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国家のお仕事-5-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 リバヒルからの飛行船はその美しい船体を見せびらかせながらラスタルの上空を一周してから、ようやく中庭に着陸した。それにしても先代と同様に空飛ぶ神殿といった姿は健在だ。


 工事中とはいえ、隣に位置してしまったフラム王国の飛行船とはかなり方向性が違う。ただ、外装のせいでちょっと重いという欠点はそのままのようだ。


 船体と地面との固定が終わり、中から将軍を初めとした客人が降りてきた。


「ようこそ王都ラスタルへおいで下さった。相変わらず美しい船体ですな」


 マーロン王が代表として前に立って出迎えた。


「大変な歓迎を頂きありがとうございます。そして、ようやくこうやって船での交流が戻ったことを嬉しく思います」


 客人のトップはこの将軍。その他には護衛と飛行船のクルーも含めて、二十数人が降りてきた。


 空間転移も出来るけれど、折角なのでとリバヒルの魔術学院からも賢者一名とその弟子二人がやって来ている。


 でも事前に聞かされているようにクラウディアの姿は無い。ああホントに残念。


 王家に続いて、三将軍家の面々が前に出て、その後ろには大臣達がスタンバイして、とフラム王国は熱烈な歓迎ぶりを見せる。


「ところであそこの背の高い女性は何者です?」

「彼女はエリアスといって、アリシアの相手になります。今のアリシアは神々からの依頼で下宿を運営しているのですが、そこでかつてラシーン大陸にあった神聖王国の、眠っていた巫女である彼女を紹介されたのです」

「そんな人物が。しかしなんと神々しい。あのような女性をめとるとは確かに英雄と言われるだけはあるのでしょうね」


 将軍だけでなく護衛達も、立っているだけでも目立つエリアスの姿に目を奪われている。まさに目論み通りだ。


 タウ達魔法学院の方は魔術師の方を歓迎し、アリシアにも挨拶するように言ってきた。


「お久しぶりです」

「おおアリシア君。色々とあったそうだね。機会があれば魔女戦争が終わってからの話を聞かせてほしいな」


 40代前半くらいの若い姿をしているけれど、この賢者も90歳を越える男性。この人は若い姿を選んだ人だ。


 残念ながらこれから料理を作るので、アリシアはこの人に付き合う事が出来ないけれど、タウ達は早速学院の方に連れていった。


「じゃあエリアスはアンナマリーにお願いするよ」

「ああ任せておけ」


 晩餐までしばらく大きなイベントがないからこそ、アンナマリーが来てくれて良かった。リアーネも付き合ってくれるというので、エリアス達3人は用意されている部屋の方に行ってしまった。


 これから王や将軍達は会談が控えている。飛行船の担当部署はリバヒルの船を見せて貰う事になっている。そしてアリシアは晩餐会用料理を調理するために厨房に入っていった。


  * * *


「しかし温蔵庫も便利なモノだな」


 前菜は温野菜にした。陶器の容器に野菜を入れて、温蔵庫の中で温めて調理をした。


 それとは別に、ディップするバーニャカウダも作って、会場に運ばれていった。


 それにしても今日の厨房には魚介類がいっぱい用意されている。確かに注文はしたけれど、人手を使って朝から港町ブルックスから張り切って買ってきたのだ。


 メニューには具だくさんな魚介のスープもあるし、麵料理もある。変わり種として、洋風にアレンジしたエビチリ、春巻き、それと海鮮お焦げ。そして天ぷら。


 ちゃんとお肉料理だってある。小さなスキレットをいっぱい作って貰って、ミニハンバーグも作っている。今回かけるのはチーズソース。


 今日はコース料理をゆっくり食べながら、落ち着いて歓談をして貰うという主旨だ。


「冷蔵箱で保管が出来るから便利だ」


 朝から下ごしらえしているモノも冷蔵箱に入れて安全に保管しておける。一個一個の量は少ないけれど、料理の種類が多いだけに、とても助かるアイテムだ。


 ロビン達も今後、料理を作る際の組み立ての参考にしようと考えている。下ごしらえをしたモノを長時間保存しておけるようになったのは、やっぱり大きい。


 最後はデザートの苺のパフェが待っている。一体どんな味なのだろうか、皆気になって仕方がない。


「そしてこれがカレーか」


 明日用のカレーがもうコトコトと煮込まれている。温度調整が簡単な調理盤を使っているので、設定した温度を保っていて、火力調整の手間がかからないから、鍋の中の面倒だけに注力出来る。


「すごいですよね、これ。色んな料理に使えますね」


 厨房のスタッフもいきなり持ち込まれた調理盤を実際に使って、魔導士の凄さを実感している。


「これを使って、会場で天ぷらを揚げたてで出すんですよ」


 あと海鮮お焦げ用の餡も熱々のまま持って行ける。あれはやっぱり熱々じゃないとダメだ。


 作り始めた時はこういう使い方は考えていなかったけれど、やっぱり作って良かったと思うアリシアだった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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