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柴田とサッコ  作者: 名雲屋良内
8/27

シナリオ


⑧シナリオ


 サッコが宿舎に戻ったのは一時過ぎ、シャワーを浴び寝たのが二時だった。

 朝はいつも通り目が覚める。頭が重かった。今日はどこにも行かずに静かにしていよう。

 八時過ぎ、コーヒーカップを手にして、シバタの部屋をノックしてみた。

 コーヒーの香りがしていた。

 テーブルの上には、競馬新聞が広げられていた。今日は柴田も部屋にいるようだ。

 スーパーマーケットで、酒の肴と食材を買い込んだ。

「昨日、知り合いに会って来た。奴は了解したよ」

 柴田は新聞をベッドに放り、グラスを傾けた。

「名前はギョーマン。自分を捕まえる者はいないから、心配しないでほしいと言っていた」

 サッコはギョーマンの話を伝えた。

「すごいね。将校らしい言葉だ」

 柴田は立ち上がり、ポータブルラジオを短波からFMに変えた。クラシックが流れた。

「これで第二ステージに進めそうだ」

「じゃ、シナリオは?」

「ああ」

 柴田は氷にウイスキーを注いだ。

「まず、電波を止める。山間の基地局だ」

「なぜ?」

「人気がないから、侵入しやすい。基地局が少ないから、確実に圏外になる。ユーザーは多くないから騒ぎは少ない。キャリアには、人為的に電波を止めたのが伝わればいいんだ。もしかすると、うやむやに処理されるかも知れない」

「警察沙汰にしないというのかい」

「うん、少なくともニュースにはならないと思うな。模倣犯が出てくる。世の中には基地局のマニアがいて日本中を回っているからね。何の監視もないと知れば、フェンスの中に入り込む奴が出てくると思うよ」

「キャリアは?」

「電波を止めると、仮でも一日で復旧させるだろう。もし、事件としてニュースになれば、それでゲームオーバーだ。リスタートはしない、愉快犯がしたことで終わりだ」

「ニュースにならなければ?」

「ギョーマンから、金を要求させてみよう。拒絶されれば、再び基地局に侵入するだけさ。これはエスカレートするよ、と示唆するだけ。これで、一度終わる」

「キャリアが、ステージに乗れば、第三ステージの金の受け渡しだね」

「そうだ。ギョーマンが、安全な口座を用意できれば一番良いね。口座なら、大きな金が動かせる。結局、俺達は電波を止めるだけだ。上手くいったら、貿易会社でも作ろう。社長はサッコだ。そこにうまく金を還流させればいい」

「金額はどうする」

「口座が用意できるなら、大きく三億でどうかな。一人、一億だ」

「わかった。ギョーマンと相談してみよう」

「そのうち、基地局を選びに行こう。慌てる事はない」


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