襲撃されちゃう系男子
ルビがてきとーなうえにセンス皆無ですがすいません(´・ω・`)
「ふぅ、 疲れた~……ってあれ?」
「誰も……いませんね」
教室に戻ってきたはいいが、 誰もいない……??
おかしいな、 確か俺達よりも前になん組か試験やっていたはずだからもう戻ってきてると思うんだが……。
もう一度教室を見渡してみる。
すると……、
「あれって、 そうだよな?」
「はい、 そうですね」
俺の指差す方向にあるのは机の影に隠れて見えにくくなっていたが、 人が薪でも積み上げるかのように倒れていた。 屍累々というやつか……。 多分死んでないだろうけど。
「はぁ……、 またアイツか?」
「十中八九そうなるでしょうね。 恐らく教室のどこかに隠れてるはずですが……」
「あのボケナスが……。 ったく」
悪態をつきながら学校指定の魔導服の胸ポケットからある物をとりだす。
「かくれんぼなんかに付き合ってられるか!」
ここに『かくれてるであろう誰か』にそう宣言しながらスチャッ、眼鏡を装着する。
もちろん今とりだしたものだ。
「あれ、 リィンさんって目が悪かったんですか?」
「いーや、 ミジンコのケツの穴がみえるくらいにはいいよ」
「じゃあもしかしてそれ……」
「あぁ、 魔法道具だ」
さらりと言ったが、 今のは嘘である。
というかレディアスよ、ツッコンでくれ、 ツッコミのないボケほど無駄なものはないこともないけどとても悲しいものだ。 ……わざとじゃないよな?
さて、 俺がとりだしたものは魔法工学で作り出した魔工道具だ。
この世界では魔法工学や魔工道具の概念は俺しかもっていないため(というか俺が作った概念だし)説明するのが面倒なので嘘をついておいた。
どっちにしろ話すことはできないけど。
魔法道具と魔工道具の大きな違いは二つある。
1つ目、 魔法道具は使用者が発動させた魔法の補助をするのに対し魔工道具は魔力を流し込むことによって擬似的に魔法のような現象などを引き起こしているものだ。 試験で使ったものとはまた違うが、 これも俺の秘密の1つである。
二つ目、魔法道具は魔法が使えるものにしか使用できないのに対し魔工道具は『魔力』さえあれば使役できる。
生物だろうと無機物だろうと魔力はかならず持っているので恐らくこれは誰でも使用できるはずだ。 もしかしたら幽霊的なものでさえ使えるかもしれない。
まぁ、『 コレら』はほとんどにプロテクトをかけてあるから俺以外つかえないだろうけど。
「さて……と」
魔力を眼鏡に込める。
すると一部分が紫色に光出した。
これはきちんと魔力が込められている証拠だ。
眼鏡に魔力が通ったことが確認されると同時に、 なにかが見えてきた。
「……見つけたぞ」
『ソレ』に近づき手で触れる、 すると次の瞬間少し眩しいくらいの発光とともに一人の女が『ちゃんと』見えるようになった。
「はにゃっ!? ななな、 なんでぇ!? 新しく気配を消す魔法覚えてきたのにぃ!!」
「そいつはご苦労なことで」
「ぐむむむぅ! ズルいよリィンは! 一回ぐらい吐血しながら『グハッ……こ、この俺様がっ』とか最後の一言添えてカーニャに倒されてよ!!」
「お前はなんか俺に恨みがあるのか!? 俺はそんな三流魔王みたいな台詞死んでも吐かねえよ!! ……大体、何回同じこと繰り返したら気がすむんだ」
「歴史が滅びるまで!」
キリッ、とした顔でとても真面目そうに答える(真面目なのかこれ?)のはとても残念なことに我がクラスメイトの女子、【カーニャ=レイドレット】。
ショートヘアーに女子指定の魔導服(改造服)を着ているどこにでもいたら困る感じの女子である。
