ギルドの受付係~大好きな先輩に脳筋を添えて~
前作ギルドの受付係〜裏方に配置換え希望します〜の続編のようなものです。
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前作では沢山の評価お気に入りありがとうございました
あーあー。本日は晴天なり。本日は晴天なり。
雲一つない快晴がどこまでも広がっている。
ぼんやりと眺めていた空から、ゆっくりと視線を下せば…。
「このバカ!!それはグロリオサだって言ったでしょ!?猛毒!食べたら普通は死ぬの!」
「え~!?これヤマイモじゃないの!?こんなに美味そうなのに!?」
「この前も同じこと言って食べて、アンタお腹壊してのた打ち回ったでしょうが!!」
「え?そうだったっけ?」
「もー!このバカ誰か何とかして!!」
艶やかな赤髪を掻き毟りながら叫ぶネリア先輩と、きょっとーんとした表情の、現在王都ギルド最強の称号を持つグレンさんが、微笑ましいコントを披露中。
いつもは冒険者を華麗にあしらう先輩が、グレンさんに振り回されているのは、何というか新鮮だ。
というか、普通の人間には致死性の毒物を食べても、腹下しで済むグレンさんって、一体何者?
あと、ヤマイモは今回の依頼の対象植物じゃないって突っ込んだ方がいいのかな?
今日は年に2回行われる、ギルド職員の為のフィールド研修という名の、ギルドの資金稼ぎの日だ。
地方のギルドは、職員が元冒険者という事が多い。うちの田舎もそう。
それに対して、王都ギルドの職員の多くは生まれも育ちも王都で、城壁の外を知らない。
それだけ王都が住みやすい環境だという事なんだろうけど、ギルドの職員が外の世界を知らないのは、色々と不都合が生じる。
依頼内容について、依頼者や冒険者からアドバイスを求められることもあるから。
そんなわけで、冒険者の苦労と知識を体験して得ようというお題目の下、年2回ギルドで金になる薬草や鉱石なんかを採集する研修会が行われることになったらしい。
ギルド職員のスキルも上がるし、採取した素材で金も稼げて、ギルドとしては一石二鳥のイベントだ。
ただし、王都の箱入りギルド職員達だけで郊外に出るわけにもいかず、都合のつく冒険者が何人か護衛がてら参加してくれるのが常だ。
今回も60名ほどの職員と10名ほどの冒険者が、いくつかのグループに分かれて方々で薬草集めをしている。
うちは私と、後方事務員をしている兎獣人のリント君と先輩、それに護衛のグレンさんの四人グループ。
グレンさんと先輩のコントをBGMに作業を進めております。
私たちのグループだけ何故人数が少ないのか?については、察してください。
これ以上人数増えたら、先輩が倒れます。
「フィーリルさん手馴れてますね。」
葉の形を確認しながら薬草を摘んでいると、すぐ隣から話しかけられた。
ちょっとびっくりしつつも隣を見ると、リント君がくりくりの赤い目を更に丸くして、私の籠を覗き込んでいた。
兎の獣人は比較的小柄な身長が多く、リント君も私と視線がほとんど変わらない。
穏やかな物腰と、柔らかな口調で話す彼は、数少ないギルドでの友達だ。
「昔薬草集めとかして、小遣いを稼いでいたから。それに今回はポピュラーな薬草集めばかりだし、そんなに難しくないよ。」
この辺りでグロリオサ見つける方が、ずっと困難だと思う。
ちらりと先輩の方を見ると、グレンさんがまた何か見つけたらしく、手に持って振り回している。
…あれ、痺れキノコじゃ?
森の中ならともかく、こんな草原に生えてるもんじゃないよね?
ある意味天才か?
