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シャーロットとケーキの話

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 次回の料理演習は、期末試験の後の、12月年末にある聖誕祭近くに行われるスケジュールだ。


 今回の実習は作る料理がすでに決まっていて、班とは関係なく、それぞれの料理に全員から担当分けをして作る事になっている。


 全員が同じ料理を食べるのだ。


 でも経験値の少ないシャーロットは引き続き伽里奈(アリシア)とセットで実習を行って貰う。


 そして伽里奈(アリシア)が担当分けで組み込まれたのはデザートであるケーキ作りだ。これまで何度もデザートを作り続けたので、聖誕祭ということもあってかなり重要なな食べ物担当に抜擢された。


「それでどんなケーキを作るのよ?」


 というのが今日の授業のテーマだ。


 人生初めてのケーキ作りでシャーロットもとても気にしている。


 ケーキとして予算は決められている。その範囲内で何が出来るかということを考えなければならない。


 まずは、世間にはどういうケーキがあるのか、ざっと書き出してみる。とりあえず予算は無視して。


そして出てきたケーキの中から、時間内に終わるのかどうかを検討する。


 今回のデザートは予定外のついでではないから、調理は時間いっぱい使えるので、変に凝ったデザインのモノでなければどうとでもなるだろう。


 そして担当者内の多数決で「チョコレートケーキ」になった。定番かもしれないけれど、その分外れる事は無い。


 それからどういう作りのチョコレートケーキにするのかを話し合って、材料を決めて、予算を組んだ。


 ケーキのデザインは次の授業に各自持ちあって、決めることになった。


  * * *


「ケーキ、チョコケーキ♪」


 やどりぎ館に帰ってから、シャーロットは手持ちのノートPCで色々なチョコレートケーキの画像を検索していた。


 イギリスのものがいいか、日本のものがいいのか、色々なお店のページを見てその都度画像を保管して、次の授業の為に良さそうなものはどれか、自分が食べたいのはどれかを考えている。


「シャーロットさんはこのところ学校が楽しそうですね」

「今度の授業でケーキを作るの。システィーは良いお店知らない?」


 システィーがたまにプリンとかのスィーツを買ってくるので、シャーロットは聞いてみた。


「そうですね、ここなどはどうでしょう」


システィーがお店のHPを検索した。


「え、どこにあるお店なの?」


 なかなか良さそうなケーキが揃っているお店だ。近くなら個人的に行ってみたい。


「帯広ですよ」

「システィーよ、お主はケーキを買いにどこまで行っておるのじゃ」

「同じ北海道でしょ?」

「特急に乗ってここから4時間以上かかる場所じゃよ」

「ええーっ、そんなに遠いの」

「私は超音速で飛べますし」

「それを見られてはおらぬだろうな」

「それはさすがにないですよ。一旦夜中に現地まで飛んで場所を確認して、それ以降は転移です」


 談話室エリアで繰り広げられている楽しそうな会話を聞きながら、伽里奈(アリシア)は厨房で夕飯を作っている。


 今日の夕飯は焼きカレー。


 カレーには一体どれだけのバリエーションがあるのかとシャーロットは呆れていたけれど、まだ食べたことがないので、今晩の夕飯になっている。


温かい食べ物だし、季節的にいいと思う。


 そんな中、アンナマリーが温泉から出てきて、「ケーキ、ケーキ」と連呼しているシャーロットに何を言っているのか事情を聞きに行った。


「学校でもケーキを食べるのか。さすがの伽里奈もケーキはそんなに作らないからな」

「アンナは今まででどのケーキが良かった?」

「そうだな、ショートケーキが良かった。スポンジ生地を包むような生クリームで白くて苺が載ってて。あれは屋敷で作って貰いたい」

「ショートケーキってこれじゃないの?」


 ロンドン在住のシャーロットはアンナマリーが口にした「ショートケーキ」の姿に記憶が無い。苺があるのはともかく、クリームは使ってもそんなに白い食べ物じゃない。


「ほら、これよ。ビスケット的な、クリームとフルーツを挟んだこれ」

「いや、これは違うぞ。なんか太った蝋燭みたいな形だった」

「えー」

「アンナマリーさんが言ったのは日本のショートケーキですね。マスターはそれしか作ってませんから」


 システィーがシャーロットのPCに、どこかのお店のショートケーキを表示した。


「な、何これ」


生クリームに包まれた、てっぺんに苺が載っているケーキだ。シャーロットの知っているショートケーキらしさは苺くらいしかない。まるで別物だ。


「国によって違うようですよ」

「え、えー、ねえ伽里奈」


 シャーロットがPCを持って厨房にいる伽里奈(アリシア)に話をしに行って、帰ってきた。


「明日作ってくれるって」

「やったな」


だったら日本のショートケーキというヤツを味わってみよう。これで国のショートケーキより美味しくなかったら、発祥国国民としてちょっとした苦言をネットに書き込んでやろう。


 それはともかく、チョコレートケーキを提案しないといけない。でもあの白いショートケーキも気になる。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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