「お前なぁ……。 まぁいい、 とりあえずあいつら元に戻してやってくれ。 催眠魔法か昏倒魔法でも使ってんだろ?」
「おーけーおーけ……えーっと、 リ・アウトスリープ´D8ロウ…………あれ?おっかしいなぁ」
カーニャが唱えたのは催眠魔法の解除詠唱。 俺は魔法は使えないが詠唱法と詠唱効果なら覚えているので確かに今のは間違ってないはずなんだが……。
「これ、 『級』が違うんじゃないか?」
『級』というのは簡単に言えば魔法の順位のとこだ。
どの魔法にも強さがありそれぞれの『級』によって変わってくる。
ちなみに詠唱法は二つあり、 その魔法の『真名』を唱えるものと『効果』を指定することにより発動する2パターンだ。
『効果詠唱』は基本的に詠唱のショートカットをするためののものだ。 ほかにも属性の付け加えや効果時間の変更等色々できるが『真名詠唱』をしたときの『本当』の力を使うことができない。
ちなみに『真名詠唱』は正直唱えるのが恥ずかしいので使っているやつは結構少数派だったりする……が、 その使用効果は絶大だ。
効果詠唱の話に戻ろう。
例えばレディアスが使った 『リ・メイクフレイ´C4』という詠唱効果は『リ』にショートカット効果。『メイクフレイ』に属性付加、 『C4』が召喚魔法の4級。という意味合いだ。
これだけみるととても簡単に思えるだろうがこれはきちんと魔法の効果を理解していなかったり、『契約』していなかったりすると魔力を消費するだけでなんの効果も得られない。 しかも発動しても本来の力の50%程度しか力が発揮されないデメリットもある。
他にも詠唱時の法則はまだまだあるがそれは今は置いておこう。
「うーん……あっ、 ほんとだ~、 級が全然違ったや」
どうやらカーニャが詠唱した魔法を思い出したようだ。
「で、なに使ったんだよ」
「永眠魔法」
「アホかお前はぁぁぁあああッッッ!!!」
永眠魔法って催眠魔法の上位魔法じゃねえかっ!!『級』どころの話じゃねぇよ!!
っていうか簡単に覚えられるような魔法じゃないはずだぞ!?
「れ、 レディアス! 解除魔法! はやく解除魔法を!!」
「は、 はい!」
レディアスに解除魔法を唱えてもらい(俺は使えなry)なんとかみんなの一命をとり止めた。
あぶねぇ……。 永眠魔法は解除されるまで永遠に眠る効果を発揮する魔法だ、 その『級』によっては解除魔法を使っても眠りから覚めないものすらあるとかないとか……。
解除魔法には基本『級』指定はいらないが、 解除する対象の魔法の『級』が高位にある場合は指定が必要になってくる。
ちなみに、『効果』を消すだけなので魔法を消し去ることはできない。 例えば火の魔法が使われたとして、 解除魔法を使用するとどうなるか?
答えは一瞬だけ火の勢いを抑えることができる……だ。 『属性』系の魔法は核を破壊するか時間経過で消えるなどしない限り解除魔法じゃ止めることはできない。 完璧に消滅させる上位魔法なら存在するという話は聞いたことがあるが使えるものがいるのか怪しいレベルにチート魔法だ。
まぁ、それよりも……。
「『級』によっては危険でしたね」
一仕事終え、 ホッとした表情をみせるレディアス。
そしてその横では……、
「いいか? 第一お前はなにも考えなさすぎなんだ。 もしもお前の使ったのが高位のものだったらどうする気なんだ、 レディアスがいたからよかったものの誰も来なかったらどうするつもりだったんだ。 よしんば誰か来たところでかならずしも解除魔法が使えるとも限らんし、下手に失敗して更に面倒なことにもなりかねん、 大体お前はだな―」
(うぅ……はやく終わんないかなぁ……)
―俺の俺によるカーニャのための説教が始まっていた。