巫女
彼女は
占いを生業にしているが、自分のことは巫女だと言った
とある 聖山の龍神池の龍神の巫女だと
因みにもっと偉い龍神の使いの方は背中に龍を背負った道を極めた方で
聖山付近の平和を守っているとか。。。
うーむ 理解の範囲外
SNSで坊さんと言うことでメッセージで声をかけられたんだと思う
今にして思い起こすとそれこそ占いで選ばれたのかもしれない
そう 彼女は話のわかりそうな寺の住職を探していたのだ
白羽の矢は 俺に刺さった
チャットでの文字でのふれあい
「聞いていただきたいお話があるのですが」
そう こんな話だった
とある街道沿いの石屋さんの前に
商品の観音様の石像がある
石屋さんの商品で、
坊さんが開眼のお経も読んでないと思われるが
その道を往き来するお年寄りや通行人が
みんな手を合わせるので
既にその観音像は商品ではなく仏であった。
彼女はその横を通ったとき観音像の足下の少女と目が合った
目で見えない少女と
その後、少女は彼女の夢に時々登場する
甘い物がとっても好きらしい
甘い物を食べてちょっと2人で遊んで
でも最後に寂しそうな顔をして消える
そんな夢
彼女は夢の中でか、それとも占いで導き出したのか
少女の名前を
木村イネ
と 知った
もし少女が助けを求めているなら
少女の菩提を弔いたい そう願った
観音像の足下にすがった少女を救うのは
巫女の領域では無く仏の領域
自分は観音像の風景や痩せた小さな少女を想像しながらメッセージを読み終えた
「名前も分かっているなら、丁度来月わが寺の御施餓鬼でお坊さん大勢来るからそこで寺の檀家供養の続きで彼女も供養しましょう」
タイミング的にも俺で良かったって感じ
白木の位牌に 木村イネ そう書いた
戒名を付けることも考えたが宗派の色を付けない方が良い
そう頭が判断した。
15人の僧侶がお経を唱える中、自分は各檀家の先祖代々の供養を読み続け
最後に木村イネ霊位菩提供養を読み上げる。
そうそう 巫女の彼女もその場に来ていた
彼女は水の中にいるような、そんな雰囲気だった、ジメジメという感じではない
彼女と彼女の周りがずっとしっとりと濡れている感覚なのだ
水のオーラに包まれた美女
龍神の巫女は本当に龍神の巫女だった。
そう 確信したよ
そして数日後だったか、一人の少女が自分の夢の中をただ走り抜けた
起きたとき、覚えてるのはその一瞬だけだった。
そんな巫女さんは数年後、結婚して娘さんを授かった
その話を聞いたら、勝手に何か納得した自分がいた。