ひとまずの落ち着いた日々に -6-
場面により主人公名の表示が変わります
地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
騎士団の方の料理も順調に出来上がったので、ランチの時間が始まったところでアリシアはお城の厨房にビーフシチューとアイスの仕上がりを見る為に戻った。
シチューはお肉が柔らかく、予定通りしっかり煮込まれている。味見をしても満足する出来だ。
今回は最初から最後まで手を動かしたのはロビン達厨房スタッフなので、今後は彼らだけでも大丈夫だろう。
念のためレシピも完成品の画像も渡してあるし、とにかくデミグラスソースを作って、煮込みを失敗しないように、あと何回か完成させれば自信も出てくるだろう。
「これはすごいぞ、アリシア君」
シチューは上手にお皿に盛られて、王族を初めとした重鎮達がランチが来るのを待っている食堂に運ばれていっている。
アイスクリームの方も確認したけれど、勿論しっかり出来上がっている。
厨房には魔術師はいないから、厨房担当者の手で凍った食べ物を作る事が出来たのは始めてであり、今後も色々な素材をを使ってバリエーションを試していきたいと思っているところだ。
「アイスクリームはいつ頃出せばいい?」
「冬ですけど食堂の暖炉には火がついていて、温度で溶けますからね。騎士団の食事と違って時間に余裕はあるでしょうし、シチューを食べ終えそうになってから準備を始めるのでいいと思いますよ」
「そうか、では食堂の様子を見ていることにしよう」
「次に来る時はシャーベットですね。また準備して貰う食材を事前に伝えに来ますね」
「おお、それも面白そうだな。是非頼むぞ」
シチューもパンもサラダも出ていき、王様達のランチが始まったところでアリシアは、ちょっと市場や商店を見て回ってからやどりぎ館に帰る事にして、ラスタルの町に出て行った。
「アーちゃんよ、待っていたゾ」
でも、まずはお昼ご飯を食べるために、ルビィの家にやって来た。
二日連続でシスティーにお昼ご飯を頼んでいるのは申し訳ないけれど、今日はエリアスとシャーロットとシスティーの3人しかいないし、シャーロットがロンドンに帰る前に「袋麺を美味しく作りたい」と言いだしたので、やどりぎ館のお昼ご飯は、インスタントの袋麺とシスティーの作る炒飯だ。
作るモノが袋麺であっても料理には違いない。まずは簡単でも良いから料理を始めて、余裕が出てこだわりが生まれれば、シャーロットの中に料理をするという事が定着するだろうから、このまま続けて欲しいし、今後もサポートしていきたい。
さて、アリシアの方はというと、ベーコンとキノコのクリームパスタとチキンのパリパリ焼きを作る予定だ。
「どうパリパリになるんダ?」
「皮をパリパリにになるまで焼いて、ダメな人はダメなあの食感を無くしていって、ボクが作る野菜入りのソースで食べるんだよ。ヒーちゃんの所でももう食べてるからね。お肉はボクが二つ焼くから、その横で指示するから、リューネが一枚焼いてね?」
「はい、よろしくお願いします」
「また料理がホテルに持って行かれるゾ?」
「もういいんじゃないかな」
チキンの方は実家でも出来るだろうけれど、クリームパスタは多分作らないだろう。
また何か作りにいかないとな、と思いつつ、アリシアとリューネは調理を始めた。
「ところで学院の上から、今アーちゃんが作っている魔工具を一度纏めたいと言っていたゾ」
「なんで?」
「飛行船に乗せる道具でいいモノが無いか探しているのダ」
「う、うーん、その件は霞沙羅さんからも訊かれててねー、向こうの軍隊で使える道具を作ってないかって」
「そっちでも探しているのカ。そういえば冷凍箱は王様に渡したのカ?」
「さっき持って行ったよ。今日はアイスクリームを作って出して貰ったよ」
「じゃあ次は私らだナ」
これからは冷たいデザートが食べられるのかと、ルビィも冷凍箱が到着する日を心待ちにしている。
最近は国が作った販売所で試験的に、港町から飛行船を使って運ばれてきた魚介類が売りに出されていて、それを置いておく冷蔵箱も欲しいところだけれど、まずはデザートからだ。
「アーちゃんが作っているのなら両方の世界で使えそうなんだから、話し合いは同時にやらないカ?」
「分校の部屋でも借りてやる?」
今は休み中といっても館の仕事は休みじゃ無いし、同じプレゼンを2回もやるのはちょっと面倒だ。ルビィが言うとおりどちらの世界でも使えるのだし、一回で終わってくれる方向でお願いしたい。
そして皮がパリパリに焼き上がった鶏肉はルビィとリューネも気に入ってくれて、とりあえずプレゼンの資料でも纏めておこうと、アリシアはやどりぎ館に帰っていった。
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