「グレンさんって、なんというかすごいですよね。」
同じようにグレンさんを見ていたリント君が、ぼそりと呟く。
「うん。どこから見つけてきたんだろ。あ。食べた。」
すかさず先輩に後頭部をど突かれて、堪らず吐き出させられたからセーフ。
お腹すいてたのかな。もうすぐお昼ご飯の時間だし。
見上げた太陽は頂点に近い。
いくつかのグループは、すでに木陰で銘々にお弁当を広げている。
私たちもそろそろ…と思った所で、先輩の「ああもう!!」という声が響き渡った。
「フィー!リント!お昼にしましょう!」
「やった!飯!腹減った!!」
「うるさい!何でもかんでも口に入れるんじゃないわよ!バカ!!」
普段は涼やかな眦を吊り上げた先輩が、グレンさんの腰に回し蹴りを入れた。
が、ご飯に目を輝かせているグレンさんには、まったく効いてないようだ。
さすが、最強冒険者。
「僕、今日ここに来るまでは、ネリアさんって優雅で楚々とした女性かと思ってました。」
「あーうん。わかる。私も働き始めた頃はそう思ってた。」
ふふ。と笑ってリント君を見と、リント君もふふと笑っていた。
どうやら考えている事は同じらしい。
「こっちのネリアさんの方が、僕断然好きです。」
「でしょ?私も大好き。」
うふふ~と二人で笑っていると、突然がばっと誰かに抱き着かれた。
ひえ!なに!?
びっくりしてジタバタしても、太い腕はびくともしない。
なになに!?と慌てるリント君の様子からして、彼も同じ目に遭っているらしい。
「なにこれ可愛い!ネリアこれ可愛すぎる!!」
興奮したグレンさんの声がすぐ近くでした直後、先輩の地を這うような低い罵声が聞こえた。
「この変態が!!!脊髄反射で行動するなといつも言ってるでしょ!!いっぺん死んでこい!!!」
ゴン!
「ぐおっ!」
鈍い音と衝撃が伝わってすぐ、太い腕の拘束が緩む。
その隙に犬だけど脱兎の如く、一目散に走って逃げ出し、直ぐにぼすっと柔らかい何かにぶつかった。
「フィー大丈夫?痛いところは?」
どうやら先輩の胸に突っ込んだらしい。
ぷはっと顔を上げると、いつもの優しい先輩がいた。
「大丈夫です。あ、リント君は?」
慌てて周りを捜すと、太い木の枝の傍らで頭を抱えて蹲るグレンさんと、そこからかなり離れた木の影からこっちを見ている涙目のリント君を発見。
うん。気持ちはよくわかる。あと、逃げ足早いね。流石ウサギ。
正座をさせられたグレンさんの前に先輩が木の棒を持って座り、その先輩の隣に私が座って、リント君はまだ微妙に警戒しているのか、私の斜め後ろに座っている。
…もしかして、私盾にされてる?
間近で見たグレンさんは、かなり大きい。
今は正座をして小さくなっているけど、筋肉がしっかりと付いた、見るからに冒険者といった風格が出ている。
柔らかそうな金の髪、キリッとした形の良い眉と切れ長の碧眼、すっと通った鼻梁。黙って真顔でいればかなり格好いい男の人だと思うのに、口を開いた途端に残念になるのはどうしてだろう。
「余りにも可愛い物を見たら、こうぎゅっとしたくなるのは、仕方がないと思わないか?」
「思うだけにしなさいよ。行動するな。動くな息するな心臓止めろ。」
「せ、先輩それやったら死んじゃいます。」
「フィーは優しいのね。でもね。変態は須らく滅べばいい。」
「ご、ごめんなさい。反省します。」
先輩の絶対零度の視線を向けられ、グレンさんは涙目で項垂れた。
この人、本当にギルドトップの冒険者なのかな?
