普通の女の子に戻ります
普通の女の子に戻ります
みなさんはアドルフ・ヒトラーをご存知か。
そう、独裁者のアドルフ・ヒトラー
なんだよ、またナチの話かよ、とみなさんは思われるかもしれない。
断じて違います。
このお話は普通のドイツ人と日本人のハーフの物語。
では、なぜにナチスの話を持ってきたかというとそれは、私のおじいさんがあのヒトラーだったから、それにより私が、ナチスの残党に利用されようとしたからです。
そして、そのナチスの残党、所謂ネオナチ達がこっそり地下に帝国を作って世界を征服しようとたくらんでいるのです。
そんなの私には知ったことじゃない。
前言撤回します、このお話はナチスも絡んできます。
苦手な方には私の出来事はおすすめしません。
地下室で愛人と共に死んだと言われていたアドルフ・ヒトラーは実は密かに地下室の隠し部屋に閉じ籠り、こほん、乙女には言えないような事をして私のお父さんが生まれました。そして、同じくお父さんは同盟を結んでいた日本の女性とこほん、うん。私が生まれました。
新しい帝国の名前はゲリープテ、愛人という意味です。
この地下室のみんなはすべて愛人という事です。
私の名前はリヒト・さやか・ヒトラー(ヒトラーが姓なのか分かりませんがこの名前を崇拝しているネオナチ共がいるのです。
ゲリープテはどんどん工事を進めていき、ついには東京ドーム500個文となりました。
日本人はなにかを比べる時に東京ドームという建物を利用するそうです。
母親から聞きました。
だから適当です。すみません。本当の所は分かりませんが地球を半分閉めているのではないでしょうか?
なにせ、遊園地、映画館、そして、お城までそびえ立っているのです。
お城と言ってもシンデレラが住まう事になるようなお城ではありません。日本風のお城です。おじいさんが好きだったようで。
「さやか、演説の準備はできたか?」お父さんはちょうどバームクーヘンを恵方巻きのようにかじりつきながらはふはふ喋った。
恵方巻のようにバームクーヘンを食べるのが習慣となっている。
そしてもうひとつの嫌な習慣、私は民衆に対して演説を行わなければならないのだ。
おじいさんもやったらしいお父さんもやったらしい、その次は私の番らしい。
いやだ。真夏に出てくる黒い生命体と同じくいやだ。
それでも私はここに生まれてしまった苛酷な運命を己に課し果敢にも民衆の前に、身を削るような思いで毎日演説しなければならない。
「本当嫌になっちゃう。地上はどんな所なのかしら?」
「地上の事が知りたいかい?総督?」 パンツ一丁の変態が話しかけてきた。
こいつは演説の欄干に行く前の廊下に必ずいるパンツ一丁のおっさんだ。
横からフランツが覗いている。
見慣れてるのでどうと思わないけど。あっと私乙女だった。てへ。いやんフランツなんか気持ち悪い。
私が欄干の廊下に出ると民衆達が「ハイルミスヒトラー」といいながら右手をあげた。
あぁ演説なんて思い付かないよ。
そうすると横にジャニーズ系の美男子が私の手をとった。
「緊張してる?大丈夫落ち着ついて」美男子はにっこりと爽やかに笑った。
「はっはい」今の私の顔を見ると真っ赤になっていることが解るであろう。うつむいて彼と視線を合わせられない。
「誰だろうこの人?」
しどろもどろになりながら奥に目をやるとあの変態がにやにやして見ていた。
「ゆあーせぶんてぃーんごいんあーえいんてぃん」歌ってやがる。変態め。こっち見んな!
ジャニーズ系の美男子はまっくろな制服をいなせにきこなしている。あの馬鹿変態とは大違いだ。
「いいかい一緒に演説するよ?いい?」優しい声で美男子は私の耳元にささやいてくれた。
きゃー!これだけで赤ちゃんできちゃう。
「いい?この国を統べる者はこれからもヒトラーの子孫とコルテッツ将軍の子孫だけである、と言うんだよ」
えっ?藪から棒になにいってんの?でも格好いいから許しちゃう。格好いいのが正義!
私はさっきの言葉を民衆の方を見て叫んだ。
群衆がざわめきだした。
「ヒトラーはいいとしてなんでコルテッツなんだ!私もナチスの幹部の子孫であるぞ」
ガヤガヤと怒号が飛び込んできた。
「黙れ愚民共!ヒトラー様の子孫であるさやか様が決められた事であるぞ」
えっなに?私、なんか悪い事言った?
ガヤガヤと罵声怒号が飛び交うなか美男子さんが膝まずいた。
「私のお嫁さんになってください」
いきなりのプロポーズ!しかもこんな状況で!
私はなにがなんだか分からなくなった。私が息をのみ荒れる民衆達を見てぼーぜんとしていた。
美男子のプロポーズは一旦保留にしてお父さんとお母さんに相談する事にした。
お父さんはうーむとうなるばかりでなにも言わなかった。
お母さんも手をにぎったり離したりするだけであった。
「それがな、お前の婚約者はもう決まっておるのだ」
えっ娘の私に相談もなしになんで?てか誰?
