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金星の影響 -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 それから小休止を挟みながらも、霞沙羅と榊に対してそれぞれ数回ずつ相手をしたけれど、どちらも伽里奈(アリシア)に翻弄されて、いい結果は出なかった。


「それでも霞沙羅は魔法を使って食らいついていたでござるよ」


 吉祥院にはとりあえず重力の方向を変える事と、空中に道を作るやり方を教えてあげた。


 今はコツコツと、飛行船の個人版みたいなモノを作っているようなので、その安定的な飛行制御に使うらしい。


 榊の方は木を利用して立体的な移動をしてきたけれど、空中で軌道を変えてくる伽里奈(アリシア)には追いつけなかった。


「ボクもフラフラです。今更ながらライアはすごいなー」


 ライアならこんな事は起きない。全ては演劇をするための身体能力だ。


 どんな演劇かは知らないけれど、何でも出来るように備えていた彼女が身につけた能力だ。先日も霞沙羅とそれなりに長く戦っていたけれど、平然としていたので、普段から何かしらで感覚を維持しているのだろう。劇場のオーナーになったというのに、案外真面目に体を鍛え続けているのが想像出来る。


「また今度やるぞ」

「まあいいですよ」

「この余裕だぜ」

「いたた」


 また霞沙羅に腹いせではたかれた。


「この後だけどね、一旦基地に帰ろうか」

「ああ、そうした方がいいだろうな」

「伽里奈君はどうするんだ?」


 3人は軍から支給されている小型端末に何の知らせが届いているのか解っている。


「やっぱり神奈川なだけはありますねー」


 札幌周辺は人口が多いとはいっても、さすが関東地方。東京二十三区が住めなくなるほどの事件が起きて、首都圏から人が地方に分散したとは言え、まだ人口は多い。


 その為に早速金星の影響が出始めている。


「誰か命令出さないとダメなんじゃないですか?」

「私の管轄は道央だぜ」

「ワタシは今は研究部門なのでありんす」

「俺は今は前線勤務じゃない」


 榊はこの前まで警察に出向していたのもあるとおり、現在は教育系の部門にいたりする。

 実際に霞沙羅を除く二人はどちらかというとバックアップ的な業務が大きく、戦いに赴く兵隊を束ねているわけでは無い。


「…とりあえず行こうぜ」


 誰の仕事でも無いけれど、何はともあれ状況確認だ。4人は空間転移で基地の方に戻った。


 その基地の方では一つの部隊が出動していく所だった。


 端末にくる報告は規模の大小関わらずで、警察案件であっても流れてくる。いつ軍に要請が来るか解らないからだ。それでもこの短時間でいきなり軍が出ていくというのは珍しい。


「確かに結構な規模だな」


 端末の情報が割と頻繁に更新されていて、文字情報がどんどん増えていく。


 そんな状況を見てしまった事もあって、横須賀基地はこの3人の厄災戦の時の職場でもあるので、堂々と司令室に入っていった。


「鎌倉の方で発生でありんすな」


 大小様々あるモニターには、横浜を中心とした、神奈川・東京・千葉・埼玉・伊豆半島くらいまでがカバーされている。


 それをぱっと見るだけでも幻想獣の出現が、けっこう広い地域で多数あるのが解る。


「海老名もか」


 今出ていった隊は逗子の方に行ったそうだ。


「関東なだけはあるよなあ」


 約一年半程度ぶりの金星接近。その事がテレビで報道されたのはまだ少し前だけれど、地域人口の違いでもうここまで影響があるものなのだ。


「人や機材の運搬くらいはするだっちゃよ」


 空間転移が出来る人間は、この横須賀基地にも少なくないけれど、多くの人間や武装や車両を巻き込めるほどの使い手となると、限定されてしまう。


 そこのところでは吉祥院は厄災戦でも大活躍したものだ。


「吉祥院中佐ほどの人間の手を借りられるのはありがたいが、今の所は警察管轄が殆どだ」


 吉祥院に声をかけられた、ここ担当の大佐が振り返ったが、厄災戦の英雄3人が揃っていることに驚いた。


「これは心強いが、彼女は誰だ?」


 これは伽里奈(アリシア)の事。


「こいつは、北海道で私のサポートをして貰っている伽里奈=アーシアだ。正規の軍人じゃないし、一応男だぜ」

「アリシア君は去年くらいから使い始めた教育用の新規テキストを纏めて貰った程度の魔術師ざんす」


 程度って、まがりなりにも軍人の教育分野に関わるって、それはすごいんじゃないだろうか。


「まだ高校生くらいじゃないか」

「横浜大の卒業資格持ちで、今の魔術師ランクはCの1位だっぺ」

「あれだぜ、私とキャメル傭兵団をとっ捕まえて、鐘の幻想獣を討伐する助力をした奴だぜ」

「新城大佐とか?」


 確かに話は聞いたことがある。軍の通常業務には関わっていないけれど、霞沙羅の右腕のような人間がいることは。


 この若さでC級の1位とは中々の腕前だ。


 日本最高クラスの魔術師2人が連れているというのなら、とりあえずこれ以上は詮索するのはやめようと思った。


「実際のところ、軍の出番は限定的だがこの時期は何があるか解らん。しばらく見ていってくれ」


 全員なにがしかの武器を持っているようなので、危機が迫るようなことがあれば、緊急出動要請をかけても大丈夫だろうと判断された。


 それもあってこの大佐の好意で4人は室内に席を与えられて、しばらく状況を見ることになった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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