普通がいちばん
「はあ、疲れた。帰りたい。」
「おい雄星。まだ1時間目も始まってないぞ。流石に昼ぐらいまでは頑張ってくれよ。」
「まあ、そうだな。流石に高校は卒業しといた方がいいし、頑張るか。にしても、諒太までこの学校に来なくてもよかったのに。」
「まあ、それはそうなんだけど。向こうだと周りの目を気にして学校に通わないとだから、俺には合わないんだよ。」
「そりゃそうだが。まあ、俺も人のこと言えないけどさ。…おっ、そろそろHR始まる時間だぞ。」
「じゃあ、また後でな。」
そうして諒太は自分のクラスに戻って行った。
そして時間は飛び放課後になった。俺は学校から出ると都心の一等地に立つオフィスビルに来ていた。エレベーターで目的の階まで行きロックのかかっている扉を首から下げている『社員証』で解錠して入る。そして一際しっかりと作られた扉を開けて入る。
「なんで学校ある日に呼んだんだよ。流石にラフな格好すぎて周りの目が辛いんだけど。」
「いや、俺としても急ぎのようだったもんでな。許してくれよ。にしても、本当にラフな格好だな。」
「仕方ないだろ。私服OKの学校なんてこんなもんだよ。…昨日のうちに言ってくれればスーツ着て来たよ。まあそれより、要件は?」
「おっとそうだった。また寺島興業から依頼が来てるんだよ。詳細いつも通り共有フォルダに入れてあるから確認してくれ。」
「それだけか?わざわざここに呼ぶほどのことじゃないだろ。」
「まあな。家のPCに身に覚えのないアクセスがあった。」
「マジか。あのセキュリティ破るか。結構硬くしたんだけどな。となるとここの方も近々来るかもか。」
「そういうこと。で、ちょっと改良してくんねぇか?」
「まあ、いいけど。ただ、学校の方に影響がないようにやるから、ある程度時間かかるぞ。正直親父が自分で作った方が早いぞ。」
「うーん、そうだよな。めんどいけどやるか〜。」
「んじゃ、そういう事で。帰るからな。」
「…俺が言えた事じゃないが、たまには帰ってこいよ。一樹達も心配してるぞ。」
「…まあ、正月は帰るよ。てか、親父こそ帰れてるのか?」
「雄星がいた頃よりわな。雄星が加わってくれたおかげでな。ああ、そういや一樹が大学卒業したらうちに入ってくれるって言われた。お前としては嬉しい報告だな。」
「まあ、目立ちたくないし。それに俺に経営は無理だよ。営業も。そんなコミュ力ないよ。」
「そうは言っても、クライアントからの評価はいいぞ。困った事があって相談したら親身になって聞いてくれて、しっかりと対応したくてと。一樹と雄星が居れば、俺は安心して引退できるな。」
「いや、カズが卒業するまであと2年はかかるし、その後親父の近くで少なくとも2年は勉強しなきゃでしょ。そう考えると短くても5年以上先じゃん。てか、そこまで働きたくないのかよ。」
「そりゃな。正直言って株とかの配当金でもう充分生活には困らないくらいあるしな〜。最悪、雄星に金借りれば良いし。」
「いや、俺じゃなくてカズに言えよ。」
「…大学出たばっかのやつがそんな余裕あると思うのか?雄星はもう貯金額やばあから気兼ねなく貰える。」
「いやそもそもの話、そうなる前に働けよ。にしても、一応ここ社長室なんだからもっとしっかりしてくれ。完全に家の中の調子になってる。ここでくらいちゃんとした社長の姿を見せてくれよ?そんじゃ、帰るわ。」
「おう、またなんかあったら呼ぶからよろしくな。」
えっと、今何時だ?うわ、6時過ぎてるじゃん。昨日の残りのカレーあるし、なんも買わなくて良いな。にしても結構話し込んでたな。帰ったら課題やって作業しますか。
誤字脱字などありましたら教えてください。