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次の事件の始まり -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「吉祥院さんが帰っちゃって残念だけど」

「まあ悪いな。こっちの世界の事情に巻き込んで」

「それは仕方が無イ。また今度機会を作って貰えれバ」


 霞沙羅は軍本部へ連絡を終えているし、榊も警察関係者に連絡を終えているので、単純な軍関係者は特にこれからやることも無く、部屋に戻ってきた。


 イギリスでの会議後に日本の関係各所へ連絡が来るだろうから、そこからどうなるか。ただとりあえず今は変に動いても仕方が無い。


「折角だし、今後のために地球の魔術でも教えてやろう」


 実際の所、ダンジョン作成の魔法の話も、上手く伝えられているのか微妙なところだったので、ルビィとしてはもっとこっちの知識が欲しいと思っていたところだ。


 伽里奈(アリシア)がテキストを渡してあげていたり、それを使って鏡の通信で話したりはしているけれど、やっぱり会って話した方が会話もし易いので、今やって貰うのは悪くない。


 ダンジョンの件は、ルビィの方でも一度纏めておこうと思う。多分向こうでも役に立つだろうし。


 だったらという事で伽里奈(アリシア)も新しいテキストを印刷して、持って来た。


「なんというか、知識ゼロから魔術を学ぶのは初めてだから何か新鮮ダ」

「私もこいつも、本能として魔術の基礎を持って生まれるという人間の感覚がわからん」

「物心ついたときには初級魔法の魔術基盤くらいなら頭の中にあるという感じダ」

「吉祥院の奴もそんな事を言ってたがな。家族は危なくねえのか」

「だから親からはすぐに制御方法を教えられタ」

「あれ、お前の初代師匠はアリシアの師匠と同じじゃないのか?」

「両親が忙しくて、行ってこいと言われたのダ。両親には悪いが、教えるのは上手い人だったナ」

「そういえば全然会いに行けてないなー」


 剣のお師匠さんも自国からお声がかかって帰ってしまったからエリアスに頼んでこっそり…、でないと問題になりそうだけれど、それはやっておかなければと思う。


「私は教えるのがあまり上手くなくてナ」

「学院の職員やれてんならそんな事は無いと思うぜ」


 実際に霞沙羅や吉祥院とは魔術の話ではお互いに意見や技術の交換は出来ている。そうでなければ吉祥院が呼んだりはしない。


「ルーちゃんは、先生達やシャーロットくらいの人間なら相手が出来るんだけど…」

「なんだ、お前にしては辛辣だな」

「初心者に教えるのは得意じゃないねー」

「もたつかれるとイラッとするのダ」

「吉祥院の奴も大学で教えられる奴は限定されるからな」

「そういう意味では、地球の魔術をイチから学ぶのはいい経験になっていル。アーちゃんのテキストの出来もいいしナ」

「人間いくつになっても勉強だぜー。こいつの女神だって、その道の、人間の先輩に教えて貰ってる最中だしな」

「あの女神もやるもんだナ」

「霞沙羅さんもそろそろ料理の十個くらいは覚えます?」

「それは無い」

「私も嫌だゾ」


 女だからと言う気は無いけれど、一人の人間としての限度はあると思う。


「お前、私が聞いてきたワサビ丼の作り方を教えてやっただろ」

「アレ悪くは無いんですけど、ご飯に鰹節掛けてスったワサビ乗せるだけじゃないですか」

「あのワサビが料理のキモなんだって。榊も気に入ってるんだぜ。あれがあれば酒がはかどる」


 必ずしも霞沙羅が料理を作る必要性は無いけれど。夫婦が揃って外食続きは良くないだろう。


 夫婦になるにはまだ早いけれど、もうちょっとこう、最低限の生活能力は欲しい。


「ここに住んでりゃいいんだよ!」

「いやまあそうなんですけど…。開き直られちゃったんで、もう勉強しよ」

「そうだナ」


  * * *


 千葉の成田国際空港にロンドンからの便が到着して、入国審査を終えた多くの乗客が到着出口から出てきている。


「…」


 一晩経って、アイザックが旅客機で来る可能性もあるので、朝からこの成田国際空港と関西国際空港では、警察が網を張っている最中だ。


 研究用アジトを出てすぐに日本に来るのか、どのルートで日本に来るのか、果たして本当に日本に来るのか、それは何も解ってはいないけれど、欧州一帯の国際空港のや各航空会社に乗客を調べさせたりと、逃がしてしまった失敗に囚われすぎず、水際で上陸を防ごうと迅速に動いた。


 本国から連絡を受けたライゼンも、そのメンバーの一人だ。


 飛行機は常日頃から搭乗前も搭乗後も魔術の使用にも、魔工具類の持ち込みもきちんとチェックをしている。


 機内手荷物は無論NGとして。魔術師が当然のように存在するするこの世界で、航空機に全く持ち込めないわけではなく、事前に何を持ち込むかの申請と、きちんとした封印を施すことで、預けることが出来る。


「やはり変装はしているだろう」


 当然、そのままの名前でバカみたいに真っ正面から乗り込んでくるはずは無い。パスポートも偽造だろう。

 入国審査の方からも不審人物の連絡は無い。


 外国からのビジネスマンを出迎えるために「○○様歓迎。株式会社△△」といった画面にしたタブレットPCを掲げている人もいる。


「こういうのはどこも変わらないものかな」


 今時は事前にネット会議で顔合わせも出来るし、待ち合わせ相手の画像とかを送っておくことも出来るだろうに。


 冴えない感じのちょっと汚れた工場作業着を着た2人が、降りてきたややお年のエンジニアっぽい男性と出会えたようで、ややぎこちない英語で歓迎をしている姿が見えた。


 日本観光がブームになっているので、大きなスーツケースを引きずった家族やツアー客の姿もある。


 年末年始休みからの帰省ラッシュは数日前に終わっているのに、厄災戦以降は羽田の東京国際空港が使えなくなっているから、どうしても成田か関空に海外渡航者が集まってしまい、日常的に混み合ってしまう。


 他の空港に国際空港の機能を追加する予定はあるようだが、それはもう少しかかるとか。


「くそ、思った以上に人が多いな」


 関空の方でも同じようにアイザック捜索は行われているけれど、向こうからの連絡も無い。


 しかし、逃亡の翌日である今日、都合良くフライトをしているかどうかも解らないのだ。だから日本の警察と協力して粘り強く探すしか無い。


諦めるにはまだ早い。


  * * *


 カナタのアクセサリーショップのシャッターが久しぶりにガラガラと音を立てて開いた。


 結局二日くらいお休みを延長してしまったけれど、常連がいるわけでも無く、別に困るお客はいないし。


 今はいたかもしれない…。


 それでもお店の外には開店を待っている人間もいないし、問題無い。


 軽くお店を清掃して、開店準備に入った。


「それでは行ってくる」


 一緒にやって来た沼倉ソウヤが出掛けていこうとする。


 ヤマノワタイではターゲットの研究をしっかりと行い、専用の魔工具も用意してもらい、後はタイミング次第。それまではじっくりと待つ。


「お客次第の所もありますので、また連絡をしますわ」

「客人がどうなっているかよね」

「ネットでも漁りますの?」


 誰かに頼んでいると言っていたから、下手をしたら何か事件になっているかもしれない。


 捕まったとなれば、客人はもう来ないだろう。何も無ければ、もしくは何かあれば客人が来るだろう。


「さてさて、どうでしょうねえ」

 カナタはPCの電源を入れた。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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