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鎮魂イベントは準備中 -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 試食会の後は、まだ時間もあるのでキースとレミリアに王都サイアンを案内して貰う事になった。


「鎮魂の儀はさっきのギランドルで行われるんだよな?」

「ギャバン教の儀式だからね、各国からの来賓もあの大神殿に宿泊することになるね。だからこのサイアンに来る事はないかな」


 主な来賓は各国の王族や大臣、敬虔な信者である地方領主など。


 他国から来る場合は多くが、自国の魔術師による転移であったり、王族の誰かが神官である場合は転移装置で、といった感じだ。


 ギランドルに近い領主は馬車でやって来ることもあるようだけれど。


「折角魔族の事件が終わって言うのに、今度は要人の警護と町の警戒か?」

「騎士をやっていると、国には大なり小なりの外交があるから、来賓に対する警備は頻繁にあることだしね」


 政治の関係だけで無く、宗教の総本山を抱える国の責任でもある。


「すごく気になるんだけど、レミリアは人間まみれの騎士団の中でちゃんとやっていけてるの?」

「ははは、まあ危うい場面もあるが我慢している。それに何人かは見た目は無視出来る人間も見つけているんだよ」

「キールの仕事の邪魔をするわけないじゃない」


 その辺の常識はあるようだ。


 向かっているのは闘技場。


 年末頃にアンナマリーとの会話で、この施設がある事を知ったので、霞沙羅から見たいと言われてやってきた。


 残念ながら今日はやっていない。そもそも月に数回くらいしかやらないから、やっていない日の方が多い。


「剣奴とか言っていたが、どういう連中が出てくるんだ?」

「今の時代は基本的には犯罪者ですよー。その中でも特に強くて、王族や貴族が、殺すのは惜しい、と評価した人なんです。傭兵崩れもいれば、他国からの刺客もいるし、国同士の戦いがあった頃は戦場で降伏した相手国の戦士とかいましたねー」


 敗残兵については自害するのもいたりするのであまり数が多くないけれど、国が滅びたのを知って、もう仕える相手がいないのであれば、と生きることを選ぶのもいた。


「生き残ってどうするんだ? 一生見世物か?」

「いや、その罪によって何回勝ち進んだら釈放という判決もある。多くは途中で命を落とすけれど、中には最後まで生き残る者もいる。当然そうなると開放だ」

「開放されたらどうなるんだ?」

「色々いるよねー。結局また犯罪者になるのもいれば、腕を買われて国に留まるように頼まれたり、他国からスカウトされたり」

「そこからの冒険の末に、他国の暴君を倒して王様になったっていうのもいるのよ」

「ドラマがあるもんだな」


 試合は一度見てみたいもんだなとは思う。


 対人だけでなく、飼い慣らされた猛獣や魔獣、魔物が相手の場合もある。対戦時には全く安全は考慮されていないので、結構血みどろ。


 娯楽の少ない世界だから、残酷なシーンはあってそれを目にして気絶する人間も少なくないものの、それでも見たいと、イベントとしては観客が殺到するほどの人気を誇る。


「どうやって捕まえているんだ? 強い奴は下手したら逃げるだろ?」

「拘束専用の魔法とか魔工具があるんですよ」

「激痛が走ったり、最悪爆発したり多種多様だな」

「基本的には逃げても位置が解っちゃうわね」

「私らの方では明確な危険人物は、専用の処置をされて、裁判など無く、専用の施設に、専用の道具で拘束などをされつつ、尋問の後に用が無くなれば人しれず処分される」

「主に魔術に関係した人の事を言ってますよね?」

「たまに魔術関係無しに榊のような単純に身体能力だけで危険なのもいるから、そういうのも混ざっているが、まあ多くは魔術師や神官だな」


 榊は勿論、身体能力が高い人間の例。


「魔術師は、こっちでもそういう危険性は考えられているわね」

「剣奴に魔術師はあまりいないしな」

「魔術師でも普通程度の人間は、一応ちゃんと人として扱われるぜ。私が言ったのは特別な力を持った人間だけだな」


 捕縛されれば、ではある。そもそもそれなり以上の実力者を生かしたまま捕まえるのはなかなか至難の業だ。


 運良く捕まえたとして、ある程度危険と判断されれば、その場で処分される事もある。幻想獣と同化した稲葉清美は、軍でも手に余るから最初から現地での処分も含まれていた。


 それとは別に、二ヶ月くらい前に捕まったキャメル傭兵団は、実は処分しても良かったのだが、アリシアが先に、学校内だからという環境もあって捕縛を選択したので、これまでの盗品の行方も知りたいから霞沙羅も捕縛を選択した。


 これは2人の能力が彼らを大幅に上回っていたから出来た選択であって、本来は1人くらい捕らえられれば御の字という状態だった。


「ここでは悪事を働いた魔術師はどうなるんだ?」

「余程のことをしても処刑されない場合は、国の魔術師達によって魔術の行使が出来ないように処置されます。呪いというやつですねー」


 魔術を使うと死ぬほどの激痛が走ったり、だんだん何かの動物に変貌していったり、記憶を奪われたり、そういう儀式が行われる。


「こっちにもなかなかエグい魔術があるもんだな」

「結構面倒な儀式がいるんですよー」

「処置をする人間以上の実力を持ってないとかからないのが問題ね」


 なのでそんな呪いが掛けられない場合が多い。


「魔術師の対処には、どこでも苦労してるんだな」


 魔法の発動体を奪っても、高位の魔術師であれば自力である程度は使えてしまったり、体内に埋め込んでいることもあるから、完全に封じるのは難しい。


 儀式魔法で呪いを刻まれた魔術師も、解除する術が無いわけでは無いし、万能では無かったりする。


「何か霞沙羅さんが急に気にしてるし」

「軍人でも殲滅ばかり考えてるわけじゃないんだぜ」

「出来れば生きたまま捕らえたい、というのは僕達の方でも事件解決のために考える事もあるからね」


 お互いの犯罪者に関する対処方法を聞いたところで、闘技場の中も案内してもらった。


 さすがに収容されている剣奴までは見せて貰えなかったけれど、霞沙羅が納得したところで、やどりぎ館に帰った。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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