「あ、あの。僕、びっくりしただけだし、あ、あの、もうしないって約束してくれたらその…。」
「もうしない!ぎゅってしない!」
おそるおそるのリント君に、慌てて何度も頷くグレンさん。必死か。
「はぁ…。このバカ、バカだから考える前に行動するけど、バカなだけで悪い奴じゃないから許してやってもらえると嬉しいわ。」
バカと三回も言われたにもかかわらず、グレンさんはウンウンとまだ頷いている。
どうしよう。この人本当に…。
可哀想になってきたのは私だけじゃなかったらしい。
私の隣に出てきたリント君がふふっと笑った。
「グレンさんも噂とは全然違う人ですよね。」
「噂?」
きょとんとした顔のグレンさんが、そのまま先輩の方を見た。
先輩は嫌そうな顔をして、木の棒を後ろの方に放り投げた。
「あんた、曲がりなりにもギルド№1の冒険者でしょ。頭は空っぽでも魔獣と対峙すれば無敵だし。だから尾ひれはひれに、背びれにジャラジャラ飾りまでくっついて色々言われてるのよ。」
「ドラゴンと互角に戦ったとか、魔獣の群れに一人で立ち向かったって聞きました。本当ですか?」
キラキラした目のリント君。草食でもやっぱり冒険には憧れがあるらしい。
まぁそうじゃなきゃギルド職員なんかやらないか。
まぁ私は安定した給料と静かな環境に釣られたんだけれども。
そして職場は静かから程遠い、筋肉ゴリラ園ですけれども!
グレンさんはあ~それな〜と声を漏らした後、ポリポリと頬を掻いた。
「ドラゴンと戦ったっていうか、あいつらと遊んだというか。」
「遊んだ、ですか?」
「ああ。竜の峰の麓を通りかかった時に、知り合いになったドラゴンたちと、手合わせしたんだ。勿論あっちも手加減してたし、戦いなんかじゃない。」
いや、ドラゴンと手合わせなんて十分すごいです。
出逢った瞬間、私気絶する。目が合った瞬間、魂が旅立つ。
知り合いになれる時点で人類超越してると思う。
「魔獣の群れってのは、なんだ。まあ、テンション爆上がりで気が付いたら突っ込んでた。」
「あんたが嬉々として突っ込んだせいで、自分たちの出番がなかったってルージェントが言ってたわよ。魔獣の群れ見て興奮して飛び込むバカなんて、あんたくらいのものよ。」
「あの時はルジェにしこたまボコられた。もうしない。多分。」
つい先日聞いたばかりの名前に、耳がピンと伸びた。
ルージェントさんってあの人?グレンさんとルージェントさんは知り合い?
そわそわしたのが伝わってしまったのか、グレンさんが不思議そうな顔で私を見た。
「うん?なに?」
「あ、あの、ルージェントさんって…。」
「俺の幼馴染だよ。あいつもSランク冒険者やってて、結構一緒につるんでるんだ。」
「私とこれとルージェントは腐れ縁ってやつで、子供の頃からの付き合いなのよ。」
なるほど!だからネリア先輩はグレンさんの扱いに慣れてらっしゃるのか。
ルージェントさんと先輩が、仲良さそうだったのも納得した。
そうかーSランク冒険者の一人だったのかー。どおりで強そうだと思った。
Sランク冒険者は、ギルドマスター自らが受注を仕切ってるから滅多にお目にかかる事はない。
そう考えれば、あの日助けてもらったのって、相当な幸運だったんじゃないかな。
ぼんやりと考えていると、グレンさんがじっと私の方を見てうーんと唸った。
「あー、フィーリルっていったっけ?ルジェの事知ってんの?俺とは今日が初めましてだよね?」
「あ、はい。この前困っている所を助けてもらいました。」
先日の出来事を簡単に説明すると、グレンさんはポン!と手を叩いた。
「………ああ!!そういや、ギルドで獣人の小さな女の子が受付してるとかなんとかそんな話をあいつしてたな!!フィーリルの事だったのか!」
