表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

332/525

このところの来客につき -6-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 今日のニュース番組では遂に金星接近の話題が登場した。


 純粋な天文学好きには一つの心待ちなイベントではあるのだけれど、この地球に住む多くの人間にはあまりよろしくない天文ショーとなっている。


 番組では天文学専門の大学教授なんかが出てきて、純粋にどういうスケジュールで接近から最接近、そして遠のいていくのかを、用意した図とCGでの星の動きと共に見頃をカレンダーで示した。


 そして、それに続くように寺院庁の担当者が、これまでの歴史やそこで起きた事件を紹介し、地区ごとの警戒度をもって注意を促すという二段階の報道となった。


「私には関係なさそうか?」

「アンナマリーは、この家からあんまり出ないから関係はないかなー」

「隣の私の家に来る程度だしな」


 たまにコンビニにはついてくるようにはなったけれど、まあ、アンナマリーはこの件は無関係。


 この金星の接近については、日本に来た時に伽里奈(アリシア)も驚いたモノだけれど、小樽がどうこうなるというような話ではない。


「またペンギンに会いに行きたいんだが」

「そのくらいなら問題無いだろ。水族館は小樽市内だしな」


 霞沙羅の言葉の裏にある意味はアンナマリーには解らない事だけれど、伽里奈(アリシア)が転移魔法を使えば水族館とやどりぎ館を易々と往復出来るので、安全ではある。


「小樽の水族館もいいけど、それとは別に登別の水族館にも行こうねー。近くにクマ牧場もあるし」

「クマちゃん牧場は絶対に行きたいわ」

「そっちはシャーロットの試験が終わってからかな?」

「その頃になれば、金星も離れていっているだろうしな」


 金星が接近したからといって、世界が滅びるような事件が起きるわけでもないだろう。


 それでも一応、マリネイラ神の影響力が弱まってからの方が、安心して楽しめるのは確かだ。


 ニュースでの報道は割とあっさり終わって、次の話題に移った。


  * * *


 その後は、やどりぎ館の裏にある森に住んでいるエゾリスが庭に来たので、ちょっとした騒ぎになったアンナマリーとシャーロットもそれぞれの部屋に戻り、今日の仕事も終わった伽里奈(アリシア)が部屋に戻ろうとすると、スマホに着信があった。相手は中瀬だ。


「あーい、なにー」

「悪い、レポートの件で相談なんだが」


 そういえば、長いハズの北海道の冬休みもそろそろ終わりが見えている。


 今年の年末年始は入居者として榊が増えたり、アシルステラでの案件もあったりで、色々と忙しかったので、もうそんな時期なのかと思ってしまった。


 附属高校の学生達も慌てて纏めをしているのだろうか?


 中瀬の話しを聞いていると、レポートの結論は出来ている様子で、今は最後の仕上げ中とのこと。文章の構成で悩んでいたので、電話越しながら聞かせて貰って、アドバイスを送った。


 三学期が始まってからも彼らのために色々と策を練っているので、真面目に課題に向き合ってくれていて嬉しい。


「他の皆はちゃんとやってるのかなー?」

「早藤は昨日終わったようだぜ」

「お、そうなんだー。中瀬も殆ど終わっているようなもんだし、皆真面目にやってるのかなー」


 そういえば新学期ともなれば早々に料理の授業で次のメニューを考える必要がある。


 最近は料理する気満々のシャーロットは1月の下旬には日本にいないので料理実習の準備作業には参加出来ないけれど、これはまあ仕方が無い。そんな事よりも自分の卒業試験が大事だ。でも実際の演習には参加出来るだろう。


「休みが終わると思ったら、いきなり金星接近だよなー。前の時はまだ中学生で、魔術の基礎勉強をしている頃だったから他人事だったんだよな。実際のところ、学校周辺に出たらオレ達はどうなるんだ?」


 事件と言えば、キャメル傭兵団が襲撃した時には中瀬達は家に帰ってしまっていたので、あの場にはいなかった。


 学生は、一ノ瀬達のようなちょっと特別な生徒を除いては、幻想獣が来た場合には避難するように言われている。


 だから、例え金星接近の影響で、キャンパス内や周辺に幻想獣が現れても、教師達の指示に従って避難する。これが原則だ。


 そもそも、まだロクに実用的な魔術を教えて貰っていないから、戦うのは無理。せいぜい、練習用魔法を使って、目くらましにするくらいが限界。そんな事をするくらいならさっさと逃げて欲しいところ。


「まあでも小樽だし、前の時も期間中に2、3回出たくらいじゃなかった? とりあえずその、国のガイドラインを見て家族ではどうするのか決めておくしかないよねー。あとは新学期早々に学校でも案内があるでしょ」


 新学期からは、最下級ではあるものの、実用可能な魔法の習得が始まるから、そうなってくると「何か出来無いものか?」という思いが出てくる。


 でもまだそれは厳禁。


 厄災戦の時には戦闘能力の高かった霞沙羅や榊だけでなく、一般的な学生も戦うこともあったようだけれど、まだ一年生は早い。


「とりあえず今は大学と共同で設備のアップデートとか、教材にシャーロットの意見を反映させようとしてるから」


 金星の接近による影響が出るであろう期間は一ヶ月も無いので、その短い間をどう過ごすかだ。


「結界とかゴーレムとか、裏で色々やってるんだったな。そうかー、じゃあまた何か新しい授業があるのを楽しみにしてるよ」


 アドバイスを貰って課題の続きをやるからと、中瀬は電話を切った。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