このところの来客につき -7-
場面により主人公名の表示が変わります
地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
翌朝には藤井からメールが届いて、秋田の実家から札幌に帰ってきたと書いてあった。
年始は寺院の仕事で忙しかったであろうあの2人にも、A組向けのレポート提出があるのだろうけれど、それは心配する必要はないだろう。
メールの文面には、まだ残っている冬季休暇中に年末の実習で作ったチョコケーキの作り方を教えに来て欲しいとあった。
どうも一ノ瀬がもう一度食べたいと言っているようなので、じゃあ、と候補日とその時に用意しておいて欲しい食材を書いて返信した。
その際にお礼として横手やきそばを作ってくれるそうなので伽里奈も、楽しみだよ、と返信をしておいた。
「休みの終わりも近づいているわね」
今日は事務所もお休みなので行っていないけれど、エリアスもいつもの日常に戻る日が近づいている。
それでもファッションイベントへ向けての準備は進んでいるので、学校に行く裏で色々と忙しくなってくるだろうなと思う。
それとは別に、テレビ出演が迫るフィーネの方はどうするんだろうと思っていると、ネコの親子が入ったキャリーバッグを抱えて、外から帰ってきた。
中からはミーミーと子猫たちが鳴く声がする。
「小僧、手伝うがよい」
色々とネコたちの道具も持って来ているので、2人でそれを受け取って、まずはネコたちの居場所のために、シートを敷いてからネコ用ベッドを床に置いた。子猫たちが不用意に出ないようにか、フワフワ素材のドーム型だ。
その他に玩具や水入れやおトイレ、等を広げている横で、フィーネがネコたちをバッグから出した。
「ミー」
「ニャー」
床に下ろすや子猫たちがバラバラに動こうとした所を、母ネコが引き留めて、4匹は仲良く、まずは自分達の寝床であるベッドの中に入っていった。
「ちょっと大きくなりましたねー」
前に預かったのは一ヶ月と少し前。
まだまだ見た目も無き声も全然子ネコだけれど、もう手のひらサイズにしてははみ出るくらい。しかしこれ、アンナマリーは大丈夫なのだろうか。今は良くても、いつ頃になったらダメになるのだろうか。そんな疑問が浮かぶ。
そしてネコの声がするので、キャットタワーで寝ていたアマツが目を覚まし、降りてきた。
「ちょっとまた3日間預かることになったのじゃ」
「ニャー」
「にゃー」
アマツはベッドの中に声をかけると、母ネコの方も返事を返してきた。
前回もそうだったけれど、この家にはフィーネとエリアスとシスティーの、動物と意思疎通が出来る存在がいるので、アマツも母ネコも喧嘩をすることなく、今回も平和的に滞在することが出来る。
「あ、子ネコちゃん」
「お、ホントにまた来たな」
2階からシャーロットとアンナマリーがやって来ると、玩具を手に取って早速子ネコ達を構い始めた。
「うーん、順調に大きくなっているな」
「ミー」
人差し指を鼻のところに当てると、子ネコたちもアンナマリーを思い出したようで、遊んで貰おうとベッドから出てきた。前回の滞在は余程楽しかったのだろう。
それを見ていたからなのか、これについては母ネコは先程のように止めようとはしなかった。
「あ、ネコちゃんも見守ってみる?」
「にゃーん」
最近は遊んでくれるようにはなったけれど、まだ中々触ってくれないアンナマリーを避けるように、アマツはシャーロットの側に移動してきた。
アマツはシートの上にコロンと寝転ぶと、シャーロットはナデナデしてくれて、満足そうに目を細めた。
「えー、ネコちゃんがいつもより可愛いんだけど」
シャーロットにとって実家にいる犬は勿論可愛いけれど、週に二、三回は寝る時に部屋に連れて行くくらいにはアマツも可愛いと思っている。
先日実家に帰ったら、弟妹2人は機会があったら黒ネコが欲しいと言っていた。勿論今いる犬のお友達として。
犬派の家だったけれどアマツと遊んでネコも気に入ったらしい。
それはシャーロットもそう思う。家に帰ったら黒ネコを探してみようと思う。
「ミー」
アマツを撫でていると、子ネコも撫でて欲しくなったようで、催促するように小さな爪で膝をちょっと引っ掻いてきた。
「もー、甘えん坊子ネコちゃん発見!」
体がちょっと大きくなって、撫でやすくなった子ネコをシャーロットは優しくなでなでしてあげた。
ネコ嫌いのアンナマリーも、子ネコがちょっと大きくなった事も気にせずに、撫でたり、玩具を手にして積極的に遊び始めたので、親猫は安心したのかアクビをして、子供の世話をベビーシッター2人に任せて、お昼寝を始めた。
そんな感じで伽里奈達が、満面の笑みで子ネコと遊んでいる2人を見ていると、裏の扉が開いた。
「ふむ、帰ってきたようじゃな」
フィーネが立ち上がって動き出したので、伽里奈も裏の扉の方に行くと、そこには9月下旬に格闘大会に赴いてご無沙汰だったユウトの姿があった。
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