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次の事件の始まり -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 場面は変わって王都ラスタル。


 会議は甘いおやつを食べながらやればリラックス出来るのではないか、とよく解らないことを言われ、今日のアリシアは霞沙羅と吉祥院よりも先に魔法学院に入って、学生食堂の厨房を借りてパフェとオムレットを作らされている。


「その冷凍箱の中身が気になる所じゃのう」


 アリシアが調理するのをタウ達が見に来た。


 冷凍箱の中はパフェ用のアイスクリームが入っている。


 アイスを作り、オムレット生地を焼き、生クリームを用意し、果物を切り、パフェ用のビスケットを作り、果物のソースを作り、と準備をしている。


「アーちゃん、すごい美味しそうじゃないカ」


 たっぷり用意された生クリーム、と何に使うのか解らないビスケットがこれから作るモノを期待させる。


「実際に完成させるのは2人が来てからですからね」


 容器を人数分出して、あとは2人が来るのを待つことにした。


 別に遅れているわけではなくて、予定通りならそろそろ、エリアスに送って貰って来る頃だ。


「ところで飛行船に乗せる調理器具だが、ジェイダン将軍からも推薦があった。まず船に乗せる前に、一度お前が想定する温度まで上げて、我々で考えているでも防火素材安全が解決していないのであれば学院を巻き込んで知恵を絞ってみようではないか」


 どうも先日のフライトの事を、将軍とここにいる賢者ルーシーがちゃんと王に調理盤の使用感を伝えてくれたようだ。


 そうなると王族の船にも乗せるのだから、台所のデザインもしないといけないし、その為には早めに安全性を確保しないといけない。


「そうですね、火事にならないように外でやってみましょうか」


 これで船での旅も快適になれば、実家にあれば何か煮物を温かいまま置いておける。


 こっちの家庭では馴染みの無い鍋じゃなくても、チーズフォンデュとかもいい。温度がいるというなら揚げ物もいい。


 その時のために何の料理を作るか考えておこう。


 そこで、壁に設置された連絡設備に受付からの連絡が入った。


「失礼します。シンジョウ殿とキッショウイン殿がいらっしゃいました」

「解った、今行く」

「じゃあ私が行ってきまス」


 これは自分が適任とルビィが受付に向かっていった。


「それではボクはこれを仕上げまーす」


 今日の会議はすぐ側にある来客用食堂で行われるので、ここにいても仕方が無いタウ達は一足先に移動し、残るアリシアがパフェとオムレットの仕上げを開始した。


  * * *


 アリシアの作ったパフェとオムレットを満面の笑みで食べる、賢者と呼ばれる老人達に苦笑いをするしかない霞沙羅と吉祥院を入れて、ある程度詳しい宝物庫の情報交換が始まった。


 さすがにお互いに全部の仕掛けではないけれど、代表的なセキュリティー設備の概要をお互いに持ち寄って、プレゼンした。


 機械の無いアシルステラ陣営にはいまいち解らない設備があるけれど、そこはアリシアが「こっちでやるなら」といった翻訳をしつつ、意見交換は進んだ。


「宝物庫の作り方から違うでやんすな」


 以前はセキュリティーにはどういうのがあるのか、という話しかしていないから「やっぱ機械が無い文明はすごいな」という程の魔術バリバリ使用という印象だった。


 早い話が、ダンジョンや塔と同じ存在なので、建設そのものから魔術を使っている。


「時間はかかりますけどねー」


 漫画やアニメのようにポンと作れるモノでは無い。


 最初はいくつかの区画から作り始めていて、次の一区画、その次の一区画、と拡張していくので、今の宝物庫になるまでには数百年とかかっている。


 それはともかく、全てを魔術師が作るおかげで最初からセキュリティーを組み込んだ状態で設計されている。


 その為には例のジオラマの時点で詳細な設備設計をしておかなければならないけれど、宝物庫を作るようなこだわりのある魔術師が、自分だけのこだわりを建築段階から反映出来るので、魔術師の吉祥院としては羨ましい。


「アリシア君、やどりぎ館で語り合おうじゃないか」

「ボクも出来ますけど、ダンジョン建造技術は今のルーちゃんの方がよっぽどいいと思いますよ」


 モートレルの探知設備については、元々人の手で作られた城壁が存在しているから、その多くは人の手で拡張されていて、一部がこの技術が使用されている。


 旦那の仕事にも手を貸しているので、ルビィは以前よりも建築技術を身につけている。


「ライアの所で使った魔術が、こんなに重要な技術だったとはな」


 そういえばここの宝物庫はダンジョンだよなと、考えれば導き出せただろうけれど、技術のインパクトに忘れていた。やっぱりダンジョンという存在が持つ魔性の力に敵うモノは無い。


「我ら的にはアリシアがそちらの技術をきちんと理解しているのが解った。天望の座でどの設備を再現したいのか後で決める。それをアリシア、お前がその基礎部分をデザインするのじゃ」


 まあそのくらいなら、ある程度自宅のPCの中で確立しているので、何とかなるだろうと、タウ達の要請を受けることにした。


 出来上がったそれをブラッシュアップするのが天望の座の仕事となる。


 王者の錫杖盗難事件のような事がまた起きるのを防ぐには、セキュリティーをアップグレードするしかない。


 中にはまだまだ危険な魔工具も含まれているのだから。


「ルビィ女史はどうするかい? やどりぎ館に来て貰おうじゃないか」


 ダンジョンの作り方については吉祥院だけでなく霞沙羅も興味を持っているから、ジェスチャーでこいこいと招いている。


「いいのか、アーちゃん?」

「入居者の人が客人として招いているから、人数的にもどうこういう事は無いけど」


 吉祥院は入居者ではないけれど、霞沙羅も招いているのなら、管理人としても拒否は出来ない。


「じゃあ行こうじゃないカ」

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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