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飛行船がやって来た -4-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「お、動いたぜ」


 モートレルに帰るなり、吉祥院の指示ですぐさま発信器の改良に取りかかった。


 出来上がった改良型の発信装置は無事に定位置に設置しされ、探知設備に再び魔力を流すと、騎士団に備え付けられている表示板に光りが灯り、アリシアの小型探知機に比べても広い範囲の探知が始まった。


「やっぱり全然違うねー…」


 これでもうお役御免となる小型探知機を手にして、伽里奈はまあお疲れ様と、ついた埃を払った。


「アーちゃん、その大きさでこの設備と探知半径が半分なら充分おかしい代物だと思うゾ」

「モートレルからすると代用品なんて考えられないんだから、ちゃんと役には立ってるわよ」

「お前、それがなかったら大学襲撃事件はもうちょっと被害が増えてるんだぜ」

「霞沙羅、襲撃事件でとは何の話かな?」

「あれの地球版があって事件の前から小樽校に置いてあるんだよ。ネット経由の探知報告はタイムラグがあるだろ? それで早めに動けたんだよ」

「とにかくこの探知機は飛行船に積んで帰ろウ。移動しながらの運用でも使えるかどうか検証しよう。アーちゃん、使い方をおしえてくレ」


 探知装置の方はアリシア達に言われたとおり、確かに壊れる前に比べると探知範囲が安定している。


 ヒルダも「なんか違うわね」と思っているくらいには明らかだ。


 ルビィの旦那さんも今回の件は良い勉強になったと言っていた。


 後は、こちらに滞在している間に稼働状況の確認をするだけだ。


「じゃあアーちゃん、夕食の料理をお願いするわよ」

「はーい」


 さっきも中身を確認しに行ったけれど、あの冷蔵箱も想定通りちゃんと動いていて良かった。


  * * *


 吉祥院があの小型探知機の地球版に興味を持ったので、設計図をプリントアウトして渡してから、もう一度ヒルダの屋敷に帰ってきた。


 飛行船の乗員含め、今回やって来た人達を客人として、歓迎会的な夕食を行うので、買ってきた魚介をまた料理して出した。


 パエリアは準備不足で出来なかったけれど、魚介系のリゾットを作ったらまた、バリエーション違いという事でレイナードが感激していた。


「このブイヤベースってすごいわね」


 魚介たっぷりのスープはさすがにこのモートレルでは食べる事は出来ない。


 モートレル在住組は、まだまだ稀な海鮮料理を今のうちにと楽しむ事が出来た。


 そして食後にアリシアとヒルダとルビィの3人が集まった。


「そろそろ7人で食事会をしたいわね。勿論アーちゃんが料理を作って」


 ただのミルクティーだと思って飲んだロイヤルミルクティーがとてもよかった。


「システィーも何か作りたいみたいだけど」


 やどりぎ館からアリシアとシスティーの2人がいなくなってしまうので、少し遅めの時間の昼食にするしかないけれど、やっぱり一度くらい、久しぶりに全員揃って食事をしたいと思う。


「料理は館で作って、持っていけばいいかなー」


 参加者は7人だし、その方がいいような気がする。ヒルダへは後日別途教えればいいし。


「そういえば、ギランドルに行ったんだけど」

「ギャバン教の信者でもないのになんでダ?」

「顔が利くからって、ランセル将軍がアンナマリーを鎮魂の儀に参加させてくれっていうから、その挨拶で」

「当日は私も便乗して行くのよ」

「まあ、ギャバン教だしナ」


 鎮魂の儀は宗派は違っていても、各国の王や貴族などは外せない儀式だ。


 代々のフラム王家も、神殿がラスタルにあるので、本人が出席しないまでも、王宮からは必ず誰かを派遣している。


 それに近年は魔女戦争もあったから、その時に命を落とした戦士達を弔うという行為は、宗派を超えて広がっている。


「なんか、真実が言えないのが心苦しいんだけど。人には人の事情があるから」


 神々の怒りを買って、その罰としての戦いで死んでいって、ギャバン神の元でゆっくりして下さいとか、真実を知っているアリシア達から見ると、とても微妙な感覚を覚える。


 だから神々を怒らせても、それでも世界が続いているというだけでも儲けものだと思うしかない。


「それはそれとして、話の続きハ?」

「なんか王都と聖都の間の道で魔物の出演が増えるって、プリシラ王女まで出てきてたよ。戦神さんの聖都だから、儀式の前にはカタをつけるとは思うけどねー」

「今日の件と、セネルムント近くの件と、ギランドルの件が繋がっているとか、言いたい感じカ?」

「考えすぎかなあ」


 やっぱりルビィも魔物の件は知っているようだ。


「セネルムントの件て何?」

「あそこから2日くらい行った所の街道で魔物の、ゴブリンと聞いたけど、出現が多発しているようなんダ。それで王都からも討伐隊が行くことになっていル」

「あらあら大変ねえ」

「セネルムントの冒険者ギルドにもそれ関係の依頼が多かったなー」

「アーちゃんは冒険者ギルドが好きだナ」

「霞沙羅先生が連れて行けって言うから、今回はそれだけだよー」

「今日の件は一応学院と王宮には伝えておくから、アーちゃんはプリシラ王女にでも伝えておいたらどうダ? ザクスンの魔法学院でもいいが」

「そうだねー」

「折角探知設備が動いたわけだけど、しばらくは私も警戒しておくわ」


今回の相手はモートレルでも充分対処出来るレベルなので、アリシアの出番はないだろう。


読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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