小さな女の子…やっぱりか。
ぶふっ!と先輩が噴出した。
「あいつ、やっぱりフィーの事子供だと思ってたのね!!」
「え?違うのか?」
ナチュラルに聞き返さないでください。
リント君も怪訝そうな顔をしないで。
「20歳です。」
「え?」
「なんて?」
ポカーンとする二人。
ええ。皆さんそういう顔をよくされます。
私の年齢聞いて驚かなかったのは、先輩くらいのものですよ。
「ですから、20歳です。先に言っておきますが、背伸びしてる訳でも歳を誤魔化しているわけでもないですからね。正真正銘の20歳です。」
「…僕より、上?」
「マジか。俺、14歳くらいだと思った。」
じゅうよんさいって…。
そんなに子供に見えてたのか。がっくり。
「わ、悪かった!ほら、飴やるから元気出せ!」
「あわわ!グレンさん、それ思いっきり子ども扱いです!」
どこから出したのか、慌てて飴を差し出すグレンさんと、それを必死に止めるリント君。いつの間にやらすっかり仲良くなってるよね。
私ももうグレンさん怖くないというか、残念キャラ認定したけどさ。
夕方。王都へと向かう馬車の中。
ほぼ全員が慣れない作業に疲れ切って、居眠りをしている。
私の隣では可愛いリント君が、ぐごごがごごと、見た目を完全に裏切る豪快な鼾をかいて爆睡中。
白目剥いてるのは見なかったことにしよう。
「フィーも疲れたでしょ?」
リント君の逆隣りに座っている先輩が、くあっと小さな欠伸を漏らした。
「私引退したとはいえ、元冒険者ですし。先輩の方が疲れたんじゃないんですか?」
午後もグレンさんの暴走に振り回されていた先輩の方が、相当疲れているはずだ。
依頼達成に必要な薬草は採集出来できたけど、それ以上にグレンさんの採集した珍品が大豊作デシタ。
結構いいお値段がつく品物もあったから、あとでグレンさんから美味しいご飯を奢ってもらったらいいと思う。
「はあぁぁぁ。あいつは一体、いつになったら落ち着くのかしら。子供の頃から全く成長が見られないんだから。」
「ふふ。でも楽しかったです。」
最初は怖そうだなって思ったのに、全然怖くなかった。
考える前に行動しちゃう人だけど、怒鳴ったり暴力をふるったりはしなかった。
グレンさんみたいな冒険者ばかりなら、受付も楽しいのになぁ。
「今日グレンが付くと聞いた時は、どうなるかと思ったけど、フィーが楽しかったのなら良かったわ。最初ルージェントが付くはずだったんだけど、あいつ指名の依頼が入っちゃってね。凄く悔しがってたわよ?」
「ルージェントさんが?何でですか?タダ働き同然なのに。」
「あらやだフィーったら。タダ働きって身も蓋もない。一応お礼として多少は謝礼出てるのよ?雀の涙だけど。」
「いやいや、昼ご飯食べて終わり程度のお金を、謝礼と言っていいんですかね?」
冒険者が研修に護衛として参加する目的は、勿論お金の為じゃない。
素人同然の可愛い女の人を、懇切丁寧に指導してあげて、あわよくばお付き合いを…!という下心があるらしい。成功率は謝礼よりも低い数字だと、先輩は鼻で笑ってた。
そんな合コンもどきの研修に、あんなかっこよくて引く手数多そうなルージェントさんが参加したがる意味がわからない。
グレンさん?あの人は、楽しそう!っていう理由で参加したんじゃないのかな?勝手な想像だけど。
「あいつにもメリットがあるんじゃない?例えば最近知り合った可愛い女の子に会いたいとか。」
「へぇ。そんな出会いがあったんですね。」
誰だろう?受付課の子かな?後方事務課も可愛い子いたよね?
うわ~なんかニヤニヤしちゃう。影ながら応援しますよルージェントさん!
