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地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
翌朝になり、コンビニ飯に付き合う為に朝食を食べなかったシャーロットは、約束していた時間になると早速裏の扉から実家に戻り、これから深夜というロンドンから2人の弟妹を連れて帰ってきた。
「ほら、挨拶をするのよ」
弟の名前はロイド、妹はリイナ、バタバタとやって来た弟妹は、シャーロットに言われてに挨拶をした。
「お姉ちゃん、よろしくお願いします」
「この人はお兄ちゃんよ。見た目は気にしないであげてね」
「えー」
「へんなの」
子供の正直な態度に伽里奈はちょっとがっかりしたけれど、どこの世界でもこんなモノかもしれない。
家にいた伽里奈とエリアスとシスティーに挨拶をすると、部屋に荷物を置いて、3人は早速小樽の町に繰り出して、近くのコンビニに朝ご飯を買いに行くことにした。
多少雲はあるけれど太陽は顔を出している、雪まみれの明るい外の世界をキャーキャー言いながら3人は出掛けていった。
「いいお姉ちゃんね」
エリアスから見てもシャーロットは弟妹に慕われているのが解るし、姉としてちゃんとしている。
飛び級の特待生として、日々魔術の勉強に明け暮れすぎているワケでもなく、結構物静かな家ではそれなりに弟妹2人の相手をしていると言っていたので、それも解る。
「アンナマリーも、相手は甥っ子だけど、お姉ちゃんの役割で随分甘えられてたなー」
「アンナは騎士団で頑張る為にちょっとつっぱってるだけだから」
とにかくここの所賑やかな日が続いている。
静かよりも、館に人がいる事を好んでいるフィーネも、最近は機嫌がいい。
実際、アリシアがヒルダやルビィを連れてくる事に対しても、悪くは思っていなかったりする。
そのフィーネは今日も占いに出掛けていないけれど、しばらくして3人が朝食を買って帰ってきた。
「早く雪で遊びたい。なんかサラサラしてるもん」
「これを食べてからね。お腹も空いてるでしょう」
フライドチキンとポテトフライ、それとおにぎりとお惣菜のパスタを買ってきた。
伽里奈はお茶を用意してあげて、食卓で3人はちょっと遅めの朝食を食べ始めた。
「おいしい」
「コンビニすごい」
小さなお惣菜パスタもレンジで温めて、日本のコンビニをいきなり味わって、2人ともご機嫌に食べている。
「何かインスタント麺を買ってきてるけど、一緒に食べるの?」
朝食用の食べ物とは別に、カップラーメンや袋麺を買ってきている。けれど3人で食べられる量では無い。
「お土産よ。家で食べるの」
「ああそう…」
「やっぱりインスタント麵は日本よね。ウチの国にも似たようなのがあるんだけど、全然別物なの」
まあ、伽里奈は参考程度にしかインスタント系を食べる事はないけれど、確かに悪くは無い。
最近は値段が上がってきているとはいえ、お土産としては値段も安いし、調理をするとお菓子を買うよりも量的にお得になる。日本でしか売っていないのもポイントが大きい。
「ねえ伽里奈、見た目が気になって買ってみたんだけど、このシロクマちゃんの顔みたいなラーメンは何なの?」
お土産とは分けられて、恐らく自分用の食べ物として、白い外袋に落書きのような目と鼻と口が一際目立つ即席麺が避けられている。
「札幌の動物園が売ってるんだけど、これの売上の一部が園のシロクマの餌代になるんだって。それもあってちょっと高いラーメンなんだけど、味は結構よかった記憶が」
「え、そうなの。クマちゃんのためにもっといっぱい買わないと」
「そんなに買わなくても」
「ロンドンの家で食べたいの」
「年明けに三日くらいいるなら、それもいいと思うけど」
勿論親たちへのお土産には地元の有名チョコレートを買って渡すつもり。
「お姉ちゃん、そろそろ遊ぼうよ」
「はいはーい」
朝食を終えたロイドとリイナは早速庭で遊ぼうとシャーロットを呼んだ。
晴れているからといっても外は寒いので、適当に暖を取りながら遊んで欲しい。
* * *
雪玉を投げ合ったり、雪だるまを作ったり、かまくらの中に入ったり、最後には暖まるために温泉に入ったり、たっぷりと雪遊びをしたところで、お昼ご飯の時間になった。
伽里奈は注文通りのお好み焼きと焼きそばの準備を始めた。その二つを合体させたモダン焼きではなくて、それぞれ別の料理として調理を始めた。
「美味しそう」
運ばれてきたお好み焼きにかかったソースの匂いが二人の鼻をくすぐる。
「何かうねうねしてる」
「鰹節が湯気でゆらゆらしてるだけよ」
表面では生きているように鰹節が動いているのを見て、面白がって2人は興奮している。鰹節なんかロンドンではなかなか手に入らないだろうから、珍しいのだろう。
「焼き上がった人から食べてねー」
一気に全員分作る事は出来ないから、まずは子供のお客さんだから先に用意したロイドとリイナの2人から食べ始めて貰った。
「美味しい」
「こんな食べ物なんだ」
アニメで見た食べ物が現実にあって、とても喜んでいる。そして美味しい。
「お姉ちゃんはいつもこんなの食べてるの?」
「え、これはさすがに、お好み焼きはそんなには出てこないわよ」
「でもメールで美味しそうな食べ物の画像を送ってくれるよ」
「お姉ちゃんだけ狡い」
作っている側で美味しいと言ってくれるのはいいけれど、日本に来てからの姉の食生活がバレて、弟妹が羨ましいと言い始めた。
「あのね、私はここに勉強に来てるのよ」
「お姉ちゃんは人気ですねえ」
「システィー、そういうわけじゃないの」
「お姉ちゃんは今、お料理の勉強もしていますから、家に帰る時には手料理を作れるようになっていますよ」
「えー、そうなの?」
でももうケーキを2つ持ってきてくれた。
まあ味の決め手は伽里奈なので、まだまだとは言えるけれど、やる気があるのは間違いない。
「それよりも焼きそばが出来ましたよ」
「わーい」
システィーが作っていた焼きそばも出てきたし、シャーロットとエリアス用のお好み焼きも出来上がったので、また新たに食べ始めた。
「パスタとは違うんだね」
「美味しいね」
こっちも口に合ったようだ。
「このあとはどこに行くの?」
「バスに乗って市街地を回ってくるわ」
小樽のバスにはそんなに値段も高くない一日乗車券もあるので、家の近くのバス停から駅に行って、そこから乗り換えて倉庫街やガラス工房を見てくるのもいいかもしれない。
「お向かいのラッキー君には会ってきたの?」
「あ、忘れてたわ」
「小樽をバスで回るっていってもそんなに時間はかからないだろうし、アマツの為にラッキー君を預かってくるから、帰ってきてからにする?」
「にゃー」
ラッキーの名前が出てアマツが反応した。
「じゃあそうするわ」
アニメで憧れて、思った以上に美味しかった昼食を終えて、ちょっとゆっくりしたところで3人は観光に出掛けていった。
ところで何のアニメを見たんだろうか。日本のアニメは食べるシーンが多いので見当もつかない。
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