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このところの来客につき -4-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 来賓対応の話をしながらお城の中庭まで馬車で移動してきて降りたところで、ランセル将軍とジェラルド将軍が話し込んでいた。


 別にアリシアを待っていたわけではなく、たまたまこういうタイミングになってしまっただけだけれど、2人はアリシアの姿を見ると、丁度いいのが来たとばかりに歩み寄ってきた。


「今度は何ですか?」

「英雄ともなると人気者ねえ」

「なんだ、あの馬車から降りてきたが王妃様と何があった?」

「あの、今度リバヒルから使者が来るとかで、晩餐会とかの料理を作りなさいと依頼を受けました」

「それについては我々もマーロン様から伝えておくようにと言付かっていたところだ」

「そちらは問題無いだろうな?」

「え、ええ、まあ、時間は作ります」

「そうかそうか」


 アリシアが了解したというので、将軍が2人とも満足そうに顔を見合わせる。やっぱりこの2人も、国の中枢にいるだけあって何かしらの文化的分野でリバヒルに一矢報いたいと思っているのだ。


 飛行船内にちゃんと料理が出来る台所を作ろうとしていることは、今回の訪問では黙っておこうと思っているくらい。


 王族用の、外交に使う飛行船は本体自体はもう飛行が可能な状況になっていて、絶賛内装の製作が進んでいるから、今回のリバヒルからの訪問のしばらく後に、こちらからも使いを出す予定だ。


 その時に…。


「それはともかく、先日お前に一つ話をしたな。リバヒルからは女性も数名来る」

「クラウディアとかですか?」

「そうだな。それで女性騎士団による護衛を行うのだが、事前に一度お前に指導をして貰いたい。丁度今、巷で有名な演劇をしているように、お前は何度か、冒険中に貴族や王族を対象とした護衛の経験もあるだろう?」

「男が苦手な我が娘もお前の事は信頼しているようだしな」


 アンナマリーは護衛をしているわけではないけれど、まあ手助けはしているし。


「ただ、そういう服装はしなくてよい」

「はーい」


 プリシラ王女の時はメイドの姿を着て女装してたんですけどねえ、とは反論をしないことにした。


「私が何かお手伝いすることはありませんか?」

「「えっ?」」


 アリシアとしても、将軍2人からしても、なんとなく触れないでおこうとしていたエリアスが急に手を挙げてきた。


「夫であるアリシアばかりに王宮の仕事をさせるわけにはいきません」

「え、えーと」


 しかしこれはエリアスが自らの意志で「アリシアの役に立とう」と動いたわけで、アリシアにしてもそれに反対するわけにもいかない。


 でも王宮での仕事の経験は無いわけだし…。


「ふーむ…、エリアス殿はアリシアの料理について説明は出来るかな?」

「その位なら、出来ますが」


 まあ料理は出来ないにしても、どういう料理なのかとか、どうやって食べるのかはさすがに説明は出来る。


「いつもは我が娘がその役をやっておるのだが、毎回ヒルダ殿から借りてくるのも悪い。アリシアは今回も厨房で指示をしなければならないだろうから、今回はエリアス殿に任せても良いかもしれんな」

「確かに、それにその姿は、誰もが息をのむものでもある」


 エリアスより背が高い女性はなかなかいないし、宮中の男でも数える程しかいないけれど、その見た目はまさに美の神が作り出したような神々しさがある。


 あの芸術の国にも、こういうのが我が王国にはいるのだぞ、とアピールも出来る。


「では王にはそのように進言しておこう。返答については、ルビィに伝えさせるとするか」

「それで、お願いします」

「ボクからも、お願いします」


  * * *


 やどりぎ館に帰って、伽里奈(アリシア)はエリアスにもう一度訊いた。


「あれ、大丈夫なの? エリアスって、今度イベントの仕事があるよね?」


 ファッションイベントに出るから、最近は寝る時に伽里奈のベッドに潜り込んでくることが無くなって、寝る前にも色々と自室で勉強をしているくらいのめり込んでいる。


 寝る時に隣にあったぬくもりが無くてちょっと寂しいけれど、初めての大きなイベントに向けて一生懸命勉強しているエリアスを応援しているから、今は余計なことをやらせないようにしているけれど、まさかの王宮のイベントに手を挙げてきた。


「貴方の婦人というのもあるけれど、人前に立つっていう勉強もしたいの」


 エリアス的には今日は珍しくアリシアが「奥さんです」と言ってくれたのも嬉しかったから、何か手伝いがしたくなった。


 それに人間にとって国の偉い人が多く集まる、緊張感ある場所を経験すれば、沢山の来場者がいるイベントでの緊張状態に耐えられるようになるかもしれないと考えた。


「その辺りはフォローしますよ」


 夕飯一回、お茶会一回なので、伽里奈(アリシア)が丸一日いないわけではないから、システィーでも何とかなる。


「王宮でのある程度の振る舞い方なら私が教えてあげられるぜ」


 その分野はアンナマリーが得意だ。


「ええ、そこはお願いするわ」

「エリアスにしては随分と大胆な動きを見せたもんだな。しかしまあ伽里奈が子爵だし、今後もこういう場に出ることにもなるだろうしな。やっぱり早めに動いておく方がいいだろうな」


 この家の中では教えられることの多いアンナマリーも、ちょっとは他の人の為に動きたいと思っている。


 それに入居者とはいえ、このやどりぎ館はとても家庭的な雰囲気で、家族的な位置にいるエリアスの力になりたいとも思っている。だからこれは自分の貴族令嬢としての経験と知識が活かせる絶好の機会だ。


「アンナが頼もしいわね」

 これはハイパーお嬢様の面目躍如といったところだ。社交界での振る舞いについてはさすがに誰も勝てない。


 ある時代のエリアスは崇められて、人間に礼を尽くされる側だったし…。


 力強い援軍を得て、エリアスは新しい一歩を踏み出すことになった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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