ある冬の日の日常
クリスマス短編第一弾です!作者の気分が乗れば毎年やるかもです。
「あぁ、寒い!!」
「雪里うるさい」
「だって寒くね?! 世界が殺しに来てるって!」
「んなわけねーだろ」
「寒がりの俺には耐えられない!」
「北海道に輸送してやろうか?」
「やめろ……お前は俺を殺したいのか?」
「骨は拾ってやる」
「死ぬ前提かよ!」
寒がりな俺、銀花雪里は朝から震えていた。え、まじ寒くね?! 死ぬって!
隣で震えてる俺に辛辣な発言をしているのが、幼馴染みの腐れ縁、白影黒輝だ。背も高く、頭も良くて、運動神経抜群。まさに非の打ち所が無いとはこのことだ。
「崖から落ちて死ねばいいのに……」
「聞こえてるぞ雪里」
「ナ、ナンノコトカナ」
「宿題のノート見せねーぞ」
「すんませんした!!」
「崇め奉り給え」
「ははぁ〜」
「朝から漫才見せつけんじゃないわよ」
「あ、火鱗」
「ん、おはよ」
「寒くない?」
「ん〜そこそこ?」
「お前もか!!」
「何がよ?!」
「お前も俺を蔑むのか!」
「そこまで言ってないわよ!」
「裏切り者め〜」
「お、やるつもり?」
「夫婦漫才やめろよ〜」
「「うるさい黒輝!」」
「そーいうとこだよ」
こいつは俺と黒輝の幼馴染みの不知火火鱗だ。明るくで誰とでも分け隔てなく会話できるし、ノリもいいから多くの人に好かれている。
「にしてもそろそろクリスマスね〜」
「イルミネーションが至るところにあるよな」
「リア充の哀れみの視線を感じる……」
「アホか」
「アホね」
「やめろ! オレの心を抉るな!」
「しらん」
「黒輝〜〜!」
「あ、そろそろ急ぎださないと遅刻するわよ」
「確かにそうだな。 雪里急ぐぞ」
「ま、まだ心の傷が癒えてないんだが」
「あ“?」
「たった今、完治したであります!」
「よろしい」
「ほら、本当に急ぐわよ!」
俺たちは学校に向けて小走りで向かい出した。
「到☆着!」
「うるせぇ」
「いってぇ! グーはないだろグーは!」
「しらん」
「いって! 二度もぶったな! 親父にもぶたれたことないのに!」
「嘘つくんじゃねーよ」
「ちっ、ノリ悪いな」
「ほらふたりとも、教室に向うわよ」
「そうだな」
俺たちは上靴に履き替えて、三階にあるクラスに向かった。あ〜、マジ廊下寒い。あ! 黒輝のやつ、今足蹴ったな?!
「おはよー!」
「はよ中入れアホ」
「うわっ! 押すなよ!」
「押してない。 蹴った」
「もっと駄目だろ!」
「アーキコエナイキコエナイ」
「ぐぬぬ……」
「朝から漫才か? 雪里、黒輝」
「辞めろ、こいつと一緒はなんか負けた気分になる」
「おい!」
「わりぃわりぃw」
「謝んなよ! 龍!」
こいつは東堂龍一。まさに運動部といったような奴だ。勉強はそこそこだが、運動神経がとにかくすごい。この前の体育の時なんて、サッカー部のスタメン相手にハットトリック決めていた。抜かれたサッカー部のやつがかわいそうになるぐらい綺麗に抜いていた。ちなみにあの後サッカー部に滅茶苦茶迫られているみたいで、げんなりしている様子を多々見かける。
「毎日毎日、よく飽きないよな。 お前ら」
「これが楽しんでいるように見えるのか? 龍」
「え、違うの?」
「よし、今からお前の名前書いた入部届をサッカー部に出してきてやる」
「ご、ごめんて!」
「聞こえないな~」
「すんませんした!」
「よろしい」
「俺たちのやり取りってはたから見ると、あんな感じなんだな……」
「何ならもっと幼いわよ?」
「え?! マジ?」
「大マジ」
「いや、あんたらの夫婦漫才も大概でしょ」
「「夫婦じゃない!」」
「息ぴったりに祝えても説得力ないわよ」
こいつは女子バスケ部の大森月音だ。一年生ながらスタメンとして活躍し、つい最近女子バスケ部は都大会に出場し、見事優勝していた。そして俺より背が高い。俺も高校生一年生男子の平均身長レベルはあるはずなんだけどな……遺伝か? やっぱり遺伝子なのか?!
