OLD
空白の意味を
初めて知らないままでいる事を
選んだ瞬間
少し大人を嗜んだのかもしれない
数十年で
埋められるはずもない
一生背負っていくものは
誰にも決めさせはしないのだと
自分の意志に
気がついてしまった
つくづく上手くは
歩けないのだなあ
自分でも笑ってしまったよ
前を向いて生きようよなんて
言葉 何度跳ね返してきたんだろう
なあ 俺たち
この傷痕を消そうとするものは
全て敵で
守りたいものさえ
簡単には
守らせてはくれない
そこを嘆くだけで
終わらせることなど
できるはずもなかった
傷だらけの生命抱えたまま
生きる事を選んだ
それがたとえ
大多数の軽蔑を浴びたとして
お前の魂を守れれば
それでよかった
傷を消す事は
おまえを消す事だった
その道を選ぶくらいなら
命さえ天秤にかけていた
永遠の眠りにつくよりも
我慢ならない事を
人は多分
絶対に譲れないものとか
哲学とか言う
人生を投げ捨て
それにより
光らせてきたんだろう
自らの尊厳を
それは相反するようで
全く矛盾が存在しない
俺たちにだけ見える道
地獄と呼んでも大差ない
筆舌に尽くしがたい景色も
折れなかった信念
見えていれば
光り輝くものでさえあった
見失いそうな日は
涙が染み込みすぎて
役に立たなくなった
ハンカチと己を
思い出していた
舗装された道すがら
あんなに心が定まった瞬間は
今も昔も
あの時ほどない
何が変わったのか
自分では見えない
しかし確かに変わっている
それは黄色く変色した
かつての手紙が
物語っていた