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聖誕祭とお客様 -4-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 美味しい食事も終わって次のイベントが始まった。


「ほれ、そちらの大地で売れておるのであろう? 大きなモノではないが、その年ではこの程度でよいじゃろう」


 さすがに地球の玩具を持って帰らせるのは無いなと思い、フィーネはわざわざヤマノワタイで今人気の特撮ヒーローの人形5体セットと合体ロボット1体と怪人1体を手に入れていた。合体ロボットは実際に合体するデラックス仕様ではなく、合体したままの小さめのモノ。


 さすがやどりぎ館の運営側の神だけある。同じ運営のメンバーに声をかければこの通り。


「あらー、よかったわね。昨日も見たのよね」

「これ関係の玩具は人気が高くて結構手に入らないんだがな」


 さすが神の所業である。


「めがどらいばー!」


 プレゼントを貰ったエナホは、ヒーローの人形を手に持って大喜びで声をあげた。


「なんかボクのぬいぐるみじゃ負けちゃいそう」


 伽里奈もエナホのためにハンドメイドのクマのぬいぐるみを持ってきた。住んでいた頃はベビーベッドもぬいぐるみで囲まれていたけれど、男の子も3才になれば男っぽいモノに興味を覚えていくモノだから、貰ってくれるだろうか。


「くまさんだ」


 キャラクター性もあってちょっとテンションは落ちたけれど、クマのぬいぐるみも抱きしめた。


「メガドライバーも格好いいけど、今日はクマさんと一緒に寝ましょうね」

「うん、くまさんと寝る」


 気に入ってくれてよかったけれど、そんな伽里奈を見つめる期待のこもった二つの目線がある。


「はいはい、キミ達はこっちこっち」


 アンナマリーとシャーロットにも同じデザインのクマのぬいぐるみが用意されている。


「きゃーかわいいクマちゃん。一緒に寝ましょうね」


 シャーロットは素直に喜び、アンナマリーは黙ってクマの顔を見つめている。いつもの事だ。


「お前、エリアスには無いのか?」


 だったらあなたは榊君から何かを貰ったの? というアリサの視線に気が付かず、霞沙羅は言い切った。


「新しい手編みのセーターを渡してあるよ」

「もう終わってんのか。さすがにやってやがるな」


 逆にエリアスはアリシアに、女子用のブーツを選んで、渡してある。


 そこに想定していない人物が口を挟んできた。


「我には何も無いのか?」


 アリシア君に対するいつもの冗談かな? とモガミがギョッとした。管理人として10年以上の長い付き合いだけれど、伽里奈(アリシア)がここに来てからフィーネがこんな事を言ったことは無かった。半年以上顔を見せなかった間に、この女神様はいったいどういう心境の変化があったのか。


 しかしアリシアは想定していて


「フィーネさん、いつもドレス姿ですけど、外でコートを着る時にでも」


 と手編みの白いマフラーを手渡した。


 ちゃんとエリアスには相談済み。


 貰った方のフィーネもまさか用意されているとは思わなかったのか、複雑な顔をしながらもマフラーを受け取った。


 値段では変えられない、手間がかかっている手編みのマフラー。高いマフラーはいくらでもあるけれど、売り物とは別次元の価値がある。


「みんなクマちゃんねー」

「くまさん」


 子供達3人はぬいぐるみを見せっこしている。今回は蝶ネクタイの色以外にクマの差異は無い。みんなシロクマだ。


「そっちの世界ではこういうのが流行っているのか?」


 四輪戦隊メガドライバー。5人のヒーローが5台の車を駆って、世界征服を企む悪の組織と戦う内容の子供向け番組。ロボットは5台の車が合体して完成する無敵のメカだ。子供達はこのシリーズに夢中。


「オレの子供の頃からやってるんだが、毎年テーマを変えてまだ続いてるんだよ」

「めがどらいばー」


 男の子向けのヒーロー番組は世代を超えても不変なようだ。


 それよりもいつの間にかフィーネがいなくなっている。


 実は誰にも見られないように自室に戻ってマフラーを首に巻いて悶えているところだったりする。


「フィーネさんはあんな反応をする人だったの?」


 アリサはエリアスに訊くけれど、曖昧な笑顔を返しただけだった。


まあ神様同士だし、とアリサも苦笑いをした。確かに、自分達がヤマノワタイに帰る頃には、やたらと伽里奈(アリシア)に絡むようになっていた気がする。


 妙な騒動が起きなければいいけれど。


  * * *


 翌朝には純凪さん達は帰っていき、シャーロットのスマホには「ケーキが美味しかった」と弟妹からのお礼のメールが届いていた。


 姉がいない聖誕祭だったけれど、いい時間を送ることが出来たようだ。


「そういえば明日来るのよね」


 シャーロットの弟妹2人は明日の朝食後にやって来る。


 実は今日の早いウチに{眠り}の魔法で寝かせて、時差に対応させて、ロンドンの日付が変わる頃に起こして迎えにいく予定だ。


 反対に帰る時は、こっちで朝ご飯を食べさせて家に帰らせて、そうなると向こうは日付が変わる前なので、再び{眠り}の魔法でロンドンの朝まで寝かせるという力業で時差を乗り切る予定だ。


 魔術師の家庭ならではといえる。


「お昼はお好み焼きと焼きそばで、夜はハンバーグでいいんだよね?」


とりあえずは純凪さん一家が帰ったので、伽里奈(アリシア)は明日に向けて2人部屋の清掃中。シーツと枕カバーを取り替えた後に、シャーロット用のベッドをもう一つ足す予定だ。


 ちょっと部屋が狭くなるけれど、一晩寝るだけなので大丈夫とのこと。


「明日はレポートが出来ないから、今日やっておくわ」


 さすが真面目な天才魔術少女。大学入学までのスケジュールは予定通りに進んでいる。


 部屋の準備は伽里奈(アリシア)に任せて、シャーロットは自分の部屋に帰っていった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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