーガーを作ろう。しばらく館にいないからちょっと豪勢な感じにしてあげよう。


 その後は荷物を纏め終えた後に、実家にいる弟妹のためにコンビニスイーツを買って、伽里奈(アリシア)が作ったハンバーガーセットを美味しく食べて、満足したシャーロットは、大きな鞄を持ってロンドンに帰っていった。


   * * *


「シャーロットちゃんて昨日帰っちゃったんだ」

「2週間だけどねー」


 翌日に学校に行くと皆がシャーロットのことを訊いてきた。実際のところ、昨日も挨拶をしたんだけど、早藤を始め、なぜか色んな生徒がその事を確認にやって来た。


「年下なのに大学生かー、なんかすごいね」

「無事に試験が受かったら、なんかお祝いした方がいいんだろうか?」

「お店でラーメンが食べたいみたいだけど」

「おう、なら小樽のラーメン屋をどこか選んで貰うか。そのくらい奢ってやろうぜ」


 そういえばシャーロットはあんまり外食をしてないなー、と思い出してみる。


 やどりぎ館の料理が美味しいから、と言ってくれるのは嬉しいけれど、折角日本に来ているのだから、食べたいお店に食べに行ってもいいんじゃないのかなとは思う。


 北海道ならラーメンだけじゃなくて、美味しいお肉もお寿司も海鮮系も洋食系も色々ある。


 ちょっと足を伸ばして函館に行きたいというのなら、連れて行ってもいい。


 卒業試験に向けたレポートの作成やディスカッションの練習もあったから行けなかったのもあるから、無事に試験が終わったら、ロンドンに帰ってしまうまでに存分に日本を楽しんで欲しい。


 北海道のお店のことなら休日に各地をまわっているシスティーがよく知っているだろうし、神奈川なら地元民の霞沙羅達三人がそれぞれ独自の感性でお店を指定してくれるだろう。


 九州とか言われたらちょっと困るけど。


 それにしても、2週間いないのかー。ちょっと長いなーと思ってしまった。


 アンナマリーとは日々結構話をしていたから、時間的に暇になるだろう。じゃあこの機会にもう少し魔法の勉強でも教えるとしようか。


 そこに担任教師が入ってきて、なぜかこちらも改めてシャーロットの不在を告げてきた。


 あれだけ魔術の才能があるのに、とても素直だし、授業中は伽里奈(アリシア)の手伝いをしているから、教師達も最初は戦々恐々としていたけれど、しっかりとクラスに馴染んでくれた。


 イギリスの天才少女という事もあって、最初は戦々恐々とされていたのに、結構教師ウケも良かったから、今日からしばらくはいないんだと、改めて感じたのかもしれない。


「それじゃあ今日も授業を始めましょう」


 今日はまた初級魔法の実習がある。


 魔力の消耗に関しては生徒達も結構辛い感じだけれど、これを乗り越えなければ魔術師にはとてもなれない。


 また振り出しに戻ってしまった感じだけれど、何と言っても本物の魔法を使える、という魅力を感じて、ここから更に頑張って貰うしかないなと思う。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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