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悪事の表面化 -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「最近はお前が積極的に学院を利用してくれて儂らは嬉しいぞ」


 職員として図書館を使わせて欲しいと連絡したら当然OKだった。今のアリシアは学生用と違って、裏にある職員用の、更に専門的な書籍が納められている書庫も使う事が出来る。


 それに今回は霞沙羅と吉祥院も連れて行くので、そちらの方の許可だ。


「しかしザクスンはそのような事になっておるのか」

「それで金属のレラの目ってどうだったんです?」

「機能的には普通のレラの目とは差異は無いが、人工的というか、魔族の体から生み出される従来のものとは違って、加工して作られた物だな」

「ボクもそうとしか見えなかったんですけどね。機能は同じなんですよねー。長所としては簡単に作れるってところですかねー」


 魔族がレラの目を生み出すと言っても、そんなに頻繁に生み出せるわけではない。今回のように金属を加工すれば機能するのであれば、ちょっと危険だ。


「この際ザクスンに恩を売っておくのも良いだろう。しかしもう一人のキッショウインという者にも会ってみたいのう。お前のいる国において、魔術師組織の長の家柄なのだろう?」

「書籍を見せて貰うんで、挨拶はすると言ってましたよ」

「おう、アーちゃんがまた来ているじゃないカ」


 ルビィがやって来た。


「やはり本校はいいだろウ?」

「まあ今回はそうなんだけど。じゃあ呼びますね。一旦ちょっと遠くに転移しますけど、心の準備をお願いします」

「なぜ心の準備がいる?」

「なんだ、誰を呼ぶんダ?」

「吉祥院さん」

「タウ様、滅茶苦茶大きい人が来るから、覚悟をして下さイ」


 エリアスに頼んで、霞沙羅と吉祥院の2人を図書館内に転移させて貰った。


 ここは図書館内だけれど、10メートルくらい離れた場所に霞沙羅と吉祥院が転移されてきた。


「うわ」


 霞沙羅も背が高いけれど、その頭2つ分高い場所に顔がある人間が現れた。


「大賢者様、すまないなあ」

「あの方が学院理事長で宮廷魔術師長でありますか?」


まだ離れているけれど、周りにある棚とのスケール差がおかしい。なんなら横にいる霞沙羅の頭一個分以上頭の位置が違う。


「ランセル将軍も絶句していましたからねー」

「将軍もか」

「じゃあこっちに来て下さい」


 タウの身長はお年のためか、伽里奈と同じくらい。


 霞沙羅と吉祥院2人がタウの方に歩いてくるが、周りにいる学生が全員吉祥院を見上げて唖然としている。


「何というかすまんでござる。ちょっとお邪魔するでありんす、大賢者様」


 かなり上の方から声がして、ぬっと大きな手が差し出される。


 しかし百年以上の時を生きるフラム王国の大賢者。大人としてこんな事で怯むわけにはいかない。


「フラム王国王立魔法学院にようこそおいでくださった」


 でかっ、と思いながらの吉祥院と握手をする。


「アリシアが世話になっておる」

「こちらの大学も軍も魔術師協会もアリシア君には色々と協力いただいているでござる」

「ところで今日は何をしにきたんダ?」

「レラの目の情報を知りたいって」

「今更あんなモノどうするんダ?」

「地球の魔物みたいなのがこっちの世界に持ち込まれてて、それにレラの目がついてたから、どうやって動いてるのか調べたいって」

「そんな事ガ?」

「ザクスンでね、ボクも見ちゃったから」


 職員のエリアに入っていき、レラの目が書かれた書籍を持ってきてあげた。


「キッショウインさんには座るのがちょっと辛いナ」

「ソファー持ってきますよ」

「おう、アリシア君お願いしたいね」


 また本気状態になった吉祥院にアリシアは3人用のソファーを持ってきてあげた。

 それから書類を読み始めた2人の邪魔をしないように、アリシア達3人は少し離れた所に移動した。


「あの者はどの程度の力をもっておるのじゃ?」

「魔術師としての戦闘力はルーちゃんと互角ですねー」

「細かい技術と知識はキッショウインさんが上でス。今研究中の、探知設備の地理的な要因を教えてくれた人ですかラ。アーちゃんにこっちの魔術を教えて貰っているのもありますけど、両方を混ぜた話が出来る人でス」

「相当な実力の持ち主なのだな」

「日本という国で数百年も魔術に関わってきた一族ですからね。国内でもトップクラスです。トップは殆ど吉祥院一族ですけど」

「お前はまたそんな人間と繋がっておるのか」


 というか、あの2人は異世界人でありながらこちらの魔術文献が理解出来るというのが恐ろしい。


 しかしそれはアリシアにも逆のことが言える。


「あの2人が優秀なのもあるが、お前は人に教えるのが上手いのではないか?」

「どうですかね? 今は入居者の関係もあって向こうの学校の教育に絡んでますけど」

「アーちゃんハ…」

「アリシア君、ちょっと教えて貰えないか?」

「はーい」

「いやー、私がいくゾ」


 急にルビィが買って出て、有無を言わせず2人のところに行ってしまった。


「まあいいけど、ところで先日見つかったダンジョンてどうなったんです?」

「おお、あれは先日から本格的な探索が始まっておる。ダンジョンの制作者はまだ判明してはおらぬが、中には多数のガーディアンがおって、なかなか探索が進んでおらぬ」


ガーディアン、まあゴーレムの進化形の、自動人形のような、ダンジョンでよく見かける防衛装置だ。


「護衛で雇ったはいいが、最近の冒険者や傭兵は、お前達のような骨のある奴が少ない。嘆かわしい事よ」

「ガーディアンはよっぽどの冒険者でないと相手にならないんじゃ?」


 いくら命の保証をしなくてもいい冒険者であっても、探索が滞るので大事に使ってやって欲しい。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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