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学校での施策が始まる -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 小樽はもう12月に入り、今日もグラウンドには雪が積もっている。


 生徒達がグラウンドで魔法実習のの授業を始めるのを横目に、伽里奈(アリシア)は雪かきされて脇に撤去されて山になっている雪の所に向かった。


「このくらいの量があればいいよねー」


 モートレルの騎士団ではゴーレムを使って、大型の魔物を想定した騎士団の練習をやっているから、こっちでもやってみようと思っていた。


 あちらのは現役のプロ向けなので怪我人上等の戦闘力があるけれど、素人集団の学校でそれは許されない。それを考慮して、学生向けにと予めデザインしていた魔術回路を使用して、伽里奈は雪のゴーレムを作成した。


 姿はモートレルでも使っている鎧騎士の姿で、小さいと当てにくいので身長は3メートルと大きめにしてある。武器は、攻撃をしないので持っていないけれど、それだと木偶の坊な外見になって張り合いが無いので、形として楯を持たせてある。


 ゴーレムはあくまで魔法をぶつけるだけのターゲット。E組生徒の多くは一つの魔法を撃つのに30秒程度かかるのに、攻撃を避けろとかハードすぎる。


 だからこのゴーレムは移動するだけ。VRの授業でも動くターゲットに当てる事をやっているのだから、リアルでもその感覚は重要じゃないだろうか。


 そんなに俊敏に動くことはないけれど。


若干土が混ざったゴーレムをのっしのっしと歩かせて、伽里奈(アリシア)はE組の練習場所までやってきた。


「伽里奈、お前何持ってきたんだよ」


 もはや伽里奈(アリシア)が何をやっても中瀬達は驚かない。


「あのー、これをターゲットにやって貰えません?」


 伽里奈(アリシア)が「ただ魔法を当てること」「動いて避けようとすること」「攻撃は無いこと」というルールを説明すると、教師も「じゃあやってみるか」と言いだした。


「伽里奈は安全の為に見ていること」

「そのつもりです」


 攻撃をする、という動きは入れていないけれど、なにぶん大きいので、変な場所に移動しないように、見ていることにした。


生徒達は通常の練習をする人間と、ゴーレムをターゲットとする人間の二手に分かれた。


 生徒間で同士討ちが起きないように生徒は横一列に並び、ゴーレムに魔法を撃ち始めた。


 ゴーレムは動物園のぼんやりしたゾウ並みにのんびりと設定した範囲を歩き続ける。


 そして生徒達は平均的に30秒ほどの時間をかけて一発一発魔法を放つ。


 今回違うのはターゲットが動いていることで、狙うという行動が増えてしまう。そんなに速く動くわけではないけれど、命中させようという意志が働いて、ちょっと焦る。


 魔法が当たると表面の造形がポロポロ崩れていくので、練習用魔法であっても、ダメージが入っている、と解るので、皆頑張って魔法を撃ち続ける。


「先生、あれいいですね」

「私達もやりたい」


 運動会の何かの競技のように見ていて楽しそうだ。通常の実習をやっている方の生徒もやりたいと言いだしたので、途中で交代することにした。


「ねえ伽里奈(かりな)、私もやってみたいんだけど」

「シャーロットは、お手柔らかにね」


 レポート作成の為だ。ダメとは言えない。ただちょっと気になる所がある。


「はーい」


 シャーロットが風の魔法を放つと、たった一撃でゴーレムの腕が肩からもげた。


《ああー、やっぱりー》


 練習魔法しか使えないE組用に調整したから、本当にちょっと脆いのだ。


「シャーロットってやっぱりすごーい」


E組の生徒は呑気なモノだ。


 賞賛を浴びるシャーロットだけど、伽里奈がちょっと焦っているので、やってしまったと思っている。でも本当に手加減してあの結果だ。


 シャーロットが相手をするにはさすがにこのゴーレムは脆すぎた。


「え、えーと」


 ゴーレムを再構築しつつ、どうしようかと思っていたら、今回もお隣のクラスは1年A組だった。そのA組がこっちを見ている。


 これは渡りに船かもしれない。参加希望者を聞いてみよう。


「A組の人で同じようにやりたい人はいるー?」


 すると全員が手をあげた。


「伽里奈アーシア、そんないいのがあるならこっちにもよこしなさいよ」


 一ノ瀬が良い台詞を口にしてくれた。クラスのトップが「羨ましい」と言えば、あとは「そうだそうだ」と同意してきた。多分妬みはない。


「じゃ、じゃあ」


 別の雪の山を見つけて、性能を上げたゴーレムを作成して、A組の先生に見せる。


「今更ですけど、これをターゲットにやって貰えます?」

「え、ええ、どうぞ」


 A組用のゴーレムは普通の魔法に対抗出来るように硬くして、もう少し速く動くようにした。攻撃は勿論なし。


「耐久力の調整をするから、シャーロットはあっちに混ざってくれる? あの、お手柔らかに」

「解ってるわよ」


 ただ、さすがにシャーロット。A組用のゴーレムがかなり強固に作られていることは見抜いたようだ。


「じゃあやるわよ、伽里奈アーシア」


A組の方も、E組と同じように、同士討ちにならない配置で、魔法を撃ち始めた。


こちらも魔法の発動までの時間はあるけれど、初級魔法なだけに威力が違っている。


 しかしそこは伽里奈の調整により、シャーロットの初弾でも造形がボロっと落ちた程度で、A組の生徒の攻撃ではポロっと落ちる程度。


 耐久力は案外良さそうなので、伽里奈はこのパラメーターをメモした。


「やったー」


 E組の方のゴーレムが耐久限界値を超えて崩れていったので、中瀬達が騒いでいた。


「やっぱり最後には壊れないとねー」


 漠然とゴーレムを撃ちまくって授業が終わるよりは、いつかは壊れる目標はあった方がいい。


 ただ、すぐ壊れては面白くないから、丁度いい具合を模索しないといけない。それをフォーマットにして、クラス毎に各教師に選んで使って貰う。これがゴール地点だ。


 A組を見ていても好評のようなので、地球側でもゴーレムを使っていけるといい。


読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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