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騒動の幕開け -2-

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  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 事件の概要自体は前日に伝えておき、また翌日に時間を取って王都のラスタル城へ、ザクスン王国での魔族出現の報告にアリシアはやって来た。


 さすがに今日はエリアスも霞沙羅もおらず、アリシアは1人だけ。


 簡単なレポートを持って、マーロン王と騎士団関係者が数名、宮廷魔術師のタウ達が数名が集まっている会議室に通された。


 魔族出現という重大な話ではあっても、とりあえずは隣国での事なので、メンバーとしてはこのくらいだろう。


 勿論勝手にザクスン王国の王都サイアンに行ったことについては理由の説明をしつつ、ゼーラント王からの手紙も提出した。


「そのような事もあるのだな」


 プリシラ王女が見当違いの場所に転移してしまった事は、エリアスの言う事だから間違ってはいないだろうけれど、人間にとっては神の所業として、納得するほか無い。


「ザクスンの事なので、事件を目の当たりにしたとはいえ、私がこれ以上関わる事はありませんが、それに関わる情報を手に入れた時には、伝えて欲しいと申しつかっております」

「ゼーラント国王からの手紙にも書かれているな。それについては我が国との同盟国でもある。協力してやって欲しいが、当然我らにも同様の情報は提供して欲しいモノだ」


 書類の中では、この件でのアリシアの出入りに関しては保証するとあった。緊急事態なので転移魔法で直接王都サイアンに来ていいと。


「報告の窓口はどうしましょう?」

「そうだな、お前にとっては学院がいいだろう。タウ殿に通したもらってよいか?」

「儂で良ければ、アリシアからの報告を第一に受けましょう」

「うむ、頼むぞ」


 では本人の承認を得て、報告先はタウになった。王宮魔術師の長としてタウから王へアリシアからの連絡があり次第、都度報告する事となる。


「しかし魔族か。操られていた魔獣に取り付けられていたレラの目も従来とは違うモノだとか?」

「霞沙羅さんが見つけたんですが、金属なんですよね。一つ貰ってきましたので、学院に提出します」

「カサラ殿は何か言っていたか?」

「いえさすがに、魔族については説明をしていないので。ただ、知らないからレラの目に気が付いたんでしょうね」

「そうか。では学院で見る事としよう」


 アリシアが見た所、レラの目が金属であるという事以外は機能的にもおかしなところは無いので、学院でも専門家に見て貰いたい。


「魔族といえば、お前が姿をくらましていた時にイリーナ司祭から冒険者時代の話しを聞いたのだが、対魔族用の神聖魔法があるようだな」

「ボクが対レラ用ってコンセプトで作った神聖魔法ですね。冒険中に神降ろし的な事もありましたから、何度か使いましたねー。イリーナは宗派も同じでしたし、色々教えて貰いましたから」

「アリシアは教皇からも特別名誉神官の称号を受けているとは聞いているが、今更ながら随分と器用なのだな」


 マーロンと同じ戦場に立ったのは魔女戦争での話で、対レラ用の魔法は魔女役だったエリアスの軍団には効果が無かったので、使う事は無かった。なのでそんな神聖魔法がある事はあまり知られていない。


「折角フラム王国に帰ってきたのだから、この機会にオリエンス教へ伝えてはどうだ?」

「そうですね、この国でも魔族の出現が…、モートレルでありましたね」


 占領事件の際にも、神降ろしでレラの眷属が出現した。あの時はもっと有効なシスティーがいたので使わなかったし、ヒルダもルビィもいた。でも今考えると防御用に使ってもよかったかもしれない。


