揚げちくわ(カレー風味)
俺と先輩は ホテルの部屋の前に居る
明日は共通の仕事があり、先輩が部屋を取ってくれた
坊主2人でツインルーム
ドアを開けると何か部屋がきな臭い
どんよりとした空気
なぜか普通の箱形エアコンが付いていて
スイッチを入れるとかなり久しぶりに電源入ったのよ
という感じのひねた匂いの空気が吐き出される
黄色いセピア色のような部屋の雰囲気
窓からは駅から微妙に遠いショッピングモールが見える
景色は悪くないが
こりゃ何かあって開かずの間だった感じですよね
「どこもいっぱいで奇跡的に予約できた部屋だからな」
坊主2人だから大丈夫だろうと いわくありの開かずの間に通された雰囲気満載
額の裏に御札とか有りそうな雰囲気だがもしあったら嫌なので怖くて見れない
まぁ きっと大丈夫だろう
と 荷物を置いて飲みに繰り出す
居酒屋でやたらと食って飲んで
一時解散
自分の行きつけの店に一年ぶりに顔を出す。
エレベーターを降りるともう店内
ワンフロアー全部がバーなのだ
大きなホールの真ん中に楕円形のカウンターが有り
カウンターの中に蝶ネクタイの男女のバーテン達が待機している
カラオケもあって中々賑やかな店なのだ
ん?
ちょっと気がついたが
そのまま席に着く
生
と注文
生ビールが運ばれてきて
グビリ
ところでさー 社長お亡くなりになった?
「ハイ」
やっぱり
厨房のおばちゃんも亡くなってない?
「えっ 何でわかったんですか?」
そこの柱の脇に立ってるよ
「イヤー 怖いからやめてくださいよ、悪い冗談ですよ」
あーそうそう 冗談です ごめんなさい 他の店で聞きました
と言うことにしておこう
「社長は癌で、おばちゃんは厨房で調理中倒れて救急車に運ばれたんですがそのまま意識は戻らず亡くなりました。」
そうか大変だったね、でも店たたんでなくて良かったよ
「社長の息子が店を続けてくれました、横浜の店は閉めましたけどね
チーフが今厨房で頑張ってますよ」
そっか
バーテンが他の客と話している隙に
振り向いて柱の脇で腕を組んでみんなの働き具合を観察している社長と
隣でエプロン姿でたたずんでるおばちゃんに向かって
乾杯
じゃなくて
献杯
まぁ おばちゃんの代わりにチーフが作った揚げちくわも
おばちゃんの味だったよ ちゃんと監督が行き届いてます。
それから先輩の飲んでる店に行って高いボトルを頂いて
例の部屋で泥酔のまま寝た
さすがに幽霊が出ても気がつかないよ(笑)
翌朝
二日酔い気味の頭で起きて
仕事をこなした
後日 カンゴに泊まった部屋の話をする
「そのホテルってもしかして○○ホテル?」
そうそう 何かあるの?
聞いた話を要約すると
話はそのホテルの近くに撮影所があった頃にさかのぼる
けっこう有名な俳優さんが撮影があるとそのホテルの一室を借りて泊まっていた。
その部屋ではいつも女性が先にチェックインしていて、彼の仕事が終わって歩いて帰ってくる姿を
撮影所の見えるその部屋から眺めながら待わびていて
その部屋で男女の逢瀬を重ねていた
だがしかし
撮影所が閉鎖となりその俳優は撮影もないのでやってこない
撮影がなくても会いに来るという事は無かった
捨てられたと感じた彼女はいつものその部屋で、自らその生涯を閉じた
という悲しいお話
撮影所跡は今はショッピングモール
絶対あの部屋じゃん
そういえば丁度良さそうな 梁が部屋にあったような。。。
泊まったときは大丈夫だったが
話を聞いたら
鳥肌立った。。。
恐っ