「いやいや、あいつが最近知り合った可愛い子ってフィーの事よ?」
「へ?私!?なんで!?」
思わず大きな声を出してしまい、慌てて手で口を押さえる。
良かった。リント君まだ白目ぴくぴくさせて爆睡してる。
「ふふ。アイツがフィーリルがいるなら、俺が護衛に就くって言い出したのよ。護衛に怯えて研修にならなかったら可哀想だろ?とかなんとか言ってたけど。」
「いやいやいやいや、ルージェントさんどんだけお人好しですか。」
「まぁ、私がちょっと、可愛いフィーリルが絡まれたら泣いちゃうかもって言ったのもあるとは思うけど。」
「うーわー。先輩それはダメですって。私なら大丈夫ですし、ルージェントさんもお忙しい身なんですから。」
「良いの良いの。使えるモノはどんどん利用しなきゃ。」
ケラケラと明るく先輩は笑うが、私は笑えない。
Sランクなんて雲の上の冒険者を使うなんて、元底辺冒険者、現しがないギルド受付係の私に許される所業ではないわ。
恐ろしい、どんな恐ろしい事態を招くか、想像もつかない。
これ以上ルージェントさんの目につかないよう、ひっそりと受付業務をしよう。
ルージェント視点
【フィールド研修における護衛募集】
円滑なギルド運営の為の知識向上を目的とした採集研修を今年も行います。
それに伴い、ギルド職員の護衛要員を募集します。参加希望者は受付まで申し出てください。
募集条件 Dランク以上。
報酬 1,000ルキア。
今年も“遠足”の季節が来たのか。
雑多に依頼が貼られている掲示板の隅にある、ギルドからの依頼を意味する赤い紙に目を留めた。
毎年秋になると行われるギルド職員の為の研修だが、その影では婚活イベントとしても名高いフィールド研修。
一般的なDランクの報酬が10,000ルキアであることを考えれば、こんな依頼受ける奴はいないと思うのが普通だ。
「なぁ、聞いたか?今年の研修にネリアさんが参加するらしいぞ。」
「マジか!なら参加する!」
「俺は依頼が入っちまってるんだよな~。受けなきゃ良かったぜ。」
「ヘッ。残念だったな!よっし!ネリアさんのいるグループの護衛に就いて、お近づきになるぞ!」
考えるよりも先に手が出る、脊髄反射暴力女のどこがいいのかさっぱりわからん。
お近づきになったところで、サンドバッグ扱いされるのが関の山だろうに。
俺には関係のない話だと、踵を返したその時。
「そういや、あの新人の女の子も参加するのか?」
「ああ、三角耳の犬獣人の子か。参加じゃねえの?」
何度かすれ違った記憶のある、冒険者らしき男たちの会話が聞こえ、思わず足を止めた。
確かに、ギルドの受付新人なら研修に参加するだろう。
柔らかそうな色合いの、ほにゃほにゃした笑みを浮かべた犬獣人の女の子の姿が脳裏に浮かぶ。
ネリアが参加するのは、あの子が参加するからであろうと思い至り納得もした。
冒険者に怯えていた様子からして、一人で参加させたら……確実に泣くだろうな。
でもまぁ、ネリアがいるなら問題はないだろう。
場所も王都近郊の魔獣も滅多に出ない安全地帯だろうし。
そんな事より、明日からの魔獣討伐の依頼の確認をしておかなければ。
気を取り直して、ギルマスの部屋に向かおうとした俺の背中に
「あの子良いよなぁ。あの怯えつつも一生懸命仕事する姿がたまらん。」
「おま、犯罪はやめろよ?」
「合意なら犯罪にはならねえだろ?」
「いやいや、その思考が既にやべえよ。」
……………俺も参加しよう。
ギルマスを脅…もといギルマスに頼めば配置の希望は通るだろう。
善は急げと、若干速足でギルマスの部屋に向かった。
「え?その日はもう先約ありでしょ?ほら、グラン爺さんの材料採取。」
「キャンセル「できると思う?」………グレンを当ててやってくれ。」
「二人の了解を貰ってきてね。」
「ぐ………了解。」
グレンは二つ返事で了承してくれたが、ネリアを説得するのに、秘蔵のブランデーが一本犠牲になった。