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柴田とサッコ  作者: 名雲屋良内
25/27

出向


⑬出向


「今回は大変、感謝している。あなた方のプランがあったからこそ、全体のプランは成功したのだ。今日は気軽にやって欲しい」

 フーリエ大将が挨拶をした。

 席に着いているのは、サッコたちの他に六人、うち二人がスーツ姿で他は軍服だった。中には、シモン大尉もいた。

 さらに、四人に勲章の授与が伝えられると盛大な拍手が上がった。もちろん、日本でニュースになることはなかった。

 晩餐が終わるとグラスを持って、テラスに移った。四人が囲むテーブルにギョーマン、フーリエ大将とスーツ姿の二人がやって来た。

「閣下が話があるそうだ」

 ギョーマンが言った。

 四人は大将を見上げた。

「お邪魔しても、良いかね」と言いながら、大将が並びに座った。

「我が国の通信インフラは未整備のままだ。まともなのは首都だけと言っていい。小さい国だしそれで良いとも考えていた。しかし、小さい国土だからこそサバンナでも砂漠でも国民がどこでも電話を使えるようにと決まった。そして、コンストラクターがやっと決まった。残念ながらヨーロッパの企業になるがね。こちらが、国土計画省の局長だ」

 ワイシャツ姿の局長はソマリ人らしい風貌をしていた。

「閣下から、皆さんの事は聞いております。日本から、いらした事も。それで、端的に言えばアドバイザーになって欲しいのです。日本にはテロも戦争もありませんが、我が国はそれらに対策を講じなければならない地勢にあります。もちろんコンストラクターも、それなりのものを用意すると思いますが、皆さんの経験から意見、修正を頂きたいのです」

 四人はまだ、ゲームが続きそうだと内心喜んでいた。

「立場は、今と変わらない。軍からの出向とする。ただ、オフスは国土計画省に移る。役人やコンストラクターの民間人を軍のオフィスに入れる事はできない。ホテルも車も、今まで通りだ。ただし、請求書の行き先は変わるがね。たまには、気軽にコーヒーを飲みに来てくれ。認識カードを忘れずにな」

 フーリエ大将が、笑って言った。

「期間は?」

 柴田が聞いた。

「一年程度を見込んでいます」

 柴田は振り返り三人に聞いた。

「一年以内に帰りたい者は」

 誰も手を上げなかった。

「日本に帰ると希望した者はいない」

 サッコが伝えた。

 ホテルにはギョーマンがついて来た。

 柴田の部屋で四人に言った。

「遅れたが、今回の報酬だ。小国の予算からなので目を瞑って欲しい」

 四枚の小切手を置いて帰って行った。書かれていた数字は十万ユーロ。

 為替を理解できない金澤は、柴田から一千数百万円と聞いて目を丸くしていた。


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