視線
ヤツはこの山に突然と踏み込んできた
異様な殺気を感じる
見つかったら、やられる、そう確信させる何かがヤツには有った。
物陰からこわごわとヤツを観察する
ヤツはふと目を閉じて物静かに新呼吸をすると
ふとこちらに振り向き一目散に向かってくる
見つかったそう思った瞬間目が合った
あぁぁぁぁ もうダメだ
そう思った瞬間、ヤツは鍬をふるった
ぐさり
私の体は切り裂かれた。。。。。。
まぁ タケノコを擬人化させたらそんな感じだろうか
今自分は竹藪にいる
初堀のタケノコを仏様にお供えするためなのだが
どうも今年は余り出てない。 見回した感じではタケノコは目につかない
目を閉じて竹藪中に神経を張りめぐらせる
ん?いた?
視線のような感覚を覚え、視線の方向に歩き出す
ちょっとだけ顔を出したタケノコを発見
「いやこれちょっと美味そう過ぎだろ」
これは仏様より人様、いや俺様の口に入った方が良いくらい美味そうなタケノコだ。
本堂でしおらせてしまうのはもったいない
軽く竹藪一体の気配を探る
ん 奥か。。。
そう言って 感じた視線に一目散に向かっていき
本堂に置いておいても良いくらいのサイズと形のタケノコを掘り当てる
30年もこんなことを毎年やっているとタケノコの視線のような気配がわかるようになる
まぁ外れることも多々あるのだが大体は見つけることができる
見つけたときはなんか
タケノコと目が合った感覚なのだ
まぁ取りあえず2本ともお供えして 1本を仏前に残して美味そうな方を速攻で茹でて
次の日の朝には美味しいタケノコご飯をいただけたのだった。
ごちそうさまでした。