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それぞれの対応 -2-

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  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 来るべき(さかき)との手合わせに向けて、ハルキスは張り切って練気の習得に励んでいるけれど、これでいいのか一度見に来てくれと言われたので、アリシアはエルドリートの町にやって来た。


 そして来年の甘蕪の増産に向けて、2回目の開墾をするべく、システィーもついてきている。


 夕食にはまた別のスープカレーを教えるというので、今日のシスティーはここに一泊していく予定だ。


「システィーがすっかり農作業用になっちゃってるけど」


「力の使い方は戦いばかりでは無いですよ。半年でも旅をした仲間の為に動くのも悪くは無いですね」


 アリシアはハルキスの練習を見た後は、ラスタルに行くことになっている。


 冒険譚最新刊の初版が出来たというので、それの確認に行くのだ。


 システィーが一泊して今日は館からいなくなるので、今回のアシルステラへの滞在は短めにして、早めに帰る予定だ。


「やー、アシルステラに来るとザクスン王国が気になるけど、必要以上に手を貸せないのは仕方ないよねー」

「どちらにせよ冒険者を廃業することは決めていたわけですから、マスターはこの国の人として振る舞わないといけませんよ。でも今はどちらかというと霞沙羅さんに目を向けましょう。両方の事件には同じ人間が関わっているのですから、管理人としての仕事を優先して下さい」

「そうだよねー」


 何度も同じ事で悩んでいるけれど、結局は事件が起きている国に任せるしかない。これが、例えばワグナール帝国のような、周辺国共通の敵国とのいざこざであれば、同盟国の子爵として協力する、というのはおかしくはないけれど、これは今まさに魔族がうろついているザクスンの問題だ。変に首を突っ込むことは出来ない。


「まずはパーティーメンバーの幸せを考えるのが筋かと」

「ま、まあそうだよね」


 考えるのはもうやめよう。


 とにかくハルキスの家に転移してきてしまったけれど、今は開墾予定地にいると奥さんから聞かされたので、そちらに歩いて移動する。


「揚げパンはシスティーに任せるからね」

「揚げパンとなるとそろそろカレーパンもいいのではないでしょうか?」

「そう思うんだよねー。中に入れるカレーを作るのも問題無いし。でもアメリカンドッグもいいかなって。でも食事じゃないしね」

「タコスとかどうでしょうか?」

「ケバブも作ったし、ソースが出来ればいいかもねー」


 ザクスンの事はすっかり頭から離れて、次の料理の事を考えながら、町外れの開墾予定地に着くと、そこではハルキスが一人、練気の練習をしていた。


 近頃はもう慣れてきたので、空いてる時間にちょっと、ではなく、きっちり時間を取って練習をしているという。


 それを感じさせるほどに、持っている武器にも気が流れている。


「うーん、ハルキスも剣士専門だから筋が良いんだよねー」


 アリシアは魔力を使う方に体が慣れていたので、練気を習得するにはちょっと時間がかかった。それは霞沙羅もそうだったようで、ヒルダとハルキスが自分より早いペースで習得しているのが羨ましい。


「どうだよ、サカキとかいう奴とやりあうのに間に合うか?」

「全然いけるんじゃない。じゃあ一人でやってても解りにくいだろうから、ボクが相手をするよ。榊さんとは比べられないけど」

「とはいえ、あの先生と同じ程度にはできるんだろ?」

「まあそうなんだけど」

「実際、お前と先生の実力はどの程度の差があるんだ?」

「そうだねー、例えば10回戦って、ボクが6回負けて4回勝てるくらいかな。先生は武器を作る人だから、扱いが上手くてねー」


たまに、軍の演習所を使って霞沙羅と本気でやりあうことがある。


 日本ではアリシアが神聖魔法を使えないので、それは無しで、剣も拳も魔法も駆使しての勝負。


 当然、ただ剣でやりあうよりも、お互いに高位の魔術師な事もあってとんでもない被害が出る。だから見学をする軍の人達は戦車の演習かというくらいまで離れた場所に下がって見ることになる。


「お前もそうだが、強い奴とやりあうのは面白いな。この町に泊まりに来る冒険者を見ていると、オレらの旅は終わったんだなと実感することもあるが、お前が帰ってきてからはなんか楽しみが増えたよ」

「これで転移が出来れば気楽に移動出来るんだけどねー」


 イリーナのところはもう少しで解決するけれど、ハルキスとライアだけはどうにもならない。


「まあまあ、私を呼んでいただければ解決ですよ。普段は館にますからね、往復くらいなら手伝いますよ」

「そういやそうだったな」

「そんじゃやろうか」

「おう」


 ハルキスはハルバードをクルクル回してから、構えた。アリシアは練習用の剣を持ってきている。


「無意識でやってると思うけど、ハルキスくらいになるとハルバードも体の延長みたいな感覚を持ってるよね。今一度、そこも意識して、目を閉じて、落ち着いて練気をしてねー」


 さすがにアリシアはあっさりと手持ちの剣に気を纏わせる。


 折角アリシアが来たのだからと、ハルキスは「できらあ」とはしないで、言われたとおりに、一度落ち着いて、練気を行う。


 改めてアリシアが見ても、ハルキスはハルバードにちゃんと気を纏わせている。鏡での通信で説明しただけなので、まあまだ練りが甘いけれど、これなら大丈夫だ。


「練習用のハルバードとはいえ、対榊さん用にヒーちゃんの所においてある物は霞沙羅さんが改良中だから、もうちょっと待っててねー」


 ハルキスがどこまでやれるか解らないけれど、対策は立てておいたほうがいい。今日のこれからの打ち合いをみて、霞沙羅に連絡をするとしよう。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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