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1 受験のただ中で

 学校がつまらない。


 やれ受験、やれ試験だの言われなくてもわかってるし。

 わかっているからこそ学校ではくだらないことして、くだらないことで笑いたいのに。なんでこうもみんな反発せず、右向け右でいられるのだろう? どうして何の疑問も持たないで教師の言うこと聞いてしまうのだろう? 

 

 僕はこの雰囲気に呑まれたくないって思っている。大多数のように反発、疑問なんか持たないで、流れに身を任せてしまえば楽で簡単な生き方なのだろうな、とは想像できる。でもそれができない。敢えてしない、という選択をしてるかもしれないけれど。

 

 ただ、それを僕は表面に出していない。むしろ表面は与えられた流れに身を任せているように見せている。そうじゃないと色々めんどくさいから。人によっては、チキンで小心者だなって思われるだろうけど。

 いちいちクラスメイトや教師に食ってかかっても自分の労力を無駄に使ってしまうだろ? それってちょっと勿体ないと思ってるんだ。だから波風立てないように、出たくない授業はこっそりクラスから抜けている。みんな授業を受けることに必死だし、必死に食らいつこうとしてくれる熱意にあてられてる教師は一人欠けたところで全然気にしない。一度もどこ行ってたんだ? とか気にされたことがない。自分が空気な存在なのか? と思ったときもあったけれど、そうじゃなかった。ただ皆自分のことに必死なだけだった。そして蹴落とせる人間が一人でも減ってくれればいいというあざとい考えが根底にあるのだと僕は悟ってしまったんだ。



 そして今日も出たくない授業をサボって僕は人が寄りつかない『お化け校舎』に向かっている。お化けが出そうなくらい朽ちていて『お化け校舎』、と呼ばれているけれど、十年くらい前まで現役で使用されていた木造の校舎だ。今は見る影もなく、ボロボロで痛んでいるけれど、使用されていた当時は立派な外観だったんじゃないかな? と思う。入学説明会のときに手入れの行き届いた木造校舎を写真で見たような気がするから。外壁は白で屋根は灰色だったかな。その名残か、まだわずかに白地が見える。けれども、大半が月日とともに風化して汚れとカビで大部分が黒ずんでいる。

 いつも通りお化け校舎の裏側に回り小さな庭に辿り着いた。ここだけは不思議と風化していない。用務員さんが手入れをしているんだろうか? 

 青々と生い茂った芝生。

 手入れが行き届いている花壇。今はペチュニアが咲き誇っている。

 

 そして僕は長さが揃っている芝生に背中を預けて目を閉じた。



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