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鎮魂の儀に向けて -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「とうとう出来ましたね」

「後はアシルステラに行って剣に装着するだけだな」


 以前に言っていた、ヒルダの魔剣ロックバスター向けの制御装置が完成した。


 バスタードソードなのでサイズが大きくて普段使いは難しいけれど、これで町中でも使えるようになるので、出番も増えるだろう。


 今から持っていくよ、と鏡でヒルダに連絡を取って、早速モートレルの屋敷に向かった。


「冒険中はどうしてたんだよ」

「魔女戦争が始まってから手に入れましたからね。外の戦いでは使いましたし、室内で使う時はなんとか自力で機能ををカットしてました。武器としてはヒルダの腕力に合ってますし、頑丈ですから愛剣として使ってました」

「苦労してたんだな」


 制御装置は柄の一番上に取り付けて、手元でいじれるように設計されている。


 屋敷の中に通してもらい、早速地下の保管場所から引っ張り出してきたロックバスターに制御装置が取り付けられた。


「このダイヤルをカチカチと回すと、ここの表示が変わって、これが制御の目盛りになる」


 結局21段階の調整で、能力カットから制御無しまで5%ずつ威力が変わる。


「能力カットをすれば、今やっている練気が乗るようになるぜ」


 とにかくこれで気軽に使えるようになる。大きいので普段使いは出来ないけれど、威力を落とせばこのロックバスターを使うという練習は周囲に迷惑をかけずに出来るようになるのだ。


 だとすればあとは簡単。


「じゃあ、町の外に行きましょう。今日は使ってない騎士団の野外演習場があるのよ」

「外って何かに乗って移動するのか?」

「あっそうだ、ヒーちゃん、なんか霞沙羅さんは馬車に乗りたいらしいんだって」

「そうね、じゃあ馬車で行きましょうか」


 ヒルダは早速馬車の用意をさせて、念のため、本当に念のために護衛を2人つけて、モートレルの町を出て、騎士団の演習場だという原っぱへ移動となった。


 馬車には自動車のようなサスペンションは無いから地面の凹凸の影響をもろに受けるし、椅子も硬いから、正直乗り心地は良くない。けれど移動中には街道を歩く冒険者の姿があったので、霞沙羅は興味深そうに見ていた。


「ところでこの指輪はお前の町でも効くのか?」


 先日王様に貰った指輪を霞沙羅は今日もつけてきている。


「アーちゃんから聞いているわ。でもカサラさんはもうこの町では私の客人でしょ。とはいえパスカール領の他の町に行くことがあれば、持っていた方がいいわね。私の方からも伝えておくけれど」

「他の国では無駄か?」

「町とかの通行料が無料にはならないでしょうけど、同盟国の王族相手なら不審者扱いはされないかもしれないわね」

「まあそんなもんだよな」


 それよりも霞沙羅はギャバンの知り合いなので、度を超した無礼を信者が働いた場合は、その相手には洗脳の奇跡かお仕置きが飛んでくるかもしれない。


「そうそう、鎮魂の儀の招待状が届いたんだけど、霞沙羅さんも招待されてるの?」

「そんな話してないけど。そもそも霞沙羅さんの話はザクスンにはしてないよ」

「オルガンを弾いて貰いたいとか、教皇様が神官をとおして、私に話しをして欲しいって言われたわよ」

「あの野郎、やりやがったな」


 前回泊まりに来た時に「弾いてくれ」と言っていたらしいので、ギャバンが教皇に神託でもしたんだろう。


「まあその、セネルムントで霞沙羅さんのパイプオルガンの腕が評価されてて、この前教皇様の礼拝の時に演奏したから、話が流れていったのかな」

「あらそうなの。霞沙羅さんてそんなに上手いの?」

「自分の世界でやってるからな。しかし鎮魂の儀だろ。私はこっちの死人なんか知ったことじゃないから、宗教イベントで望まれているとおりには弾けないぜ」

「弾くのは上手いけど、どうなんだろ」

「あら、じゃあ断りがあったって言っておくわね」


 とりあえずこのことは一旦お断りになった。


 話をしていると演習場にたどり着いたので、馬車から降りて早速ロックバスターの調整具合を見ることになった。


「じゃあ目盛りゼロから一個ずつ試していこうぜ」


 どこかの段階で驚いた馬が逃げ出しそうなので、アリシアは自分達と馬の間に結界の壁を築いた。


 まずは目盛りゼロで振ると、当然何も出ない。ただこれだけでもロックバスターを知っている人間から見れば、充分すごい。


 そして目盛りを一つあげると、常識的な範囲の衝撃波が出た。


「これなら町でも使えそうね」


 それから一個ずつ目盛りを上げていくけれど、20%くらいからロックバスターが威力を発揮し始めた。もう普通の冒険者とか騎士では反動で体が吹き飛ばされるレベルだ。


「あの町で反逆神とかいうヤツの眷属と戦ったんだろ?」

「周りに騎士団とかいたので、あんな状態でも振り方を変えたりして何とか威力を下げてましたよ」


 目盛りを上げると威力も増して、飛距離も伸びていくので、ロックバスターをしっかりと見たことがない御者代わりの騎士や護衛が、自分達が仕えている領主の秘めた力に驚き始めている。


魔剣の力ではあるけれど、あんなモノを振るってヒルダの体は全く何も感じていない。


 遂に制御をカットして、最大級の攻撃を振るう。


「これは町が吹き飛ぶな」

「攻撃目標があればヒルダの制御でそれに威力が集中するんですけどね」

「これはいいわね。魔女戦争時代にこれがあれば良かったのに」

「お前ら6人が日本にいたら、厄災戦は早く終わってるだろうな」


 試験の結果、制御装置は霞沙羅の設計通りの力を発揮した。これも国王から貰った宝石の相性にもよる。やはり魔術を込めるのなら、その世界の素材がいい。


「次は轟雷の杖だな」


 あれもあれで威力だけを考えられた設計なので手がかかりそうだ。でもそれはそれで腕が鳴る。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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