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薬師の日常  作者: やっさん
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第8話

第8話


「できました~」

あれから一週間、アイシャはようやく軟膏を作るのにミスをしなくなってきた。覚えるのは大分早いが

それが犬耳族の特徴なのか…。

「師匠、できましたよ。通常軟膏5個、依頼の数です」

そんなことをぼんやりと考えていれば時間が過ぎるのは早く、いつの間にかアイシャが調合を終えていた。

「おう、お疲れさん。そんじゃ今日はもう帰っていいぞ~。今日は店じまいだ」

太陽はようやく沈みだし、まだ店を閉めるには早いような気がしたが今日はもう客は来ないだろう。

そんな勝手で店を閉めれるのが店主の特権だって言われたしな。

「わかりました~。じゃあ片付けしますね」

「あ~。だったら今の作業が終わってでいいから、この草どもを倉庫までかたしといてくれ」

「はいです!」

そういってアイシャはカウンターを乾拭きしていた。

俺はというと、店に並んでた薬の残りを調べたりそろそろ効能が落ち始めそうな薬を回収して

ごみ置き場まで運んだりとちゃんと仕事をしていた。

しばらくして、だいたいの片付けが終わり店の入り口を閉めようかと思った時にそれは起こった。

「きゃああああああああああっ!!!!」

そんな悲鳴が倉庫のほうから聞こえてきた。

いきなりの悲鳴に驚いた俺は一目散に倉庫に駈け出した。と言ってもそこまで距離はないんだが。

倉庫につくとそこにはアイシャが腰を抜かして地面に座っていた。

「おい、ワン公何があった?」

「…ね…」

「ね?」

「ネズミがいたんですよう!!!!!」

「ネズミぃ?なんだそんなもんで驚いてたのか」

アイシャは必死に訴えていたが、その原因がたかがネズミだとは思ってなくて思わず苦笑が漏れてしまった。

「そんなにネズミが怖いかねぇ」

「だって…だって……」

苦笑交じりに言及すると途端に泣きそうになっていた。というか泣いていた。耳はぺたんと伏せられ、

尻尾もだらんと垂れさがっていた。ちらっと倉庫を見てみるとネズミはいなかった。アイシャの悲鳴に驚いて逃げたのだろうか。

「ちょっ!?あ~もう大丈夫だぞ~もうネズミはいないからな~」

とりあえず頭を撫でながら子供に言うように諭す。

「…ほんとですか?」

涙目で上目づかいでこっちを見てきた。

「ほんとだほんと。大丈夫だよ」

ようやく落ち着いてきたのか。耳も伏せから解放され尻尾も元の感じに戻っていた。

「しかし、ネズミねえ…。なんでいたのやら…」

「なんでって、当たり前でしょう!!」

今度は尻尾をブンブンと振りなんだか怒っているようだった。なんでだ。

「こんな汚い倉庫ならネズミがわくのも当然です!!」

そういわれて倉庫を見渡す。乱雑に積み上げられた野草の百科事典。種類ごとにまとまってはいるものの

いろいろなところにばらばらに置いてある薬草群。すみっこに適当に置かれた採取するときの道具類。ふむ…。

「そんなに汚いか?たしかにそろそろ片付けようとは思っていたが…」

「そろそろじゃないですよ!!なんで今すぐやらないんですか!?」

だって…なあ…

「何がどこにあるかはだいたいわかってたし。そもそも面倒だったし」

「面倒って何ですか!!師匠一人ならよかったのかもしれないですけど弟子のことも考えてくださいよ!!」

「おお、そうか。なら、この配置を覚えろ」

「な・ん・で・そうなるんですか!?ちゃんと整理すれば誰が見てもわかるようにできるじゃないですか。

なんでわざわざ変な覚え方しなきゃならんのですか!?」

怒り心頭といった様子でアイシャは宣言した。

「こうなったら仕方有りません。お片付けです!!この倉庫をもっと使いやすいように整理しましょう!!」

「え~~なんで俺が」

「師匠がやらなくて誰がやるんですか!?」

「なんで弟子に命令されなきゃならないんだよ~」

「いいから、ほら。きりきり動く!!」

結局倉庫の整理には丸一日かかったのだった。





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