表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

329/525

このところの来客につき -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「変なこと質問されたり、変なこと言ってないよねー?」

「大丈夫よ」


 4年近くこの世界にいなかったわけだけれど、それまでずっと側にいたエリアスしか知らない息子の裏の顔的な、性癖とか…、なんか恥ずかしい話はしないで欲しい。


 特に何も無いけど。…無いハズ。


「何でまた学校に行っているのかは聞かれているわよ」

「まあ、そういう事なら」


 ひとまず安心して、もうちょっとラスタルを歩くことにした。


 食品関連のお店が集まる一角に見慣れないお店があると思ったら、どうも国営のようで、港町ブルックスから運んできた魚介類を一般販売しているようだ。


 お店に買いに来ている人達もどこかのお屋敷で働いているような人達で、お値段も高めで、実家のような大衆料理屋ではそうそう料理の食材としては扱えない感じだけれど、ちょっと前までに比べればかなり値下がりしている。


 何といってもこの町に鮮魚を売っているお店がある、というだけでも箱を作った甲斐があるというものだ。


「あれはボクが作ったモノじゃないなー」


 店頭で魚とかが置いてある板は、魔術でちょっと冷えているようだ。


 冷蔵箱の技術自体は学院に提出してあるから、それを利用したのだろう。同じように、学院が量産したとおぼしき箱のいくつかが、お店の隅っこに置かれている。


「本格的に魚の運搬を始めたのね」


 あの冷蔵箱を学院に提出して三ヶ月くらいになるのに、王様と学院の本気度を感じる。


 これで運搬専門の飛行船を建造すれば、もう少し店頭価格も低くなるだろう。


「国からまた何か料理を作れとか言われるかもしれないわね」

「それはそれで対応するけどねー」


 貴族の仲間入りをしたといっても、今のアリシアが関与出来るのは学院経由なので、そこから先にある国も具体的に動きを見せてくれて嬉しい。


 時間的には夕食用だろう、魚介類は売れ行きも良さそうなので、やっぱりこのラスタルでの需要は高かったようだ。


 だったら需要を高めるための魚料理の提案をしろと言うのなら、しようじゃないか、と思っていると、通りの向こうから王族が乗った馬車の一団がやって来るのが見えた。


 道行く人達が左右に別れて道を空けていく。その間を護衛の騎士達と馬車がやって来るいつもの光景。


「王妃様だねー」


 どこかからのお帰りのようで、のんびりとした速度でがやってくる。


 アリシア達も町の人と一緒に道を空けて王妃様達が通り抜けるのを待っていると、目の前で馬車が止まった。


 そして馬車の窓が開くと、侍女と思われる女性が顔を出して


「そこの方、この町では見慣れないようですが」

「え、エリアスのこと?」


 エリアスは確かに外見的に目立つし、このところちょこちょこラスタルには来ているし、ドラゴンの時に王様や騎士団関係者といった、お城勤めの男には会っているけれど、王妃様にはまだ会っていない。


「あのー、ボクの奥さんなんですけど」

「女性同士のようですが」

「あ、あー、アリシアなんですけど、ボク」


 いつもと髪型が違うので、慌ててシニヨンを解いて、いつものように髪を結わえた。


「これでどうです?」


 さすがに中に座っていた王妃もアリシアだと解ったようで、今度は馬車に乗るようにと指示してきた。


「え、いいんですか?」

「アリシア殿に依頼があるそうですので」


 そうですか、と2人で馬車に乗り込むと、王妃様はエリアスを下から上まで値踏みしてから口を開いた。


「近々ですが、同盟国のリバヒルから客人がやって来ます。向こうも飛行船が出来上がったので、その試験もあるようで、技師として貴方が良く知るクラウディアが乗ってくるそうですよ」

「あらそうなんですね。クラウディアはここの魔法学院に滞在するという話もあるみたいですけど」

「その挨拶もあるとのことです」

「そうですか」


 クラウディアも魔女戦争の時に、リバヒル王国で活躍した人物だ。だからアリシア達6人とは面識がある。


 魔女戦争で色々と同じ戦場を経験しているので、会うのは4年ぶり。エルフだけれど、穏やかな性格で、高い魔術の腕前だけでなく、リバヒル王国内でも信頼の高いエルフで、王宮魔術師の中でも要職にある。


「それはともかく、我が国としては使者達をもてなさねばなりません、といえば解りますね?」


 馬車は動き出していて、お城に向かっている。


「アリシア、貴方の出番です。貴方の友人であるライアのいるベルメーンに出入りしているとはいえ、そこまで料理を教えているわけではないでしょう?」

「そうですね」

「ですので、彼らをもてなすのです。私としては同行の女性の為にお茶会を開くので、その時に色々と茶菓子を用意して欲しいところですが」

「そ、そうですか」


 王妃様がちょっと燃えている。


 文化的にはこれといって特徴の無い、ごく普通なフラム王国は、芸術で売っているリバヒル王国に比べると食べ物もちょっと地味。


 味が悪いわけではないけれど、ここラスタルはこの周辺国の王都にしては、やっぱり魚介系が弱いだけあって料理のバリエーションで弱い。


 そこへ来て、アリシアの魔工具で港町から鮮度を保ったまま、これまでより多く魚介類が運べるようになったし、日本から色々と料理を持ってきてくれるようになった。


 まだまだ途上段階とはいえ、地味な国を治める王家の人間としては、最近は料理が良くなっていることをアピールしたい。


 ウチの国は最近こんなモノを食べているんですのオホホホ、と自慢したい。


「アイスクリームの使い方はあれだけではないのでしょう? それを披露しなさい」

「はーい…」


 今回も前もって言ってくれはいるけれど、その日に絶対来い的な予定を組まれてしまうのは困る。こっちが何をやってるのか以前にちゃんと説明してるんだから、そろそろ皆さんご理解して欲しい。


 まだあとちょっと冬休みがあったから良かったようなモノの。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