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ペンギンに会いに行こう -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「すごい綺麗だな」


 地下街の喫茶店に入ってから40分くらいが経って、だんだんと空が暗くなって、町の明かりが増えている。


 公園の外灯だけじゃなくて、ビルの室内灯もハッキリ見えるようになったり、看板にも明かりが点き始めたので、さっきよりも町が明るくキラキラしている。


アシルステラには電気の明かりが無いから、その感覚で見ると、空は暗くなっているのに町は明るいという、見たこともない状況にアンナマリーはうっとりした表情で辺りを見回している。


「夜といえばあの館から見えるちょっとだけの景色だけだったが、町に出るとこんなに綺麗だったんだな」


 やどりぎ館周辺にも外灯があるので真っ暗ではないけれど、住宅街だからそんなに明るくない。夜勤の時はランタンの明かりしか無い町を警備するアンナマリーからすると、小樽の夜はそれでも明るかったから、繁華街の明るさは衝撃的だろう。

 

「噂の雪まつりって行きたいんだけど、どこでやるの?」


 日本に来る前にはちゃんと調べていある。雪が降り積もってきているしそろそろなんじゃないかと、シャーロットは期待している。


「2月にこの公園でやるんだぜ」

「ここでやるの?」

「今度は何をする祭なんだ?」

「雪で大きな像を作って、夜はライトアップ…、明かりを照らして観賞するんだよ。家に帰ったら去年の写真を見せてあげるよ」

「この国は祭が多いな」

「小樽でも雪明かりのみち、っていうお祭りみたいなイベントもあるんだよ」

「話だけ聞いてると雪に閉ざされるんじゃないかと思っていたが、寒い中色々あるんだな」

「雪は邪魔なくらいあるからな。それが見られない地域にいる人間向けのいい観光資源だから、意地でも使わないとな」


 それをPRしようというエリアス達の仕事が終わり、撮影業者とクライアントが撤収作業をしている所に、伽里奈(アリシア)達人は近づいていく。


「お疲れ様でーす」


 オフィスN→(ニーズ)は全員出動になっているので、アリシアはまず吾妻社長達に挨拶をした。


 全員と言ってもタレントを含めて5人しかいないのだけど。


「あら伽里奈君、そっかエリアスを迎えに来たんだっけ」

「お、伽里奈たん発見」


 2人の先輩も挨拶を返してくれた。


「撮影はもう終わりで良いんですよね?」

「ええ、今さっき終わった所よ。あ、またよろしくお願いします」


 クライアントと業者が帰っていったので、全員で挨拶をした。


「あら、今日はエリアス以外の美少女を連れてるじゃない」

「館の住民なんですよ、留学生で」

「色々住んでいるのね。あれ、新城大佐なんか連れてるじゃない。知り合いだったの?」

「ち、バレたか」


 霞沙羅はダウンジャケットのフードをかぶってだんまりしていたのだが、さすがにそれなりに長い付き合いの顔見知りが相手なのであっさりバレてしまった。


「あれ、この人達って霞沙羅の知り合いだったの?」


 霞沙羅が挨拶もせずに一歩離れた位置にいたから、シャーロットには不思議に映ったようだ。


「ん? この人は戦後の横須賀所属時代はファッション雑誌の編集長だったが、広報誌の私のコーナー立ち上げの時に関わってくれたんだよ」

「戦中の話だったわね。終戦後しばらくして北海道に転属されたって聞いてたけど、今はどこに住んでるの?」

「こいつとエリアスがやってる下宿の横だよ」

「え、社長、新城大佐が何でここにいるんです?」


 先輩モデル2人がようやく霞沙羅が側にいることに気が付いた。


「エリアスと伽里奈君のお隣に住んでるようよ」

「生活能力が無いから、こいつに日常生活の世話になってるんだよ」

「え、エリアス、なんでそういうの黙ってるのよ」

「私が黙ってろと言っておいたんだぜ」

「え、ええー、大佐、私ファンです」

「わ、私だって、大佐がいたからモデルになったんですよ。ほらほら見て下さい」


 と先輩モデルの一人が、スマホに保存されている、昔の広報誌をスキャンした画像を見せてくれた。


「そういうのは仕舞っておいてくれ」


 画像の多くは霞沙羅がまだ10代だった頃の懐かしい写真。当時から大人びた姿だったとはいえ、まだまだ少女の色が濃かった時。今はまだ24才とはいえ、過去の自分は子供が背伸びをしているようで恥ずかしい。


「握手して下さい、一緒に写真撮って下さい、サイン下さい!」

「私もー!」


霞沙羅は苦笑いしながらも、エリアスがいる事を考慮して先輩モデル2人の希望に応えてから、館の夕飯があるので、帰ることにした。


 帰りの車内は、助手席にエリアス、後部座席は左右にアンナマリーとシャーロット、やや座りにくい真ん中には伽里奈が、という配置になった。


 ただ、シャーロットとアンナマリーは車が動き出すとすぐ、ぬいぐるみを抱きしめながら眠ってしまった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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