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侮れない技術 -2-

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  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 霞沙羅(かさら)の方は、ダメ元で聞いてみた伽里奈(アリシア)とルビィのおかげで、ある程度はシールの秘密が解ったけれど、やはり現地の専門家に締めて貰いたいので、案外早くやって来たアリサに、まずは作成した資料を見て貰った。


「伽里奈君の世界にも同じような技術があるのね。うまいこと落とし込んでいるわね」

「アシルステラにはゴーレムの上位であるガーディアンだの、人造人間のホムンクルスの成功例があるようだから、それの制御用に存在するんだそうだ。それにあいつの所の専業魔術師が手伝ってくれたからな」

「なるほどねえ」


 現地人のアリサが見るとまだ中途半端な内容ではあるけれど、概要はきちんと捕らえられている。軍に出す資料としては、もうちょっとつめれば充分なレベルだ。


 連絡を貰った時は、さっぱりだ、とのことだったので、泊まる事も覚悟して来たけれど、これならそこまで時間はかからないだろう。


 まあモガミには言ってあるので、一泊していってもいいかもだけれど。


 それは後で考えるとして、早速アリサは端末のデータを参照しながら、資料の手直しを始めた。


「ところで水瀬カナタは家にいるようよ。それだけじゃなくて協会に一つのレポートを出してきたわ」

「本当にそちらの世界では何もしていないでござるか?」

「悪事はしていないのよ。ただ、本家とは違って、誰にでも武器を作るという商売上の問題点はあるのよ」

「善人にも悪人にも作るって事か?」

「そうなるわね」

「どうやって世界を行き来しているのでありましょうな」

「世界を行き来する事は人間には出来ないと、2人ともフィーネさんから聞いているでしょう? でも実際にあるから、それを利用しているのかもね」

「ヤマノワタイにもやどりぎ館と同じ物があるって事か?」

「元管理人の私も教えて貰ってないけど、別の運営者が作った建物はあるのよ。ただ彼女のような人間が館に入れるとは思わないわ」

「なんだろうな。伽里奈に女神がついているのと同じで、そいつにも神がついているのか?」


 最近はもう一人、本物の女神がついているような気がするけれど、それは別として。


「さすがに何もしていない人間の家を強制的に調べるなんて事は出来無いモノね。水瀬家は山を一つ持っているんだけど、秘密を探るのはなかなか出来無いわね」


 怪しいったってヤマノワタイでは直接犯罪はしていないのだから、それは無理だ。


「異世界でなんかやってるぞ、って政府からすれば、何言ってんだって話だしな」


 アリサの国でも、この十数年純凪夫妻が何をやっていたのかを知っている人はいるけれど、余所の世界で起きている事件を関知することは無い。


「ただ、さっきも言った通り誰にでも武器を作るから、気にはしているのよ」

「こっちで何かした場合、最悪私らが殺したとしても問題は無いよな?」

「それは自己責任でしょう」


 そもそも地球上にいない人間なのだから。


 とにかく関わった事件は上手くいっていないのだからさっさと諦めて欲しい。けれど彼女にとっては協力した相手がどうなろうと知ったことではないらしく、失敗とは思っていないのだろう。だからなのか、やめる気配は無い。


「彼女の基本はヤマノワタイの魔術だから、また解らないことがあれば連絡してちょうだい」

「すまんなあ、折角管理人をやめて元の世界に帰ったのに」

「これも縁よ。それにこっち側の人間のやらかしでもあるし」


 霞沙羅と榊との仲に進展があるかどうかも確かめたいし。


「そう、アリシア君が誰かの考えというか動きの癖を魔術基盤のパラメーターに反映させているとか言っていたでござるが、アリサ殿はシールを張られた人間がどう動くのか、これを見てわかるものでありんすか?」

「結構な凄腕らしいんだよな」

「さすがに私は魔術専門だから…。肉弾戦タイプならモガミが解るかもしれないけど、彼は魔術が読めないから」


 普通は魔術師は肉弾戦が得意では無いし、戦士は魔術が苦手。モガミもアリサもその道では有能ではあるけれど、その「普通」にハマってしまった。


「シールをコピーするか?」

「誰かに貼り付けて見せて貰うでやんすか?」

「シールの術式はとても安全ではあるけれど、人によっては無理な動きを強要する可能性も捨てきれないわね」

「使用者に無理がかかる可能性を、忘れてたな。結構諸刃の剣なのか?」


 達人レベルの霞沙羅は大丈夫だ。でも自分の部下はどうだろうか?


「ゴーレムに仕込んでみて、モガミに見て貰うのもいいわね」

「そうだな。アリサさんはゴーレムが使えるのか?」

「ヤマノワタイは地球よりも文明が進んでいるから、使う事は無いわね」


 技術は持っている。でも使う機会は無かった。その辺は地球よりも未来の文明を持っているから納得だ。


「それならアリシア君にやって貰うのが一番だべ」

「モガミさんに見て貰えるか?」

「そのくらいなら時間もあると思うわ」


 とにかく今日はシールの理解度を上げることが重要。アリサには資料作りの手伝いをして貰うのが先決だ。


 実際にモガミに来て貰うのか、ヤマノワタイに出向くのかは後で決めるとして、引き続きアリサに解説をして貰うことにした。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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