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柴田とサッコ  作者: 名雲屋良内
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国土計画省、離陸


⑭国土計画省


 国土計画省に行ったのは、一週間後だった。オフィスを見て、入館カードを貰っただけだ。

 コンストラクターが来るのは一週間後だから、柴田から通信設備構築の概要を聞きながら、要点と各自の作業を確認する。

 報酬は下がったがホテル住まいは変わらない。四人は、車でどこにでも出かけた。

 シモン大尉が来て、金澤は念願の戦車に乗った。

 コンストラクターが来て、担当者に基本事項を提示した。

 サバンナと砂漠に遊牧民と旅行者だから、すべて携帯電話の設備になる。狭く起伏の少ない地形と少ないユーザーから、その数は多くはない。

 これから、現地調査、設計、施工と進んでいく。

 四人は軍から派遣されたと紹介されたが、ヨーロッパから来たコンストラクターは三人の日本人に面食らっていた。

 四人は適宜、打ち合わせに出たり現地に行った。

 柴田は設計や施工、サッコとミキは細かく膨大な契約条項に目を通し、ソマリに不合理な点や瑕疵を修正していった。

 金澤は、手持ち無沙汰だったが、工事が始まると楽しそうに現場を回っていた。

 それも最初だけで、後半は自国人だけでも運用していけるように、ソマリ人への教育を始めた。

 同時に、サッコは日本との交易産品を探し始めていた。観光資源でもよかった。特に時間の制約を受けないから、四人はエチオピアにも行った。


⑮離陸


 四人がソマリ空港に降り立ってから、一年と二ヶ月が過ぎていた。

 計画は終局を向かえていた。設備のほとんどは運用を始めていた。

「俺は戻る事にする」

「俺もだな」

 柴田と金澤が言った。

 日本が、恋しいわけではないが自分たちの役目は終わった。充分な環境に、甘えるわけにはいかない。

 サッコもミキも同様だった。

 サッコはギョーマンに帰国を伝えた。

「確かに軍からの任務は終了する。しかし、民間人としてこの国にいつまでもいて良いのだ。仕事は用意出来よう。新たに増えた通信部門にデスクを用意しよう。大学に日本の講座を開くのも面白い」

 ギョーマンは、苦しげに言った。

「それらは、この国の者が就かなければいけない。私も日本に会社を残しているから、戻らなければならない」

 サッコは帰国を伝えて、ミキも頷いた。

「結局総意となったようだね。我が国は、いつでも待っているよ」

 フーリエ大将の晩餐会が送別会となった。ギョーマン中佐とサッコたち四人、シモン少佐とギョーマン中佐の部下だった二人の中尉。ギョーマンたちは、昇進していた。

「いろいろと世話になった。君たちは、十分な仕事をしてくれた。我が国の人員では、できない仕事だったのだ。礼はいくら言っても切りがないから、これでよそう。それでは、君たちのため、我が国のために乾杯だ」

 九つのグラスが掲げられた。

「それと、もう一つ」

 フーリエ大将はサッコの顔を見た。

「わたしは幼いサッコの姿を覚えている。サッコはミグの爆撃を受けたアパートメントの前に耳をふさいで立っていた。ジープで通り掛かった私は車を降りサッコを抱えて車に乗せた」

 サッコは、大将の顔を見つめた。サッコの記憶の一場面だった。サッコは両親をそこで亡くした。それから親戚に育てられた。

 二十五年前、アリクイが最初の侵攻を企てた時だから五歳だった。

「サッコが来た時、ギョーマン中佐からそれを聞いた。中佐には昔話に話していたからね。縁で括るのは嫌いだが、再会できて嬉しかったのは事実だ」

 ギョーマンが微笑みながら、聞いていた。


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