「ちょっとまて、お前の事だから他の教団にも応用が利くのではないか?」

「魔法自体は攻撃と防御の二つしかありませんが、他教団にも使えるように出来ていますよ」

「まったくお前は…、とにかくセネルムントにも相談出来るのであれば、まずはイリーナ司祭を通してでも伝えるのだ」


 この専用の神聖魔法は魔族にしか効かないので、必要以上の攻撃的な力をを嫌う教団も受け入れるだろうか。それなら伝えておけば、いつか出番はある。


 オリエンス教の聖都を擁するフラム王国の立場としては、信者のアリシアから是非伝えて欲しい。


「ではイリーナに連絡を取りますね」

「ザクスンは同盟国、そのザクスンが危険を抱えているのであればギャバン教にはお前の神聖魔法の事を王宮から連絡をしておこう。セネルムントの件が終わり次第でいい、ギランドルへも伝えておいて欲しい」

「はい、畏まりました」


 ここでマーロンが笑った。


「どうしました?」

「いや、お前が頻繁に城に来てくれるのでな。帰ってきた時はあまり乗り気では無かったように思ったが、火山から始まって、よく国のために動いてくれている」

「儂もお前が分校に閉じこもってしまうかと危惧しておったが、研究成果を本校に持ってきてくれるのう」

「まあその、館には軍の幹部とか協会の幹部とかそういう人が出入りしてますから」

「良い影響を受けているようだな」


 霞沙羅の仕事を見ていたから、いざ自分がこっちの国で多分中くらいの、責任ある地位に就いてしまったので、何となくそれに倣っているのかもしれないとマーロンは分析した。


「これからもこの国の子爵として、力を発揮してくれ」


  * * *


 ザクスンから貰ってきた金属製のレラの目は、神聖魔法も得意としている賢者の一人が中心になって確認する事になった。


「アリシアとしては怪しいところは無いのだな?」

「前例の無い素材ですけど、機能としては従来と変わらないかと。妙な魔術が仕掛けられている事もないですし。霞沙羅さんの考察ですけど、持ち歩きやすいからじゃないかと言っていましたよ。見た目はただの金属の球ですからね」


 魔族はダンジョンを構えている場合と、人間社会に紛れ込んでいる二通りがある。


 今の所どちらのタイプか解っていないけれど、後者の場合は従来のレラの目を持ち歩いていると、いざという時にバレてしまう。それで工夫したのでは、というのが霞沙羅の考えだ。


 レラの目を知らない人が先入観無しに、純粋な研究者目線で見てしまって、バレてしまったけれど。


「そう考えるとギャバン神はカサラ殿を呼んだとも考えられるな」

「そうでしょうね。あとは、鎮魂の儀でオルガンを演奏して欲しかったとか。話しを知っているゼーラント王に会ってしまいましたからね」

「ほう、そんな話が」

「セネルムントでは、教皇に頼まれたくらいですから」

「お、アーちゃんじゃないカ」


 学院の廊下をタウと歩いていたら、授業終わりのルビィがやって来た。


「やっぱり本校がいいだろウ? 施設を見に来たカ?」

「そういう話じゃなくて」


 アリシアはザクスンの魔族の件の話をした。


「魔族カ。この国でもアーちゃんがいない間に2回あったナ」

「鎮魂の儀も控えているからねー」

「ヒルダがアーちゃんに連れて行ってもらうとか言ってたナ」

「まあザクスンも強い国だし、あの国にも英雄って言われている人がいるから」


 聖都もあるし、この学院と肩を並べる魔法学院もあるし、戦の国だ。魔族の一人くらい自分達で解決出来る力はある。


 その為の情報があれば伝えるけれど。


「それでルーちゃん、折角会ったから伝えるけど、轟雷の杖の制御装置が完成したから、霞沙羅さんが持っていくって」


先日どうするのか訊かれたから、学院にもって来て欲しいと言っていた。


「おー、それは予定を決めないト」

「それはどういうモノなのだ?」


 そんな話があるのかとタウが話に混ざってきた。


「タウ様はどのくらい知ってるか解りませんけど、ルビィの、威力はあっても轟雷の杖って使いにくいじゃないですか。それに霞沙羅さんが制御装置を作ってくれるってなってて」

「ヒルダのロックバスターは成功したそうなんデス。なので受け取って町の外の演習場で実験をする予定デス」

「あの杖か? であれば儂も見たいモノだ」


 そう来るとは思っていたけど。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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