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お祝いとさよならと-2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 アシルステラ側の事情については、お隣のリバヒル王国からの大使が来る事が決まったから、フラム王国としてもアリシアが作っている調理道具の完成を急ぐ必要が出てきた。


 元々魔法学院も調理盤には協力体制を取ると決めていたので、高熱による火災対策で敷く耐熱材の開発を進めていてくれて、今日はその実験を行う日となった。


アリシアとしても、調理盤でお鍋や揚げ物を作りたいので、200度まで温度を上げられるモノを複数個作ってお城まで持って行った。


 学院ではなくてお城で実験をするのは、マーロン国王の耳に入ったこともあって、可能であれば騎士団でも使いたいと言い出したからだ。


 何しろキャンプ地で余計に火を使わなくてもいいし、大きさもそれほど大きくないので持ち運びにも優れている。飛行船に積んで空中遊覧をしながら出来たての料理を食べるのもいいけれど、もっとちゃんと生活の中で使いたいようだ。


「これならばお前の要望にも応えられよう」


 大賢者タウが板を3枚持って来た。これに調理盤を乗せて料理をして、土台として用意をした木製の机が燃えないかどうか確認をするのだ。


 早速用意された部屋に移動した。


「アーちゃんに言われて、ちゃんと食材も用意してあるゾ」


 ルビィの方では天ぷらと串カツと魚介の鍋とワッフルを作るために、食材を用意して貰っていた。


 国内トップの魔術師達が集まって、結局やるのは料理とか、今更ながらシュールな光景だけれど、これは国家的な事業。いたって真面目な魔術の実験だ。


 断じて遊びでもレジャーでもただの食事会でも無い。


 騎士団からもランセル将軍を初めとした上層部も何名か集まり、一応の完成形となるその性能を吟味しに来た。


 勿論あとでマーロンも見に来る。


「この板だけで料理をするのか?」


 この世界のコンロの火は、当然薪を燃やしたもの。


 地球の台所にあるようなIH機器やガスコンロのような小型な物ではないし、火力の調整も素人には難しい。


 キャンプではたき火を焚いたり即席の竈を作ったりで結構面倒くさい。それがこの書籍よりも薄い板1枚で出来るのであれば、それは有り難い。


 しかも薪が燃えているわけでは無いので、煙は出ないし、灰は残らないし、鍋にススがつかない。


 厨房からもロビン達数名の料理人がやって来ていて、ついでに料理を教わるつもりだ。


 人が集まったところで机の上に耐熱の板、調理盤、事前にモートレルの鍛冶屋さんに発注しておいた底が平たい鍋を2種類置いた。


「とりあえず鍋を乗せないで動かしておきますね」


 料理の前に耐熱性能の検証だ。便利機能として、10度ずつ温度の変更が出来るようにしたので、まずは100度からはじめて、だんだんと温度を上げるのを見ていて貰うことにした。


 その間に、アリシアは料理の準備を始めた。


「天ぷらはヒルダのところでも食べていたナ」

「ちょっと前に教えたんだよ。湖の魚はあっさりしすぎてるから、揚げて食べるのがいいと思うからねー」


 残念ながら今回も塩で食べる。でもその方が食材の味が感じられるので、上品な感じがする。


「東の何とかって国に、大豆から作った黒いソースがあったでしょ。あれをどうにかしたいんだよねー」

「あったナ。このウスターソースとかいうのとは別物なんだナ」

「こっちのソースは主に野菜とか果物とか香辛料だからねー。あっちのは大豆を発酵させてその水分を絞ったものだから。あれ作るの一年近くかかるし、どっかから輸入出来無いかなー」


 それはともかく、今日の串カツにはウスターソースがあう。さすがに醤油では無い。


 耐熱素材の方はタウ達が観察しているけれど、200度に上げても燃えるような気配も無く、机に焦げすらついていない。


「アリシアよ、これでどうだ?」

「さすがですね。調理盤を実用化する際は、一体化したいんですよね」

「それは問題無いだろう」

「タウ殿、この熱くなる板は実用化出来そうか?」


 騎士団代表として、ランセルも気になる。戦争は無いけれど、盗賊や魔物の討伐に行く時に、キャンプで使っていきたいと考えている。


「アリシアが懸念していた火災問題については、この耐熱材でクリアしたと思って良いだろう」

「あとは魔工具として実用的かどうか、これから見るわけです」


 その話とは別に下ごしらえをしている厨房料理人も料理長ロビンも、調理盤が厨房で使えないか気になっている。


 ビーフシチューはマーロンが気に入ったわけだけれど、前述のコンロの問題で長く煮込むのがちょっと手間がかかっている。


 でもこの調理盤なら、温度が一定に保たれるようだから、火の調整に気を使わなくてもすむ。


「アーちゃんよ、ワッフルとかいう食べ物はどう作るんダ?」

「これこれ、専用の道具を作ったんだよ」


 ワッフルメーカーも調理盤に乗せて焼くために作って来た。


 ワッフルの元もロビン達に指示して作って貰っている。今日は簡単に蜂蜜とフルーツだけで食べて貰う予定だ。


「じゃあそろそろ料理をしますねー」

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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