「かくれてないで出てきなさい」
「ちやーらーちやーらーちやーらー……UFO! 」
なによそれ?てかあの変態!
「そうよ!」
UFOみたいに発音すんな!
「私はゴッドフリート加藤!いつもお嬢さんを見ていたよ」
わぁ名前だけ無駄に格好いい!でもストーカーされてたんだ私。
ゴドフリード加藤は、のこり少ない髪を丁寧に撫でた。
「こいつと結婚するぐらいなら一生独身でいる!」
お母さんが私の手をとった。
「ゴッドフリード加藤さんは貴方の夢を叶えて下さるのよ」
「どういう事?」
黙々と抹茶キャンディをかじっているゴッドフリード加藤を横目でみながら私は聞いた。
てかそれ私のおやつ!かってに食うな加藤!
「彼はUFOを開発したの」
UFO未確認飛行物体。
「ちやーらーちやーらーちやーらー……UFO!」
まじむかつく!それやめろ加藤茶!じゃなかった加藤!
「明日の0時ぴったりにUFOは飛んでいく。一緒にここを抜け出せるの。この地下室のただひとつの穴から空を飛んで逃げれるわ」
この変態と一緒に行かなきゃだめ?」
「あなたはずっとここにいて世界征服に利用されたいの?」 お母さんは私と顔を合わせた。
「でもでも、私のあのジャニーズ系の人が」
「あいつは悪い奴だ。結婚なんかしてしまうとずっとここに閉じ込められるぞ」
お父さんは私の心をよみとったのか私をそういさめた。
「私たちも行くわ。ね?だから加藤さんといきましょ。普通の世界に」
お父さんお母さんもついてきてくれるの?
「もちろんだとも!」
それなら安心。 「お父さんは、昔からこの生活がきらいだったんだよ。ナチスの蛮行を許せなかった、でもそのリーダーは私の父親だった。だから仕方なくこの生活を続けていた。しかしお前にはこの生活から抜け出して欲しい。もう、戦争はいやだ。ホロコーストもやっちゃいけないんだ」
そう思ったつかの間お父さんが床にどうと倒れた。
銃で撃たれている。
赤い血が畳を染めた。
銃が放たれた方を見てみるとそこにはあのジャニーズ系の美男子が立っていた。
「そうはさせないよ。次の王となるべくその娘と結婚するのはぼくなんだからそしてこの地下室いや、全世界を支配していくのはぼくなんだ」
許せないお父さんを!お父さんはゼエゼエいいながら指差した。
「行くんだ!UFOに、お前の自由を取り戻すんだ」そう言うとお父さんはこときれてしまった。
「お父さんいやぁーーーーーー!!!」
私は止めどなく涙を流し父親の遺体にすがりついた。
「行こう。地上に普通の女の子にもどりたいだろ?」
加藤さん。
加藤さんは冷蔵庫からバームクーヘンを一本とりだしてお父さんの上に置いた。
「お母さん、行こう。お父さんの夢でもあった地上の世界に」私はそう言うとお母さんの手をにぎった。
お母さんをまもらなくちゃ。
「させないよ」黒服の男が銃で撃ってくる。
私たちは体勢を低くして逃げ出した。
加藤さんが広い空間に案内してくれた。
そこには大きなUFOがでんっと置いてあった。
円盤形だ。
「みんな、早く乗り込むぞ!」
私たちは梯子を登ってUFOに乗り込んだ。
お父さんを殺した男がついてくる。
私たちはあいつが追ってくるのをある程度覚悟していた。
加藤さんがパンツからフリードかと思っていたが実は銃だった。それをとりだし男に撃ちまくって応戦した。
ばあんと音がすると思うと加藤さんの右腕から血が出ていた。
「加藤さん!」
加藤さんが薄目をあけて微笑んだ。
「行け!UFOは自動運転にしてある」
「いや!私、私、ずっとあの廊下ですれ違っていた加藤さんが好き!」
「へっ!こんなおっさんを?」
「おっさんでもいい変態でもずっとずっと会っていた人を好きになることもあるのよ。あんな顔だけの奴なんかよりずっと好きよ!」
加藤さんは私の大声にびっくりしてそのあとうたいだした。
「ゆーあーせぶんてぃーんごーいんあないんてぃん」
私は加藤さんをかつぎあげてUFOの梯子をお母さんと登った。
男がついてくる。くんな!人殺し!
私はスイッチを押してUFOを起動させた。
男はUFOの端を掴んだがやがてバランスをくずしてまっ逆さまに落ちて。あっぐしゃり。私は思わず目を背けた。
「ちやーらーちやーらーちやーらー……UFO!」私は加藤さんの真似をしてUFOで飛んでいく。
加藤さんの傷は浅くスースー眠っていた。
それからどうなったって?私は普通の女の子に戻ったわ。地上の生活も楽じゃないけど。加藤さんと結婚してリヒト・さやか・加藤になってヒトラーはもういない。
かわりに加藤さんとこほん!あれして出来た子供がたくさんいます!
完