表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

膨らむみたい

作者: タマネギ

頭から水を被った

ように滴っていた。

あごからの水滴が、

命を濡らしていた。


タマネギに肥料を

与えた帰り道、

止んでいたはずの

雨に降られた。


雨の合間なら、

土の中に肥料が

染み込み易い。

今だ、と慌てた。


少しくらいなら

大丈夫だろうと、

傘を持たずに行った。

雨にも都合があった。


哀れな思考回路。

このまま錆びて

しまいそうだった。

途中の神社によった。


社の軒先で、

神様の作った雨粒を

しばらく観ていた。

幸いタオルがあった。


あごからの水滴は

止まってくれた。

濡れた服は

どうしょうもない。


風邪ひきまっせ。

社から声が聞こえた。

えっと、振り返ると、

奥に神主さんがいた。


それから、庫裏に

入れてもらった。

ドライヤーと

バスタオルまで。


親切に触れて、

恐れ多かった。

この昨今、とくに

神様にも感じた。


神主さんは朗らかに、

よう降りますですと。

こちらからは、

タマネギの話をした。


よう降りますね。

春の雨を吸い込んで、

今から膨らみます。

命が膨らむみたいと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