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1 起床とぽよよん

 起床時間の合図として金属を叩く音が廊下から響いている。耳を塞ぎたくなるほどうるさく、晃は布団をかぶりなおした。

 色んなことがあってぐっすり眠ることができたけれど、こんなうるさい音で起こされると目覚めが悪い。まさか毎朝この音で起されるってことはないよね? そう考えると憂鬱だ。なのにロフトで寝てるフミさんの動く音がしない。むしろ無音で怖い。フミさんって案外鈍感なのだろうか? 見上げながら晃は首を傾げた。

 ベッドの横にある小さな机に乗せてある着替え一式を見て、晃は深いため息をついた。あぁ、なんで僕は着替えをきちんと確認しなかったんだろう。こめかみを押さえながら自分自身の至らなさに肩を落とした。

 下着はタミ爺に渡されたような老齢が着るようなものではなく、ごく一般的な白の半袖シャツに白ブリーフ。その上に浅葱色をした服畳んで置いてがあった。浅葱色といえば新撰組を思い出すけれど、これは……。

 疑問に思いながらも、晃はその浅葱色に足を通し、腕を通した。その服はまさに、晃の世界によくあるつなぎであった。

 もっと他の色があったと思うのに、どうして浅葱色なのだろう。謎だ。謎すぎる。まぁ、着心地は悪くないけれど。いや、むしろ体にフィットしている。いつの間にか勝手に体の採寸をされていたんじゃないか? っていうくらいの着心地が良い。もしかしなくても、採寸されていた……? ゾワっと這い上がる寒気に晃は腕をさすった。

 それにしてもフミさん、全然起きてこないなぁ。疲れがすごく溜まっていて起きれないとか? 覗いたほうがいいんだろうか? しばらく階段の下で悩んでいた晃だったが、顔も歯も磨いていないことを思い出し、部屋を出ることにした。

 出たはずだった。

 出た途端、ぽよよんと柔らかいなにかに晃の頭は弾かれた。


「ふぇ?」


 間抜けな声を発しながら見上げると――――。

 一日経っても相も変わらず、胸元を惜しげなく強調させた真紅のロングドレスを身に纏ったミシルがいたのだ。


「あ、あの、な、なんですか?」


 いまの感触なんだ? ほわっとして甘い匂いがしたよ。心拍数が急上昇して晃は見上げていた視線を慌てて外した。


「あぁぁ! やっぱり、その作業服を着てしまったんだね」


 オーバーリアクションでミシルは頭を抱えた。その様子を廊下を通る人々がギョっとした目で見ながら通っていく。


「え? な、なにかこれではマズイんでしょうか?」


「うん。それは昼過ぎの掃除用の作業服なんだ。もしかしなくても、その服しか届いていなかったか?」


「あ、はい」


「それは申し訳ない。準備してもらった者への私の伝え方が悪かったようだね。本当に申し訳ない。申し訳ないついでなんだが、違う作業服に着替えてほしいんだ」


「あ、はい」


「あぁ、よかった。よかったぁ」


 ホッとしたのか眉を寄せて困った表情を浮かべていたのが一変した。胸元に手を置いて芯が一本通っているような背中を少し丸め、目を細めながら微笑み、晃を見上げたのだ。屈んだことにより、たゆんと揺れる胸に晃は思わず釘づけになってしまった。なんでこの人は恥ずかしげもなく胸を……つ、突き出すのだろう。見てるこっちが恥ずかしくなってくる。

 そんな晃の気も知らずミシルはそのままにじり寄ってきた。



毎日更新ストップしてしまいました(>_<)

今後気をつけます!

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