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霞沙羅 ラスタルを満喫する -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「この前は緊急で無理矢理入り込んだが、国王の住んでいる城に入るとか、中々緊張するな」


 今回も相変わらずルビィと待ち合わせをしている城の中庭に転移した。今日のカサラはなぜか軍の制服で来ている。


「霞沙羅さんて格好いいよな」


 ついでにモートレル占拠事件の功労者であるエリアスとフィーネへワインが贈られるという事で、代理でアンナマリーが付いて来ている。


 それにしても黒に近い紺色のスーツ姿の、凜とした雰囲気のある霞沙羅はアンナマリーが言うようにとても格好いい。


 功労者といえば、噴火対策で最も活躍したシスティーについては、一応アシルステラの存在という事で、報酬が出る。これはアリシアが代理で受け取ることになっている。


 星雫の剣がお金を貰ってどうするのかという所もあるけれど、食材を買ったりは出来るだろうから、全く意味が無いわけではないかもしれない。


 そしてやって来た3人は、待っていたルビィ達に案内されて、謁見の間にやって来た。


この前と雰囲気の違う霞沙羅に、マーロン達もちょっと驚いていたけれど、早速大臣から噴火の顛末が語られた。


 霞沙羅の予想通りに、山体にある森が半分以上燃えてしまったけれど、システィーが刈り取った部分から先に火が行くことは無く、街道側に延焼することは無かった。


 そして火山も沈静化したことから、アークドラゴンは空高く飛び立っていき、それを境に街道は開放された。


 それから、霞沙羅の提言とは関係ないけれど、伐採した木材を使って、町の日常的な修繕が出来たり、船の建造にも回せたりといいことがあったと報告した。


 船、という言い方をしたのは、霞沙羅に飛行船という説明をしても解りにくいからだろう。


「此度のシンジョウカサラ殿の働きには大変感謝したい」

「災害対策のアイデア出しだけでしたが、お役に立てて光栄です」

「カサラ殿は軍人、それも多くの部下を束ねる地位にある方だと聞いている。歴史や地形を把握し、アリシアの持つシスティーの有効性を理解し、的確な計画を立てたその手腕による結果かと思う。被害も最小限に抑えられ、現在ではもう街道の往来は元に戻った。想定外の木材も手に入り、こちらの計画も前倒しに出来たなど、是非とも王宮に迎え入れたい程である」

「中々に有り難いお言葉にございます」

「しかし異世界の方、それは叶わぬのであれば、せめてもの褒賞を送りたい」


 マーロン国王が側にいた大臣に左手を挙げると、大臣は箱が乗せられたトレイを持って霞沙羅の所にやって来た。


「我が国の誇る6人の英雄へ、魔術師として助力をしていただいているとのこと。これはその研究に役立てて欲しい。また、何度か魔法学院へ足を運んでいるとのこと。その指輪は我が王家が国外の恩人に対しこのラスタル周辺の通行を認める物。それを身につけていれば、王家の客人として身分を保障しよう」


 これで霞沙羅がラスタルだけでなく、国王の領地を自由に歩けるし、ヒルダやハルキスはともかく、各領主も王家に親交がある者として扱わなければならない品だ。


 すごい物を貰ったもんだとアリシアもアンナマリーも驚いた。


 恐らく事前にタウからも霞沙羅の事を色々と聞いているだろうから、あの王者の錫杖などの情報を提供したことも大きいのだろう。ここへ来て、その功績を一気に評価されたものと思われる。


「左様ですか。本日はこれより学院に出向くことになっておりますので、早速つけさせていただきます」


 宝石の入った箱を手に取り、右手人差し指に指輪をはめた。


「これからもカサラ殿の知識を拝借したいものである」

「私の方も学院には一つお願いをしておりますので、私どもの魔術師協会を代表して、引き続きご助力を賜れればと思います」


 その言葉にマーロンは大きく頷くと、引き続いてシスティーやアリシアへの表彰を続けた。


  * * *


「これはそんなにすごいのか?」


 宝石については霞沙羅の予定よりも多めであったので、これを使ってヒルダとルビィ向けの制御装置が完成するぞ、といった物だった。


 問題なのはこの指輪。話は聞いたが実際にどんな価値があるのか。


「王家の客人の保証ですからね。例えば霞沙羅さんは町と外の出入りをしていませんけど、町の部外者だと通行税取られますから、それを無視できます」

「多分無いとは思いますけど、町の中で貴族に何か止められたりした時も有効です。怪しいと因縁をつけられて、警備の兵とか役人等に止められる事も無いでしょう。多少理由は聞かれるかもしれませんが」

「学院でも、貴族風を吹かせている学生も黙るしかないですねー」


 まあ学院内なら理由も無い揉め事になっても、タウを初めとした上位の人間に顔を覚えられているので、すぐ止められるだろうけれど。


「ラスタルでは破格の待遇です。こっちに来る時は忘れずに身につけて下さいね」

「そうか」


 功績もあるだろうし、魔法学院関係者からの好意的なヒアリング結果を反映されて、霞沙羅は変な事をやらないだろうと判断されて指輪を贈られたと思われるけれど、これはこれで責任重大だ。


 そしてシスティーにはお金が、エリアスとフィーネにはモートレル占拠事件への御礼に王が選んだワインを貰い、宝石を含めて一旦エリアスに持って帰って貰った。


「アンナマリーはまた実家に送ればいいの?」

「私が魔法学院に行ってもやることはないし、甥が会いたいと言っているらしいから」


 父親である上の兄の妹なので、立場的には叔母になってしまうけれど、家の中では姉として接してきた。


 現在のエバンス家の屋敷には4歳と0歳の甥がいて、この4歳の方が優しいお姉様に会いたいそうなのだ。


「お父様がこれから一旦屋敷に帰るから、馬車に乗せて貰うから大丈夫だ」

「じゃあ学院での用が終わったら、お屋敷に迎えに行くねー」


アンナマリーは父のいる執務室に向かい、アリシアと霞沙羅はタウと一緒に魔法学院に向かうことにした。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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