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蒼空の舞姫 -1-

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  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 戦闘フィールド用のミニチュアや冷凍箱等、色々と準備を整えて、アリシアと霞沙羅はライアのいる芸術都市ベルメーンにやって来た。


「相変わらずこの町は綺麗だな」


 観劇や芸術鑑賞にストリートパフォーマーなど、それを目当てとした観光客も多いというのに、目立ったゴミも落ちていない。建物の色や形もバラバラでは無く、ある程度の秩序に沿って建てられた町並みが続いている。


 町の片隅にまで置かれている芸術品は、日本人の霞沙羅が見ても見事な物だし、町中にあるそれらを見て回るだけでもお金もかけずに充分満足出来るだろう。


 それに町の作り方や運営方法がやけにしっかりしているだけでなく、定期的に点検や整備もされているので、壊れたものを壊れたままにしていない。


 行政側がちゃんとお金を掛けて町を維持しているので、芸術都市を名ばかりの物にしていない。


「住んでる人もその辺を意識してますからねー」

「綺麗にしてある町ってのは、余程のアホでもなければ汚す気が失せるからな。住民も芸術意識の高いのが住んでるんだろうし、家の中もさぞ綺麗にしているんだろうぜ」


 アリシアも一般市民の家の中まではしっかり見てはいないけれど、冒険者家業が泊まる宿も中々洒落ていたと記憶している。


 町をちょっと楽しみながら、中古とはいえきちんと手入れがされてあるライアの劇場に2人は入っていった。


 劇場の中には、この町を治めている「市長」がやって来ていた。今日、アリシアが来る予定が解っているので、挨拶にやって来たのだ。


「ここは領主じゃなくて市長なんだな」

「王様が国策で管理する大事な直轄地ですからねー。国立の芸術学院出身で芸術を学んだ貴族の中から、国王に任命された人が任期を決めて管理しているわけです」


 芸術を学び、芸術を知り、芸術を愛する人間に町は任されている。それは綺麗なはずだ。


 市長さん的には、今の所知り合いのライアの劇場だけになっているけれど、新しい料理を持ってくるアリシアは歓迎される人間だ。


 ライアの劇場で提供される料理はここ最近は評判になっているし、その噂を聞きつけて国内外の貴族の観光客も増え、他の劇場もそれに続けと盛り上がっている。素晴らしい芸術に美味しい料理が加わって、町の価値が一段上がった。


 そうなれば、出来ればまだまだ料理を持って来て欲しい、それも遠慮なく、という事で直接、「他国民であってもアリシアなら、申請とか通行税とかそういうのを気にせずに訪れていい」と言いに来たのだ。


 リバヒルの他の町となると別の話だけれど、ここベルメーンは歓迎するよ、という話だ。


 残念ながら、冒険者時代にこのリバヒル王国の王家とはそれほど深い関係にはなっていないので、ザクスン王国のように「アリシアが急に来たけどまあいいか」とはならない。


「それではよろしく頼みますよ。ところでこちらの方は? 神官のようにも見えるのだが」


 今日も霞沙羅は自慢の戦闘服で来ている。


「その人はアリシアの知り合いなんです。少し前にセネルムントの大神殿ででパイプオルガンを弾いて、教皇様に喝采を受けた人なんですよ」

「おお、噂は聞いている。その方なのか」

「剣士としての腕前も高いから、今日はこの後アタシと剣の腕比べをするために来て貰っているんですよ」

「あれはアリシア殿との話では無かったのか?」

「ウチのヒルダやハルキスが絶賛している人だから、アタシも気になっちゃって。知らない戦い方も取り入れないとね」

「なるほど、私も見学に行くから楽しみだな」


 ライアはベルメーンの騎士達へのアドバイザーもやっているから、更に技術を磨こうとしているのは市としても助かる。町の特性上、観光客の安全を守ることも町の景観を守ることと同じくらい重要事項だ。


 挨拶を終えると市長は帰っていった。


「というわけでアリシア、これで遠慮なくこの町に来れるから、今後もよろしくね」

「まあいいけど」


 この劇場ばっかりでいいのかなー、とは思うけれど、まあその内市長か王の主導で何かするんだろうなー、と思っている。


 自分はこのリバヒル王国ではあんまり顔が利かないから、仕方が無い。


「じゃあやろうか」


 今日は冷凍箱を渡すのでアイスクリームを、それとは別にロールケーキを教える。さすがにジャンルの違う料理はまた次の機会で。


「料理をしている間カサラさんはどうするの?」

「私は自分の組織用のレポート作成があるから、それを作っているぜ。どっか部屋を貸してくれると助かるんだが」

「ええ、そのくらいなら」


 カサラはライアに案内されて、応接部屋を借りて、そこで作業を始めた。ノートPCを持ってきてある。


「じゃあこれが冷凍箱だよ」

「これでアイスが作れるのね?」

「逆にアイスを作る以外には使わないでね。肉とか魚とかを保存するのが本来の役目だったけど、匂いとか移るから、やめてね」

「やらないわよ。ベルメーンは新鮮な魚が手に入りやすいのよ」

「今日もよろしくお願いします、アリシア殿」


 今回もやる気満々の料理人を加えて、デザート作りが始まった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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