いざ神戸校と横浜校へ -3-
場面により主人公名の表示が変わります
地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
翌日には予定通り横浜校にやって来た。
国立横浜魔術大学付属高校。霞沙羅と吉祥院が卒業した、数々の高名な魔術師を輩出し続ける学校。
「場所は横浜って聞いたけど…」
厄災戦後の、ここ数年で首都になったとはいえ、元々横浜は日本全国の市町村人口では全国一位の大都市。なのに大学周辺は高層の建物は無く、大都会感が無い。
「あのー、雑誌の写真に乗るのは桜木町とか関内とか海の方の中区とか西区付近なんだけど、ここは神奈川区っていう都心部からちょっと離れた所だから」
「日本で一番古い国立の魔術師育成学校でありんすから、埋め立て地の多い海側では無くて、元々大地であった郊外に作られたでやんす」
関東平野にあって、意外と高低差のある横浜であっても、街の造成にに適さないような高い山があるわけではないので、元々あった土地を拡張していった結果、学校が移転する必要は生じなかった。
「シャーロット嬢が想像している横浜のある場所は、この学校が出来るような時代には、その多くが何も無い浜辺か海の底だったでありんすよ。それが横浜という地名の由来なのでござる」
「そっちには見学した後で観光に行こうねー」
「う、うん」
とはいえ、広い敷地内はあまり高低差が無く歩きやすい。繁華街では無いので勉強を邪魔するような誘惑は無い。じっくり勉強するには周辺も静かでいい環境といえる。
「地下鉄の駅も近くにあるので、繁華街への移動は困らないでござる」
「そうなのね」
校長にも挨拶をしてから、吉祥院に案内されて校内の見学が始まった。
「横浜校にだけ、いわゆるA組より上位の特待生クラスがあるでござる。人数は多くないでげすが専用の校舎と施設に別れているでやんす」
「吉祥院さんも?」
「私は大学にしか通ってないでござる」
幼稚園どころか小学校も中学校も通わず、6才で大学入学、9才で大学卒業が吉祥院の学歴。
「じゃあ霞沙羅?」
「そうでやんす」
霞沙羅は中学をすっ飛ばして特待生として13才で高校入学、14才で大学入学、16才で大学卒業という学歴。
「そっちの校舎も見るでやんすか?」
「参考までに」
シャーロットのレポートは普通の学生向けの教育だけど、自分が母国で学んでいるのと同じ環境を一応見ておこうと決めた。
またパンフレットを貰って、校舎内も施設も見せて貰った。
「小樽校と神戸校とも違うのね」
主な生徒は首都圏と中部と信越。一部神戸校とエリアは被っているけれど、首都圏があるので、生徒数は小樽校の約2倍と一番多い。
しかも、付属中学から進学してくるA組が2クラスあるだけではなく、高校入学で優秀とされた生徒が集められる準A組となるB組もある。なので一般生徒はC組から。
設備も多く設置されていて、レーン一台の一人当たりの生徒数も、他校に比べてかなり改善されている。
レーンの建物は多層建てで、一フロアの広さも違う。一時的とはいえ、同級生になった1年E組生徒の顔が浮かび、なんというか「インチキ」という言葉が浮かんだ。
国家で三つしか無い魔術師育成学校の、元は首都であった東京の側に設置された実質上トップの学校だから色々と優遇されている。どこかを優先にしないといけないのだろうが。
「小樽校程の広大な野外演習場は無いでござる。なので、小樽校の野外演習場には他校生を何泊かで受け入れる宿泊施設があるのでありんす」
「雪の季節は特に利用者も多いそうですねー」
料理の演習でも使っていたあの野外演習場は、小樽校生徒は冬は使わないけれど、他校生は雪のある環境での魔法使用とか、雪中徒歩訓練等が行われる。
「卒業後のことを考えると雪のコンディションの勉強も必要じゃん? 年明けから各校から合宿があるでありんすよ」
雪の有る無しはともかく、ここが一番いい環境なのは解った。お金があるとか無いとか霞沙羅が愚痴っているのがよく解った。
施設レベルで言えばシャーロットの母校と遜色ないくらい。さすが三校の中ではトップなだけある。
「吉祥院さんは高校を見てるの?」
「私は大学の職員でやんす。高校の設備については大学のついでに見てるっぺ」
「そうなのね」
特待生のいる校舎は作りが違っていて、各学年の生徒数も十人程度と少ない。それもあって、一気に全員出来る数は無いけれど、個人用の練習部屋もあるし、中でも特に優秀な生徒用の個人の勉強部屋もある。
「これはシャーロット殿と同じ設備でがしょう?」
「そうね。でも今は使ってないの?」
3部屋あるけれど中には誰もいなかった。
「今はそこまで優秀な生徒がいないのでござるよ。ロンドンではどうでありんすか?」
「飛び級じゃないけど、私以外にもう一人使っているわ」
「今のイギリスには優秀な人材がいるでありんすな」
他の施設も一通り見せて貰った所で
「明日はどうするでヤンス? 実技試験の様子でも見るでありんすか?」
「そうね…」
特待生から普通の生徒までその実力を幅広く確認出来るので見てみようとなった。実際明日も小樽校に行く必要は無いから、時間は空いている。
「ならそっちは校長にでも頼んでおくでござるよ」
「よろしくお願いするわ」
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