「あ! そうだ黒輝、ノート!」
「今龍が使ってる」
「りゅ~~う~~!」
「わりぃな!」
「どうしよう……そうだ! 火鱗ノート見せて!」
「別にいいけど……タダで見せるわけにはいかないわね」
「うぐっ……じょ、条件は?」
「そうね~駅の近くにできた新しいスイーツ店のスイーツ奢りね」
「またスイーツ?!」
「いやなら別にいいのよ?」
「わ、分かった……」
「やった! じゃあ今日の放課後ね」
「ぐっ……了解」
その後、俺は急いでノートを書き写したが、なぜかいつもより早めに先生が来て、ホームルームが始まった。おかげでノートを写しきれませんでしたよ! 畜生……。
「畜生、いつもよりなんで早く来るんだよ……」
「自業自得だろ」
「自業自得ね」
「分かってる……わかってはいるが納得できない!」
「雪里」
「ん?」
「ざまぁw」
「うっざ!」
「ほら二人ともじゃれてないでお弁当食べるわよ」
「そうだな」
「はーい」
「さすがお母さん火鱗ね」
「もう! 辞めてって言ってるでしょ。 月音ったら!」
「お母さんは弁当出さないの?」
「せ~つ~り~?」
「ひっ!」
「なんか言った?」
「い、いえなんでもございません!」
「黒輝、あいつこわいな」
「そうだな」
「まさに鬼嫁『なんかいった?』何でもないです!」
「てかさ、毎回思うんだけど」
「ん? どうしたの、大森さん?」
「本当に雪里君のお弁当っておいしそうよね」
「そう?」
「うん」
「こいつ料理だけはぴか一だからな」
「もはや才能全部料理につぎ込んだんじゃないの?」
「悪かったな!」
「お父さんが料理人だっけ?」
「そうだよ。 だから自然と料理が作れるようになっただけ」
「いーな」
「よければ明日大森さんの分も作ってこようか?」
「え、いいの?」
「まぁ、一個も二個も大して変わらないし」
「やった!」
「あ、じゃあ俺にも作ってきてくれよ!」
「うおっ! ビックリした!」
「わりぃ! んで、雪里、俺にも作ってきてくれよ!」
「龍もいるの?」
「おう!」
「分かった。 明日な」
「よっしゃぁ!」
「そんなに喜ぶ?」
「当たり前だろ!」
「雪里君のお弁当はクラスで評判なんだよ?」
「なんで?!」
「調理実習の時じゃね?」
「確かにそれはあるかもね」
「俺も雪里地同じ班になると当たりひいたなって思う」
「もっと褒めてもいいんだぞ?」
「調理はほとんどしなくていいし、うまいもんがタダで食えると考えると最高じゃね?」
「「「たしかに!」」」
「おい!」
「お、次の授業がそろそろ始まるぞ」
「あとで覚えてろよ……」
「さぁね」
「はぁあ?! 相変わらずむかつくな!」
「ほら、雪里も席に戻りなよ」
「あ、あぁ」
そして残り二時間の授業もなんとか終わり、放課後になった。
「ほら、早く行くよ!」
「わかった分かった。 だから引っ張るなって!」
「あそこ人気なんだから!」
「だからまてって!」
「お、デートか?」
「あ、黒輝! 助けてくれぇ!」
「ごめん、無理」
「なんでだぁ!」
「あー、えっと……そう、家に帰らなきゃいけないからだ」
「それって暇だよな?!」
「ほら、いくよ! じゃあみんなばいばーい」
「いたい、痛いってば!」
「嵐が過ぎ去ったみたいね」
「ほんと仲いいよな」
「あいつら……付き合えばいいのに」
「「それな」」
やっぱり、日常って何の変哲もないことが多いけど、それが意外とドラマになってたりしますよね。皆さんも何気ない日常を一度振り返っては見ませんか?