2 前世で男でした。
女のような外見に長めの髪。料理や裁縫が得意。そんな小学六年生、古川葵はいじめを受けていた。
とうとう卒業の日。交通事故で車にひかれた葵が、最後に考えたことは(生まれ変わったら女の子に‼)
という気持ちだった。
「私、男だったの……?」
私はアオイ。この世界、「ライルネーナ」の住人。そして、父さん、ヒツデと、母さんのマリナの子供。
最近は、高熱を出して寝込んでいた。その間に、前世(?)の記憶が戻ったらしい。
「アオイー?起きてる?」
「起きてるよ、母さん。」
心配そうな顔でひょっこりドアから顔をのぞかせた栗色の髪の母さん。
「まだ無理しないでね。おかゆ作ったから、食べなさい。」
そういって、母さんはホカホカのおかゆを差し出してくれた。
「日々の恵みに感謝します。」
この世界での「いただきます」を言って、おかゆを口に運ぶ。おいしい。自然と顔がほころぶ。
「食べ終わったら、呼んでね。」
と言って、母さんは部屋から出ていった。
そういえば、この世界の食べ物は前世とほぼ変わらない。ということは。私は前世で料理が得意だった。
料理が得意!?そうかもしれない。そのためにも、早く直さなきゃ。