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鎮魂イベントは準備中 -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 魔族事件が無事に解決した頑張りに対して、先日プリシラ王女に言っていた、ギャバン教にスープカレーを教えに行く日になった。


 榊はというと、雪が降る中、札幌駅まで歩くと言って一人出掛けていった。


「ヒーちゃんは来客があるみたいだから」


 今日は残念ながら鍛錬はお休み。だから榊は雪で足場の悪い道を歩き続けるという自主練を行う事にした。


「霞沙羅さんも来るんですか?」

「あのエルフに会わせろよ」

「まあ頼んでみますけど、エルフならクラウディアの方が人あたりもいいですよ」

「そのクラウディアがどういう奴かは知らんが、エルフってのはなあ、人間から見れば生意気な、多少上から目線な奴がいいんだよ。だがどこかで何かのタイミングで仲間を信頼するようになる、これだ」


 レミリアは結局、霞沙羅があのオルガンを弾いたことで見直していたような気がする。


 霞沙羅があまりにインパクトのある事をやらかしたから、もうバカにすることはないだろう。


「それはともかく、折角ギャバンの奴が掘り出してくれた温泉はどうなったんだろうな」

「鎮魂の儀に来る来賓に入って貰いたいみたいですからねー。仮設でもいいからお風呂場を建設してるんじゃないですか?」


 温泉事情はともかく、プリシラと待ち合わせているギランドルの大神殿前に転移した。


 大神殿の前には濃い茶色の馬が一頭と、キールとレミリアが待っていた。


「おお、あの時のエルフじゃないか! もっと近うよれ! 余が許す!」

「まったく、何なのこの人間は」


 レミリアの姿を見つけた霞沙羅がにじり寄っていく。


「今日はキールが姫様の護衛?」

「ああそうだよ。僕達だけじゃないが、一番の顔見知りだから出迎えろと言われてね」

「この馬もまだ乗ってるんだねー」

「仕事柄もう遠くに行くことは無くなったけどね」


 側にいるのが二人で冒険をしていたときに乗っていた馬。


 あれから4年が経っているから、もうそれなりのお年になったかと思うけれど、遠出は久しぶりなのようで、王都から少し離れたお隣の町まで来たので、ちょっと嬉しそうだ。


「じゃあ姫様のところに案内しよう」


 馬は神官に預けて、4人は神殿の来客室に案内された。


「あんまり見かけないが、エルフの冒険者ってのはいるのか?」

「いない事はないけど、性格の問題で人間のグループに馴染めないから、ホントに稀ですよ」

「じゃあ普段はどこにいるんだよ」

「自分達の世界にいるのが多いですけど、こっちだと学院で教師としてやっていたり、王家や領主に仕えていたり、ヘイルン系の神殿で神官をやっていたりね」

「神官やってるのか?」

「私達はヘイルン神の子であるシーリン神の子という位置づけだもの」


 シーリンはヘイルンの眷属。いわゆるエリアスと同じ位置にいる神様だ。信仰している教団はないけれど、ヘイルン教が窓口となっている。


「あんまりベルメーンを歩いていないから見えていないですけど、あの町には結構、舞台のメイクさんとか芸術家として住んでたりするんですよ」

「そこにクラウディアとかいうのがいるのか?」

「クラウディアはリバヒル王国王都の王宮魔術師ですよ。今度ラスタルの魔法学院に技術交換目的で来るんですけどねー」

「どういう奴なんだ?」

「おっとりしてますし、あんまり他人の美にこだわりが無いです。まあ純粋に魔術の研究者って感じですねー」

「個性が無いな。私はこっちの方がいいんだが」

「それはなんだか嬉しいことを言ってくれるわね」


 ルビィがちょっと喧嘩腰だったりはするけれど、実際の所、レミリアに対する印象はアリシア達6人の中ではそんなに悪いわけでは無い。ただ、クラウディアとどっちがいいかと言われると満場一致でクラウディアが選ばれる。


 そんな中、なぜか霞沙羅だけはレミリアへの好意が揺るがないので、妙な行動をしてくるけれど悪い気はしていない。


「レミリアを最初から気に入ってくれる人間ってのは珍しいな。異世界人ならではかな?」


 まさにエルフ、という性格のレミリアは、そのせいで喧嘩になりやすい。最近はキールの顔を立てて騎士団内でそれはやらないけれど、内心ではやっぱりため込んでいたりする。


 中には臭いのがいるし。


「霞沙羅さんの世界にはエルフがいないんだけど、物語には出てくるんだよ。それでこういうものだって、慣れているっていうか、憧れがあるんだと思うんだー」

「その通り、エルフに会うという事に憧れてるぜ」


 霞沙羅のTRPGの代表キャラはエルフだ。


「この人はどのくらい強いの? 神官に見えるんだけど」

「神官じゃないよ。ボクと同じタイプの剣士兼魔術師で、ボクよりちょっと強いくらい。一応、向こうの神聖魔法は使えるけど、あんまり信心深い人じゃないよー」

「アリシアがそう言うって、この人ってそんなに強かったの?」

「それは一度お手合わせ願いたいな」

「私が勝ったらドラゴンに乗せて貰うぜ」


 お互いに長物を得意としているけれど、間違いなく霞沙羅が勝つだろう。


 そこにドアがノックされてプリシラ王女とアーガス第一王子、それと会ったことは無いけれど、神殿の厨房担当者が数名入ってきた。


「お姉様、今日はよろしくお願いします」

「うん、よろしくねー」

「カサラ殿には少しお時間を頂けまいか? 温泉についてお知恵を拝借したい」


 アーガスは霞沙羅に用があるようだ。


「温泉てカサラに関係があるの?」


 そういえば現役時代にレミリアがセネルムントに来た時に、ふやけるほど温泉に入っていたっけ、と思い出した。美にこだわるから綺麗好きで、時間があれば水浴びもしていた。だから旅の途中にアリシアが開発したシャワーの魔法も気に入っていた。


 それもあって、どうにも急に湧いて出てきた温泉に期待を寄せているようだ。


「一応私が温泉の使い方のアドバイスをしたことになっている」

「カサラ殿の言葉が無ければ我々はあれの使い方を誤っていただろう。温泉とはかくも深いモノだと教えてくれたのだ」

「はい、私がカサラの護衛をつかまつります!」


 アーガスのその一言に、すっかり霞沙羅を気に入ったレミリアも、護衛がいるかどうか解らないけれど、着いて行くようなので、キールも同行するようだ。


「それではお姉様は厨房に参りましょう」


 アリシアはプリシラに案内されて神殿の厨房に向かった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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