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N;EXUS(ネクサス)  作者: 柴豚
12/13

丸つけと日常の終わり

目の前の少女は、さっきエレベーターであった少年の首を締めていた。

おそらく、すでに少年は絶命している。

これは落ち着くどころの状況じゃないな・・・。

そもそも、数ヶ月眠り続けた少女が、なぜ今立っている?

なぜ今、人を殺すほどの筋力がある?

しかしそんな疑問について考えるまでもなく、少女は口を開く。

「いやーまいっちゃいましたよ。目が覚めたら少年(こいつ)が近くにいたもので。あ、こいつ同級生なんですよ!・・・でも・・・ちょっと思い出しちゃったので、殺しちゃいました」

「もしかして・・・そいつは日貴か?」

「ひき?・・あぁ、こいつの漢字、()って風に見えますけど、本当は(いわ)くなんです。

曰くって読み方変えると(ゆう)になるんですよ?」

「なるほどなぁ・・・曰貴って同級生の名前だったのか?で、なんでお前を助けた男を殺した!?」

「あぁ、助けてくれたのこいつだったんですか。まぁいいです。こいつ、ちょっと私の秘密を知っちゃったんです。ですので、今さっきチャンスがきたので殺しました」

「そんな風にサクッと人殺せるんだったら・・・お前の秘密は、人殺しまくってたとかそんなところか」

「えぇー・・まぁご明察ですけど。言い方酷くないですか?」

「人殺しに向ける言葉に良いも悪いもねぇだろ」

「私だって人間なのに・・・人権あるんですよ?」

「そうかい。んで、お前の代わりに僕と通信してたのは誰だ?」

なるべく話を続かせる。逃げる手順を頭でイメージ。

「?私本人と木瀬さんは話してましたよ?」

「嘘をつくな!!昏睡してた奴と話せるわけないだろ!!」

「そう考えますよね、普通。けど、私自身よくわかんないんですけど、なんかテレパシーみたいのに目覚めたみたいなんです、私」

ここに来て何を言う?まさか、本当にこいつg・・・


〔きぃいいいいごぇますか?ぁ?〕


「っぁああああっっ!」

急に頭に声が響く。脳内に直接文字を刻まれる感覚。とてもじゃないけどずっとは聞いていられない。

「ね?こういう事なんです。恐らく闇は私の脳内・・・恐らく、意識の具現化ですね。そこで暇してたら、このテレパシーが木瀬さんの無茶苦茶な周波数を拾っちゃった・・・みたいな?粗方そんなところでしょう」

嘘だ・・・そんなのしんじられるわけない・・・

テレパシーを受信していただと・・・?

でも・・・闇の正体が自分の意識そのものだとしたら、説明がつく。

好きなものを出せる現象や、景色を変える力。

思い返せば、自分の思考なのだからそれらは出来て当然。

そして、この地球上でそんな場所は他に考えられない・・・・やはり、本当なのか?

「くっそ・・・こんな事、想定してなかったぞ」

「私もです。まぁ、殺人鬼を目覚めさせた自分を悔いて下さい」

笑顔で少女は続ける。まるで、それこそテレパシーで逃げようとした僕の心情を悟ったかのように。

「それでは、敬意を払って殺しますね!ありがとうございました!!」

机にあったナイフを手に取り、一直線に僕の方へ走ってくる。とても速い。

なんとかかわすと、僕のいた所の(くう)にナイフの先はあった。

・・・・なんでナイフなんかあるんだよ!?

それに、あの馬鹿みたいな身体能力はなんだ?とても今さっきまで昏睡していたとは思えない。

「逃がしません!」

少女が振り向くのと同時に横に振るわれるナイフ。

まて・・・この立ち位置は!

「えっへへ・・これで逃げられませんね・・・」

ベッド越しに向かい合う。

僕の後ろには壁。

・・・完全に逃げ場を失った。

・・・・・・ここまでか・・・?

でも、まだ死にたくはない。

ここまできて死ぬなんて。

家ではアンプと狭間がいまもいる。

きっと狭間は会話を聞いて青ざめているだろう。

そういえばスマホからなんか聞こえるが、聞き取る暇もない。

今はこのシュチュエーションに集中。

・・・・・。

一瞬後ろを見る。

窓はある。

しかしここは三階。

でも、ここから窓に向かうのは絶望的だ。

「・・・・・狭間、救急車呼んどけ!!」

叫ぶと同時に、少女が向かってくる。

そして僕は窓から飛び降りる。

幸いと言っていいか分からないが、窓は全開だった。

空中に体を投げ出す。

なんと少女も一緒についてきた。

笑顔だ。

何故か釣られて僕も口の端を上げてしまう。

まぁ、これで僕が死ぬんだったらこの子も死ぬんだし、お互いどうせ重症だから、最悪でもこれ以上被害が広がることはないだろう。

グッバイ日常。

楽しかったよ。







「じゃあな」











[木瀬 宇田:11%]

[曰貴 真琴:0%]

[笹原 彩香:78%]

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