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やどりぎ館でのティータイム -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 今日は札幌の「オフィスN→(ニーズ)」へインタビュー企画の打ち合わせに向かった。


 吾妻社長には軍とのコネがあるし、これまでの委託業務を通してその手腕も認められているので、モデルにもファンの多い霞沙羅のインタビューを、事務所のPR企画の一環としてやらせてくれることになった。


「場所は下宿の一室を提供してくれることでいいのね?」


 霞沙羅が仰々しくしたくないというので、やどりぎ館の入居者としての権利を行使して、広い2人部屋を使ってインタビューは行われる。


 インタビュアーは先輩モデル2名。


今回エリアスは関係ないけれど、現場を見て今後の勉強もしたいので、場所を貸すのには乗り気だった。


 現場資料として館内写真を見せると吾妻社長も気に入ってくれたので、当日は部屋からベッドを撤去して、テーブルと椅子を設置する。そしてお茶を飲んだりお菓子をつまみながら和やかな雰囲気を作って、リラックスしてもらう。


「食事とお菓子はボクが作りますからねー」

「場所まで貸して貰って悪いわね」

「入居者と管理人がいますからねー」

「機材もあるから車で行くけれど駐車場はあるの?」

「私の家に駐めていいぞ。元々自動車修理工場だから、土地は余っている」


 当日は社長とメイクの小松川さん、それと先輩モデル2人が会社のワンボックス車に乗ってやってくる。


 午前中に来て、メイクや写真撮影をして、軽く食事をとりながらの歓談後、お菓子を食べながら女子会よろしくインタビューを行う。


「館のお風呂に温泉を引いてますので、インタビューが終わった後にでも入っていって下さい」

「あらそうなの?」

「アルカリ性単純温泉の美肌の湯だぜ」

「あのちょっとヌルってした泉質の? それはいいわね」


そんなモノがあるなら、ちょっと入っていこうかしらと思う。そういえば最近忙しくて温泉はご無沙汰だ。


「あの2人も喜ぶわ。憧れの新城先輩に話を訊けるんだもの」

「私はモデルじゃないぜ」

「モデルみたいなモノじゃない」


 それにしてもこの2人はやけに仲がいい。歳も離れているし、数年会ってないハズだ。


「2人はどういう事をしていたの?」

「私はこんな性格だろ。撮影の為とはいえこのおばさんには大夫しごかれたんだぜ」

「素材はいいのは解るでしょ? だからどうやって売ろうか悩んだわよ。まあホント、がさつで落ち着きも無くて、手癖も足癖も悪いし」


 霞沙羅の裏側をある程度知っているという事だ。


 社長の言うとおりに綺麗なお姉ちゃんだけど、あの家の中はちょっと見せられない。特に先輩モデル2人は幻滅するかもしれない。念のため、当日はきちんと清掃をしておこう。


「だからポーズだけは我慢して貰って、素材そのままであくまで自然に売り出したのよ。そしたらそれが大ウケ。元々天才的な剣と魔術で有名だから、女性からは強い女性の象徴だものね」


 軍内部の部門としては小さいけれど、24才で軍の大佐だ。それは軍志望者じゃなくても社会的にも憧れる女性も出てくる。


「口は悪いけど、座ってるだけで格好いいのよ」

「そうね、写真を撮ってて解ったわ。でも大佐も自分が何をすればいいかだんだん解っていったから、初めの頃に比べると、最近はカメラの前でもかなりしっかりしてるわね」

「あれから年をとってるからな」

「まあエリアスちゃん、その辺はインタビューの時にでも飛び入りで訊いて貰える? 今やられちゃうとネタが無くなっちゃうわ」

「はい」

「こいつ、家で人の動きばっかり見やがるんだよ」

「人生の先輩として勉強してるのよ。でもエリアスちゃんはちょーっと周りの人を意識しすぎて、動きがぎこちないのよね」

「しゃ、社長」

「まあ家にこんないい人がいるなら、勉強させて貰いなさい」

「はい」

「適度にしてくれよ」


 この前は愚痴られたけど、管理人なので霞沙羅の人間的な部分を見ることが出来る。性別は違うけど、やっぱり伽里奈(アリシア)としても憧れている人だ。


  * * *


 そしてインタビュー当日になった。


 2人部屋の掃除も終わって、家具も入れ替えしてある。


 6人で座れるテーブルと椅子を出して、撮影用のソファー、メイク用のデスクと鏡も入れた。床はフローリングのままでいいと指定があったので、綺麗に磨いておいた。


「うーん、こんなもんかな」


 背景に映るのは自然な感じの部屋がいいとか言っていた。変なカーテンもいらないし、インテリアや花瓶もいらないとか言っていた。だからシンプル。


 食事をするのでテーブルクロスくらいは置いておいた。


「私はよくわからんが、これでいいんじゃないのか? それに注文があれば指示してくるだろうしな」

「外も晴れてるから、自然な感じに明かりが入ってきますね」


 照明も持ってくるだろうし、霞沙羅の言うとおり後は社長達に任せるのがいい。


「伽里奈ー、私はいつでもいいわよ」


 お菓子は、厳密には違うけれどシャーロットから聞いたアフタヌーンティー的な感じに出すことにした。


 シャーロットは実家でやっているから、アフタヌーンティーがどういうモノかを先日得意げに解説してくれた。


 じゃあ折角やるのならと、専用のケーキスタンドも買ってきた。


 食べ物としては何種類かのクッキーとスコーンと、苺のタルトを作る予定だ。


実際の所、シャーロットは自分でお菓子を作れるわけでは無いけれど、色々とアフタヌーンティーの写真を集めてくれたりしてくれて、これからクッキーを手伝って貰う。


「社長達の対応は私がやるから、あなたは厨房に行ってていいわよ」


 事務所の人達はエリアスの客人でもあるので、撮影の応対は任せることにして、伽里奈(アリシア)はシャーロットを連れて厨房に行った。


 エリアスにとっては初めてとなる日本の客人で、やどりぎ館でのお仕事とあって、一大イベントだ。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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