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草僧日記  作者: 乱義
14/17

17体

電話が鳴る

「あーもしもし」

「いつもお世話になります、お坊さん派遣センターですがお仕事入りましてお願いできませんか?」

「予定が空いていれば良いよ」

「除霊なんですが何でも肩に17体の悪霊が憑いてるらしいんです」

「は?」


この電話主、最初は同宗派の法事をお願いしてきて、同宗派なら良いよと引き受けたら

そのうち

依頼書類の宗派欄が「なし」とか言うのも依頼してきて

まぁ 寝てても金にならないので引き受けていたら

「お部屋供養が・・・」とかで


それこそ孤独死のリフォーム前の現場とか、人間の姿のシミのある床に向かって読経したり


まぁだんだん扱いが僧侶から拝み屋になってきたのだが、まぁそういう場合も故人から選ばれた

のなら仕方ないと言うわけで引き受けていた。


除霊の仕事も以前にもあったのだが


だいたいそう言うときはそこの霊には選ばれなかったらしくキャンセルの電話がかかってくるのが

普通だったのだが


まぁ悪霊ならキャンセルになるし、そうじゃなくて必要ならお経を読みに行くことになるだろうなぁ

最悪肩に乗せて連れて帰って本堂でやり直すか


と 時間も空いてるし近所だったので引き受けることにした


「除霊とは違い諸精霊の供養のお経を読むだけで効果は知らんよ」

という条件付きで


行き先の住所で検索、6階建ての団地なのだが地図を見てみる



ん?何か引っかかる


航空写真モードで確認


あーなんか通り道っぽいなぁ、何の根拠も無い話だが


周りの土地にちょっと霊気の強そうな場所がありそこから色々流れが頭に浮かぶ


そして建物の形がインベーダーゲームの砲台のような形で出っ張りがある


もしこの出っ張りの部分に住んでたとしたら何かが干渉しそうだなぁ


と意味不明の持論が湧き出る


これもキャンセル案件かも知れないかなぁ

電話を待ちわびるが


でもキャンセルにならず


当日、実に気が乗らないが


一式持って行く


取りあえず外から現場検証


うーん あの出っ張りに住んでるとしたらビンゴだなぁ


エレベータで上がり部屋番号を確認


ビンゴ


だがしかし表札に名前は無い。。。。


ベルを鳴らすと中から人が。。。


あっ 片手が無い


まぁそこには触れずにっと


お部屋に入って準備をする


部屋自身からはそれほど強い何かは感じないが

まるっきり無いわけでも無い

やっぱり何か干渉してる感じの弱い頭痛のような物を感じる


そういう物が溜まって無くて通り過ぎてるのかなそれでも良くはない


本人も霊を気にしてか机の上で水晶が皿の上に並んでたりする


結構パンク系のダークな服がぶら下がってる

スカル。。が一杯じゃん

それで霊怖いって。。。。。


まぁそんなことはおいといて


水晶の間に線香を立てて皿を借りて灰が水晶の中に落ちないように工夫

部屋全体を清めて


お経を読む


先ずは本人の守りの力を増やすためにご先祖供養

そして諸精霊供養。。。。


そんな感じでお経を終えて線香をかたづける


もう何も感じない


本人が少し精神的に弱ってるのはわかったが霊という感じでは無い


まぁ霊がついてるいると言ったヤツが一番の危険なヤツだったのかなぁ


「この手は事故で失ってしまったのですがこれも霊の仕業でしょうか?」


んー そこまで凶悪な霊だったらキャンセルの電話かかってきてるから

自分が来たと言うことで最悪でも供養を望んでいる。

そういう霊はそこまで危害は加えないんじゃ無いかなぁ

 と頭の中だけで考える


「いや事故は霊が起こしたのでは無く運が悪かったとしか言えないです」


まぁ きちんとご先祖供養などして真面目に生きていれば、それでも守護されて

間一髪で何とかなったかもしれない、それか命を無くすほどの事故をなんとか守護されて

腕1本で済んだのかもしれない。


心残りなのはここの場所が今一よろしくない 高さもちょっとよろしくないのだが


もっと服の趣味を明るくして引っ越した方が良いよ

と無責任な干渉は最近は頭を遮る声も無いほぼ霊感0の自分にはできない。


まぁお布施の分け前分のお経の仕事はした。


そう思いながら

取りあえずは任務完了


カンゴ曰く

「17体も見えるような人はちゃんと除霊できるはず、出来ないのは、幻覚見ちゃうような人だったんじゃ無いかな」

とのこと


まぁ自分も気持ち肩が重くなった気はしたが17体は居ないだろうという感じで帰って

本堂で読経


それからだが

任務のレパートリーに除霊が入ってしまったようだ。。。

そっち系の依頼電話が増えた。。。


頭の声を無視しても結局電話の声が拝み屋をやらせる。

断るのは簡単だが

こういう事も縁で

故人に頼まれてると思うと無碍には断れない。。。


よなぁ





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