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学校での施策が始まる -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 場所は国立小樽魔術大学付属高校。


 本日の授業は終わり、これから放課後となる時間になった。


 今日からは放課後の自主鍛錬設備として、伽里奈(アリシア)が提案した簡易結界が追加される。


 今のところまだ様子見なので、予約システムには登録されておらず、事前に申請用紙で予約し、割り当てられた時間に1人10分だけ利用出来るようになっている。


 期末試験も近づいている中、ある程度気軽に、試験に備えた魔法の確認が出来ると、初日から全ての枠が埋まるほどの大盛況だった。


 当初の予定では外にテントを立てて、その中に結界を仕掛けるという運用方法だったけれど、教師達の方で検証してくれて、体育館での運用に安全確認が取れたので、これからの時期も寒空の下、凍えることなく練習が出来るようになった。


 まずは6組分が用意されて、教師数名が安全確認のために横についての運用が始まり、初回の1日目なので、伽里奈とシャーロットと、同じく利用を考えている大学から、霞沙羅(かさら)他数名が見学にやって来た。


 開始時間になり、予め決められた順番で生徒が練習を始めた。


 結界に発動体である短い杖を突っ込んで、自分が今練習したい魔法を放つと、結界の壁に当たって防御される。


 これが始まるにあたって、各クラスには担当の教師から説明をさせているけれど、体験していない生徒は戸惑いながらも、何回か撃ったところで、要領がわかったようで、あとは何も気にせずに練習をしていた。


 そして10分が経ち、次の生徒に交代した。


「見た目は簡易的だが、結界はしっかり出来ているし、軽く練習する分にはいいんじゃないのか?」


 今のところは1人10分しかないけれど、レーンのような仲間同士での譲り合いはなくて、個人で集中して練習出来るので、予め自分が何をやるか決めてから始めればいい。


「来年入学の新一年生は、いきなりは無理そうですけど」


 下手をすれば一発撃つ前に時間が終わってしまいそうなので、一学期の間は利用出来なくするしかないだろう。


「試験までに1人1回は確実に使えるのか。2回は使わせたいな」

「とりあえず今週は6組でやって、来週は8組に増やす予定ですよ」

「運営側の慣れ次第だな」

「そうですね」

「結界の仕組みが前時代的だが、基本ではあるわな」


 触媒が入った瓶にアロマ用のスティックを挿しているだけという見た目ではあるけれど、霞沙羅が見ても、思いのほか結界は安定している。


 この放課後運用で使い方が確立されれば、来年度から魔法実習の授業も増やすことが出来るだろう。


「うーん、面白い」


 シャーロットは資料用に、今日の練習風景を写真に撮っている。


「レポートにはもう反映しているのか?」

「だって、私も計画に参加しているもの」

「ただ、言い出しっぺはまだ納得してないな」

「お金がかかりそうかなって思ってるんですけど、簡単な装置というか、カラクリというか、器具に出来ないかって考えてるんですよ。移動も出来るようにして」

「なんだよ、見せてみろよ」


 伽里奈(アリシア)がタブレットPCで絵を描いていたので、霞沙羅は見せて貰った。


 電気的な動力は使わないで、Xの形にしたレールに、触媒を乗せる可動式の台を4つつけて、折りたたみ式にして、車輪をつけて、と具体案になっている。


 触媒の距離を狭めれば結界の強度も上がるから、大きな魔法にも対応出来る。


「ジムにありそうな器具だな。それっぽいのは大学の機材専攻の連中に振ったら出来るんじゃねえのか。そこの教授にでも聞いておいてやるぜ」


 他校、というか主に横浜校から予算を奪う試みの最中なので、この今の状況の話をすれば、生徒を使って試作品を作ってくれるかもしれない。


 そろそろ、周囲を巻き込んで、世迷い言ではなく付属を含めた大学全体のテーマにしていきたい。


 なにせあの小型の幻想獣感知器は安全の為に、校内の何カ所かに設置しようという話になっている。それを作った伽里奈(アリシア)の提案に、霞沙羅の後押しがあれば、何とかなるだろう。


 予算も大きくかかるモノでは無い。


 少ない予算内で出来る限りの設備を充実させて、教育に反映していけば、小樽校の評価も上がり、国から予算をせびれるハズだ。


  * * *


 昨日から始まった簡易結界練習場では大きな問題は生じることはなく、本日も予定通りに実施される。


 あと5分でもいいからもうちょっと時間を長くして欲しい、というアンケート希望が多く出たけれど、それは今後の運用次第。


 昨日の参加者からの、とりあえずの評価としては「面白い試み」「今後も続けて欲しい」だったと、伽里奈(アリシア)は聞いた。「いらない」はさすがに無かった。


 だとしたら提案した意味もあったというものだ。


 シャーロットもレポートのネタになっているし、ここから先はどう運用していくか、をある程度固める段階に入っていくので、引き続き参加して貰うのがいい。


そのシャーロットについては、ホールストン家への先入観で萎縮していた教師達も、思いのほか性格が良かったことと、クラスに馴染んでいること、それと伽里奈がしっかりとサポートしてくれている事もあって、授業進行のペースも各教師で戻りつつある。


 そして今はVRゴーグルを使っての、幻想獣対策の授業。


 これは殆どゲームなので、生徒達も楽しみにしている授業だ。数人でチームになって、一つのミッションをクリアするものだから、つまらないはずがない。


 この授業はでは、皆同じスペックのキャラクターに、必要な装備を自由に持たせてプレイする。


 将来の幻想獣との戦いに慣れておく為のカリキュラムなので、現時点での本人の性能は関係ない。


 だからシャーロットも普通に参加している数少ない授業だ。


元冒険者の伽里奈(アリシア)にとっては、あまりにもフィクションすぎてつまらない授業だけれど、魔法学院に持って帰りたいシステムなので、最近は密かに研究中だ。


「いつも楽しそうだなー」


画面切り替えで、各生徒のプレイ状況を見ることは出来けれど、VRゴーグルを被って両手にコントローラーを手にして、ゲーミングチェアに座っている生徒達を見ているのは中々面白い。


 やってることは一人称視点のシューティングゲームなので、腕をブンブン振って周りに指示を出して、とても楽しそうだ。


「ゲームですけど、魔法もバンバン撃てますからねえ」


 そこはリアリティー要素を入れて、魔法を撃つには決められた時間がかかったり、その間の行動が制限されるといった多少の人間的設定は含まれているけれど、魔法の回数は無制限だ。


本人達のリアルにこだわってしまうと、ただ逃げ回るだけになってしまうので、そこは仕方ないかもしれない。


でもそれではいけないので、次に控えている魔法実習授業では、かねてより考えていた施策を行おうと思う。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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