4 精霊のこと
女のような外見に長めの髪。料理や裁縫が得意。そんな小学六年生、古川葵はいじめを受けていた。
とうとう卒業の日。交通事故で車にひかれた葵が、最後に考えたことは(生まれ変わったら女の子に‼)
という気持ちだった。
異世界に住むアオイは、突然前世の記憶が戻った。
前世の記憶が戻ってから感じたことだけど、(芽生えた感覚?)今の世界では、前世で思い描いていたほど魔法は発達していない。
どっちかというと、ほとんどないほうだ。その代わりにと言っては何だが、精霊がたくさんいる。
もちろん、その精霊と契約している人たちも、たくさんだ。
さっきのルーナも、母さんが使役しているし。私達はそれぞれ、属性というものがあり、その属性と相性の良い精霊と契約する。
さっき顔をのぞかせたルーナは月。母さんは光=闇の属性を持っている。これは結構レアだ。私の住んでいる街、『ライルス』の中でも、母さん一人しかいない。
それに比べて、私はまだ、自己計測の能力は持っていないが、周りからは水だといわれているから、たぶんそうなのだろう。『水』の属性の人はたくさんいる。やっぱり、引っ込み思案な私には、ありふれた水の属性があっているけどね……。